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決意と信念
しおりを挟む海の中は深くどこまでも冷たい......でもなぜだろう、前にもあった気がする。
オーガから逃げた時? いや、もっと前......記憶が曖昧で思い出せないけど、きっとこれが初めてじゃない。
『お前だけでも――――』
男の人の声、誰かはわからないけどとても懐かしかった。
『飛び降りろ!!!』
前にも見た夢。
そして、決まってここで目を覚まして先がわからないんだ......。
「目が覚めたようじゃの、気分はどうじゃ?」
広がったのは真っ白な天井。
傍のイスに座ったフォルティシア中佐が、本をパタリと閉じる。
「――――中佐......、ここは?」
「アルテマ駐屯地の医務室じゃ。海へ落ちたおぬしを、近くにいた海軍の駆逐艦が救助してくれたらしいでの。おぬしのことじゃ、心配はしとらんかったがな」
海へ落ちたのは夢じゃないらしい、まだ目覚めきってない体を起こすと、わたしは中佐の瞳を見た。
「中佐ッ! アクエリアスは!? クロエはどうなったんです!?」
大まかな情報はもう伝わっているだろう、まずは全容が知りたい。
その一心で、ベッドから身を乗り出さんばかりに聞く。
「――――街はネロスフィアによって占領された、クロエ・フィアレス1等騎士はおろか、駐屯地とも連絡が取れん。水上列車の通る橋も爆破されたらしい」
「ッ......!!」
連絡が取れない、それは最悪の事態すら容易に想像できてしまう。
ゾッと血の気が引いた瞬間、わたしの顔色から察したであろう中佐が続けた。
「慌てるでない、コロシアムにいた部隊とはまだ連絡が取れておる! まだ決めつけるには時期尚早じゃ」
昼にナーシャさんが言ってた通りなら、街の住民はほとんどがコロシアムに集まっている。
もしまだ持ちこたえているなら、1秒でも早く助けるべきだ。
「お願いします中佐!! わたしをアクエリアスに行かせてください!!」
無論1人なんて無茶はできない、でも、将校たちならもう軍事的プランを考えているに違いない。
守ると決めた人を守れないで何が王国軍騎士だ! ここで動けなければ死んだも同じ、胸に光るレンジャー徽章は本当のお飾りになってしまうだろう。
立ち上がる中佐は、わたしの胸中を見透かしたように言った。
「――――我々はアクエリアス奪還作戦を検討しておる。その先陣、"空挺部隊"としてならレンジャー資格を持つおぬしをねじ込めるが......本当に良いのか?」
ここで踏み出さないでいつ踏み出す? たとえ命を落とすとしても、一生後悔して過ごすよりかは何万倍もマシだ!
「はいッ! お願いします!」
絶対に助ける、そう約束したのはわたしだ。他の誰でもない。
信念と意地、約束と友情を胸に、戦火へ飛び込む覚悟をわたしは決める。
「――――よく言った!! 作戦開始は明日、第7航空艦隊の装甲飛行船に乗って、アクエリアスへ空挺降下してもらう!」
ベッドから下りたわたしに、フォルティシア中佐は付け加えた。
「ティナ・クロムウェル騎士長、本作戦は"2人揃っての帰還"のみを成功とみなす。王国の荒廃――――この一戦にありと心得よ!! 必ず助けてくるのじゃ!!」
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