闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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最後の仕上げ

「は、い…」

 思いきり上から見下ろされ光の無い目を向けられて男は、冷や汗を流しながらゆっくりと視線を下ろした。
 仲間内ではリーダー各で、いつも粋がってはいるが所詮は子ども。
 そんな素人が大人でしかも玄人相手に勝てるはずもない。

「今すぐ女を連れてここを出ろ。…いいな?」

  男はコクリと頷いた。
 彼女に裏切られたショックも重なって、脳が混乱していた。

「最後に忠告してやろう」

 そんな男に対して、九条は珍しく広大な砂漠に落とした米粒ほどには同情した。

「あの女はやめとけ」

 最後に少し笑ってしまったのは、なんの忠告にもなっていないと気づいたからだ。
 男はカチカチの体をなんとか動かすと「そうします」と呟いてその場を後にした。

 その後ろ姿を見送りながら九条はスマホを取り出し眞山に連絡を入れる。

「のんびりしてるか?」

  九条から冗談が飛び出るのは機嫌のいい証拠だ。
 面白そうに口の端を上げたものの直ぐに表情は元に戻る。

「…今から言う女の所属先を調べて後で報告しろ」

 壁に寄りかかり通話をする九条は、正直モデルでも通用する。
 整った顔に長身に見合う脚の長さ、スーツを着こなし独特のオーラは一分の隙も無い。
 まさかこの男が裏社会に繋がっているだなんて、誰も思いはしないだろう。
 トイレへ出入りする為に横切っていく女性達は、必ず九条を何度も見返した。
 男性客も思わず見てしまう。
 そんな視線は一切気にかける事なく、九条は眞山への連絡を終えるとスマホを内ポケットへと仕舞った。

 一段落ついた九条はひとつ息を吐くと、祐羽の待つ場所へと足早に向かった。
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