闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
694 / 1,010

12

しおりを挟む
    どこの組の仕業なのか思い当たるところが多すぎて、検討もつかない。
    ここに来ている関係者は、ピンからキリまでとはいえ誰もが玄人で手練れ。
    素知らぬ顔で飄々と式に参加しているのだ。
    裏社会の人間を相手にするのは神経を磨り減らす。
    早く終わってくれ!と、口をついて出そうになる。
    目的が何かは定かではないとはいえ、外崎はあの美貌で普段から肉体的にもちょっかいを出されていると聞くが…無事なのか?
    祐羽の場合はこの世界に最近まで縁もゆかりもない全くの素人で無関係のまだ子どもだ。
    拉致されて怖い思いをしているが、精神的に大丈夫だろうか…。
    それから眞山は最後に中瀬の顔をぼんやりと浮かべた。
    とある件で遭遇して自分が助けたばかりに恩だか何だか知らないが、こちらに足を踏み入れてしまった青年。
    いつでも後を着いて来て、慕ってくれるその感情が年甲斐もなくくすぐったい。
    何度か足を洗わせる為に諭した事もあったが、決して頭を縦には振らなかった。
    いつでも一生懸命で、電話をすれば少し緊張で上ずった声で応える第一声。
    顔を合わせれば何か言いたげな…。
「…無茶だけはするなよ」
    自分の顔を見つめる時の中瀬の瞳に宿る熱を思い出して、眞山は無事を祈るばかりだった。



    そんな眞山の願いが届くはずもなく、中瀬はじっとしてはいられず室内唯一の窓からの脱出を試みて外の様子を伺っていた。
「ダメだ…」
    窓の外は建物の裏側にあたるらしく少しばかり崖になっていて、どう考えても脱出は無謀に思えた。
    なんとか出られたとしても万が一滑ってしまえば滑落してかなり下までいきそうだ。
    ここは表に回らなければ街へと下りることは不可能そうだった。
「どうかな?何とか行けそう?」
    外崎が横から外の造りを見ながら中瀬の意見を訊く。 
    見晴らしの良い場所で、敢えて建てたのであろう崖に出っ張った造りを恨んでしまう。
    見渡す限り山で、遠くに海が見える。
「いや、難しいかもです。建物のちょっと出てる所へ掴まれば何とかなるかもだけど、相当筋力無いと崖下に一直線な感じですね」
「そっか…」
「それに建物の表に回らないと道路へ出られないし、出られたとしてもアイツらの居たリビングから丸見えです」
    中瀬は連れて来られた時に部屋の構造から、敵側の人数や顔をほぼ頭に入れていた。
「じゃぁ、ここからは逃げられないってことですか?」
    祐羽の今にも泣きそうなその不安な顔を見て中瀬は頭を撫でてやる。
しおりを挟む
感想 162

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...