桜の若木

櫟 真威

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「あなたの声は柔らかい。
耳許で名を呼んでほしい」

石鹸だらけの身体で私に抱きつき、懇願している彼。
その彼こそ私の耳に甘い声を流し込んでいる。
背筋がぞくりとする。
その声で私の名を囁いた。
私の名を。
それはさながら媚薬のようだ。
私の身体から力が抜ける。

「ましゃたけさん……」

そこからの彼の行動は早かった。
簡単な結びとはいえ私の帯を解き着物を脱がせ、気づけば裸にされていた。
明るい中で肌を晒したことはない。
彼は私の顔と云わず首と云わずあちこちに吸い付いた。
その手が乳房をむにむにと揉みしだいている。
私はその度に雷に打たれたようにひくひくと痙攣した。
合わせた唇から舌を差し入れられ、私は吐息を熱くする。
いつもの儀式とは比べ物にならない、桁外れな刺激である。
いつも熱いもので穿たれる秘所へも指が延びた。

「あっいやっ」

恥ずかしさのあまり身をくねらせるが彼は取り合わない。
その指のもたらした電撃で私は意識を飛ばした。

ふと気づくと、まだ終わっていなかった。
私が失神したのは僅かな間だと思うが、その間も彼は私の乳房に吸い付いていた。
指は秘所を抜き差しされ、中で蠢き内壁を擦る。
親指がこりこりした所を探り当て丹念に刺激している。
私は幾度か失神しそうになった。
実際失神していたのかもしれない。
ごぽり、と中から何かが溢れた。

「いやぁっ」

漏らした、と思った。
しかし彼は楽しそうに私の耳元に唇を寄せる。

「乱れるあなたが可愛い」

彼のために用意した浴衣で私は包まれ、和室へと運ばれた。
彼は布団を敷くと私を横たえ、覆い被さる。
私はというとぐったりとしていて何も考えられない。
彼が侵入してきた時、やはり声が出た。
彼は私の頭を抱え込むようにし静かに律動を始める。
彼の胸が目の前にあった。
無意識にそこに鼻を押しつける。
ふわふわとした毛並み。
柔らかい。
彼に包まれている。
苦行だなんて誰が云ったのか。
こんなに幸せな行為を。
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