12 / 12
マサタケの話
3
しおりを挟む
通りの方から物売りの声が聞こえる。
日が高くなっていた。
休日前夜だからと寝かせてやらなかったせいで妻はまだ眠そうだ。
俺の胸に鼻を埋めてうつらうつらしている。
大きな犬とでも思うのか、この胸毛をたいそう気に入ってくれた。
俺の悩みは小さかった。
くすぐったいのだが、たまらなく嬉しい。
その頭を撫でる。
鼻を埋めながら、恥ずかしそうに、小さな声で呟いた。
義姉と俺に何かあったと邪推していた、と。
あの日の顛末を正直に話す。
色恋はないのだと話すと詫びられた。
そしてまた鼻を埋めてくる。
たまらなく可愛い。
「お昼、なにを食べたいですか」
ここで、あなたを、と云ったら呆れられるだろうか。
赤くなって、それでも微笑んでくれるだろうか。
「こ、こういう事って、夜に、なのでは」
囁くように細い声が聞こえた。
吐息が胸毛を揺らすのでくすぐったい。
「愛しくてたまらない。
自分でも呆れている」
可愛らしい妻を、腹の虫が鳴るまで堪能してしまった。
ここまで色恋にうつつを抜かすとは思わなかった。
だが、今最高に幸せだ。
うとうとしている妻を布団に残し、自慢の手料理を振る舞おうと思いつく。
うどんなのだが。
※最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
日が高くなっていた。
休日前夜だからと寝かせてやらなかったせいで妻はまだ眠そうだ。
俺の胸に鼻を埋めてうつらうつらしている。
大きな犬とでも思うのか、この胸毛をたいそう気に入ってくれた。
俺の悩みは小さかった。
くすぐったいのだが、たまらなく嬉しい。
その頭を撫でる。
鼻を埋めながら、恥ずかしそうに、小さな声で呟いた。
義姉と俺に何かあったと邪推していた、と。
あの日の顛末を正直に話す。
色恋はないのだと話すと詫びられた。
そしてまた鼻を埋めてくる。
たまらなく可愛い。
「お昼、なにを食べたいですか」
ここで、あなたを、と云ったら呆れられるだろうか。
赤くなって、それでも微笑んでくれるだろうか。
「こ、こういう事って、夜に、なのでは」
囁くように細い声が聞こえた。
吐息が胸毛を揺らすのでくすぐったい。
「愛しくてたまらない。
自分でも呆れている」
可愛らしい妻を、腹の虫が鳴るまで堪能してしまった。
ここまで色恋にうつつを抜かすとは思わなかった。
だが、今最高に幸せだ。
うとうとしている妻を布団に残し、自慢の手料理を振る舞おうと思いつく。
うどんなのだが。
※最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる