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まずは
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幽霊になったことに気づいた俺は、この部屋から出るために色んなことに挑戦していた。
壁をすり抜けようとしてみたり、ものを掴めないか試してみたり
しかし、どれも上手くいかなかった。
壁は抜けようとすれば途中で引っかかってしまう
物も掴めない。
つまり、まぁ…
何も出来ないことがこれで分かった。
せめて、ここに残ってるのなら、君に会いに行きたいのにそれが出来ない
1人でただ死んだ後の時間を感じるだけのつまらない日常。
この世に残した未練である
「彼女の幸せ」
それを叶えることが出来ないのである。
ほんと…どうすれば…
「つまらなそうな顔だねー、せっかく君のために魂だけは残してあげたのにさ」
!?
知らない声が部屋に響く
部屋に響く声の主を探すために周りを見渡す。
しかし、どこにも声の主らしい人はどこにもいない。
「こっちだよ、こっちー」
後ろから声がする
後ろを振り向くと、そこには彼女から貰ったぬいぐるみのツムがあった。
…まさか
「ここだよー。あ、やっと目が合った。こんにちはー」
ぬいぐるみのツムが手を振っている。
…嘘
「え、な、え、え、ツムが、え、こわ」
「いや…幽霊に言われたくないんだけど」
「あ…そっか…じゃなくて、なんで喋れるの!?なんで動けるの!?」
「まぁまぁ、詳しい話は後でいいじゃないかー!」
よっこいしょ…
ツムが手を膝につき立ち上がった。
…状況が理解できない
「さてと、はじめまして。僕は死神のタナトだよ」
「…死神?タナト?」
「そ、君の魂を取るはずだった死神でーす。よろしくねー?」
「…は、はぁ」
「…信じられない感じ?」
「そりゃ…死神とか、神様とかいないと思ってましたから…」
「そっか、なら普段の姿見せた方が早いね」
バタッ
ツムは抜け殻のようにぐったりしてしまう
いや、これが普通の状態だ。
そして、その上に
あぐらをかいて浮いている存在がひとつ
紫メッシュの入った黒髪
真っ白な肌に、赤いぱっちりとした目
そして、スケルトン柄のクマのビックシルエットのパーカーをみにつけている小柄な青年
…量産型?サブカル系?東京の街を歩いている時は何回も見たことある見た目だ。
しかし、唯一そういった系統と違うところがひとつ。
鎌があることである。
「これで信じてくれたー?」
「…えっと…なんか、イメージと違ってて余計理解が追いつかないって言うか…」
「あー、この服のことー?人間界の洋服可愛いんだよねー、気に入っちゃったから真似してるんだ。」
「いや…それもあるんだけど、なんか…骸骨的なイメージがあったから」
「何その古いイメージw。今どきそんな死神居ないよー?」
げらげらと脚を叩きながら笑い始める死神を名乗る青年、タナト。
…本物なのか?
「その顔だとまだ信じてないようだねー」
「…まぁ、なんか…はい…」
「はぁ…普通に「ぎゃぁぁぁ!」とか、めちゃくちゃ驚いてくれるの想定してたのにさー?つまんないのー」
「…なんかすみません」
「いいよ別に、信じても信じなくても話を進める予定だったしさ」
よっと
そういいタナトは僕の方にふわふわと近づき口と口が触れてしまいそうな程の距離まで近づいてきた。
「…お前の今後の運命、命、生まれ変わりでさえ全て僕の手のひらの上にある。あの時今すぐに魂をとってやってもよかったんだ。命の恩人だと思って大人しく話を聞けよ?」
禍々しいオーラを放ち始める。
そして
鈍く光る赤い目が殺意の塊であることを示し始め、俺は体が動かなくなった。
…このままじゃ、魂ごと…消される
「…わかった」
「よろしいー!物分りがいい子だ!素直な子は嫌いじゃないよー」
ニコッと笑いながらスっと離れるタナト
…禍々しいオーラと言い、あの目といい…
今まで神も幽霊も信じてなかった俺には驚きの時間でしか無かったが
今は認めざるおえない。
「…で、話ってなんですか」
「そんな焦んないでってー、まぁ、かいつまんで簡単に言うとだね…」
君の彼女に合わせてあげるよ
条件次第だけどね
死神は不気味な笑顔をうかべ、僕に交渉を迫ってきた。
壁をすり抜けようとしてみたり、ものを掴めないか試してみたり
しかし、どれも上手くいかなかった。
壁は抜けようとすれば途中で引っかかってしまう
物も掴めない。
つまり、まぁ…
何も出来ないことがこれで分かった。
せめて、ここに残ってるのなら、君に会いに行きたいのにそれが出来ない
1人でただ死んだ後の時間を感じるだけのつまらない日常。
この世に残した未練である
「彼女の幸せ」
それを叶えることが出来ないのである。
ほんと…どうすれば…
「つまらなそうな顔だねー、せっかく君のために魂だけは残してあげたのにさ」
!?
知らない声が部屋に響く
部屋に響く声の主を探すために周りを見渡す。
しかし、どこにも声の主らしい人はどこにもいない。
「こっちだよ、こっちー」
後ろから声がする
後ろを振り向くと、そこには彼女から貰ったぬいぐるみのツムがあった。
…まさか
「ここだよー。あ、やっと目が合った。こんにちはー」
ぬいぐるみのツムが手を振っている。
…嘘
「え、な、え、え、ツムが、え、こわ」
「いや…幽霊に言われたくないんだけど」
「あ…そっか…じゃなくて、なんで喋れるの!?なんで動けるの!?」
「まぁまぁ、詳しい話は後でいいじゃないかー!」
よっこいしょ…
ツムが手を膝につき立ち上がった。
…状況が理解できない
「さてと、はじめまして。僕は死神のタナトだよ」
「…死神?タナト?」
「そ、君の魂を取るはずだった死神でーす。よろしくねー?」
「…は、はぁ」
「…信じられない感じ?」
「そりゃ…死神とか、神様とかいないと思ってましたから…」
「そっか、なら普段の姿見せた方が早いね」
バタッ
ツムは抜け殻のようにぐったりしてしまう
いや、これが普通の状態だ。
そして、その上に
あぐらをかいて浮いている存在がひとつ
紫メッシュの入った黒髪
真っ白な肌に、赤いぱっちりとした目
そして、スケルトン柄のクマのビックシルエットのパーカーをみにつけている小柄な青年
…量産型?サブカル系?東京の街を歩いている時は何回も見たことある見た目だ。
しかし、唯一そういった系統と違うところがひとつ。
鎌があることである。
「これで信じてくれたー?」
「…えっと…なんか、イメージと違ってて余計理解が追いつかないって言うか…」
「あー、この服のことー?人間界の洋服可愛いんだよねー、気に入っちゃったから真似してるんだ。」
「いや…それもあるんだけど、なんか…骸骨的なイメージがあったから」
「何その古いイメージw。今どきそんな死神居ないよー?」
げらげらと脚を叩きながら笑い始める死神を名乗る青年、タナト。
…本物なのか?
「その顔だとまだ信じてないようだねー」
「…まぁ、なんか…はい…」
「はぁ…普通に「ぎゃぁぁぁ!」とか、めちゃくちゃ驚いてくれるの想定してたのにさー?つまんないのー」
「…なんかすみません」
「いいよ別に、信じても信じなくても話を進める予定だったしさ」
よっと
そういいタナトは僕の方にふわふわと近づき口と口が触れてしまいそうな程の距離まで近づいてきた。
「…お前の今後の運命、命、生まれ変わりでさえ全て僕の手のひらの上にある。あの時今すぐに魂をとってやってもよかったんだ。命の恩人だと思って大人しく話を聞けよ?」
禍々しいオーラを放ち始める。
そして
鈍く光る赤い目が殺意の塊であることを示し始め、俺は体が動かなくなった。
…このままじゃ、魂ごと…消される
「…わかった」
「よろしいー!物分りがいい子だ!素直な子は嫌いじゃないよー」
ニコッと笑いながらスっと離れるタナト
…禍々しいオーラと言い、あの目といい…
今まで神も幽霊も信じてなかった俺には驚きの時間でしか無かったが
今は認めざるおえない。
「…で、話ってなんですか」
「そんな焦んないでってー、まぁ、かいつまんで簡単に言うとだね…」
君の彼女に合わせてあげるよ
条件次第だけどね
死神は不気味な笑顔をうかべ、僕に交渉を迫ってきた。
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