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第二章 生徒会編
リリアーナの策略
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心配そうな表情をするレオン様とマリア様に別れを告げた後、私は一人で招待されたサロンへと向かいました。
そのサロンは『政治学科』の学舎からかなり離れていて、裏庭を通るのが一番近道だそうです。
レオノラ様から頂いた便箋の中にはサロンへの道筋を描いたメモも同封されていたので、道に迷うことなく裏庭まで辿り着きました。
そして、メモに目を落として裏庭からサロンまでの道筋を確認しながら歩いていると、前から足音が聞こえてきました。
「アリア様・・」
私を呼ぶ声に視線を向けると、そこには今からサロンで会う筈のレオノラ様が沈痛な表情をしながら立っていました。
「レオノラ様・・何故こちらに?わざわざ迎えに来てくださったのですか?」
私が尋ねると、レオノラ様がふるふると首を振りました。
「違うのですっ!アリア様・・その!ごめんなさい!」
「え?」
レオノラ様にいきなり謝られて、私はこてりと首を傾げました。
ザザッ!!
その直後、レオノラ様の背後にある物陰から、複数の令嬢達が出てきました。
「リリアーナ様・・・」
私の前に突如現れた令嬢達は、リリアーナ様とその取り巻きでした。
「ふふふ・・ご苦労だったわね、レオノラ」
リリアーナ様は口角を吊り上げながら、レオノラ様の肩に手を置きました。
「っ・・・!!」
すると、リリアーナ様は歯を食いしばって俯いた後、私に背を向けて走り去って行きました。
「あら?わたくしに断りなく去っていくなんて。まあいいわ・・レオノラはまた今度じっくりお仕置きするとして・・」
リリアーナ様は、走り去るレオノラ様をどうでもいいと言った様子で一瞥した後、私をギッ!と睨みつけました。
「貴女、目障りですわ!!」
「わたくしは幼馴染であるレオンハルト殿下をずっとお慕いしておりますのよ?それなのに、ぽっと出てきた平民の女がちょろちょろし始めたせいで、殿下は全くわたくしに目を向けてくださらないわ!」
「平民だった貴女にはわからないでしょうけど、わたくしのお父様はこの国の宰相で、わたくしは殿下の婚約者に最も近い存在なのですわ!」
「それなのに!!当たり前のように殿下の側にいて、あまつさえ愛称で呼ぶなんて!」
「それに、最近はレオンハルト殿下だけでなくディートリヒ殿下にまで纏わりついて、貴女は一体何様のつもりですの!?」
リリアーナ様は憎悪の表情を向けながら私に好き放題言い放った後、顎で取り巻き達に指図しました。
「貴方達、やってしまいなさい」
ダダッ!!
「きゃっ!?」
すると突然、リリアーナ様の取り巻き達が私の身体や手を掴んで身動きを取れないようにしてきました。
ツカツカ・・。
そして、動けなくなった私にリリアーナ様が不敵な笑みを浮かべながら近づいてきました。
「それもこれも、貴女がこんなものを持っているからいけないのですわ!」
そう言いながら、リリアーナ様は私の髪についたバレッタに手をかけました。
「あっ!?やめ・・!?」
私の髪からバレッタを乱雑に外したリリアーナ様は、そのまま奪い取ったバレッタを側にある用水路に向かって投げ捨てました。
バチャン!!
「あっ!!?」
投げ捨てられたバレッタを目で追っていると、私を拘束していた取り巻きの令嬢達が身体を突き飛ばしてきました。
ドシャッ!
「きゃあ!!」
そして、そのまま地面に倒れた私をリリアーナ様がしてやったり顔で見下ろしてきました。
「ふふ・・無様ですわね。早くしないと貴女の大切なバレッタが流されてしまって、二度と見つからなくなりますわよ!」
「っ!?」
タタタッ!バシャーン!!
リリアーナ様の言葉にはっとした私は、そのまま用水路に走り寄って飛び降りました。
「オホホホ・・!精々頑張ってくださいな。二度と見つからない事を祈っていますわ!」
リリアーナ様はそう吐き捨てながら、取り巻き達と立ち去っていきました。
「どこ!?私のバレッタ!!」
裏庭の遊歩道に併設された身の丈程の深さがある用水路は水位こそ膝上くらいまでですが、今の季節でも冷たく、飛び込んだ時に跳ねた飛沫でずぶ濡れになってしまいました。
しかも、用水路の水はそれなりに流速が速く、早くしないとバレッタが流されてしまいます。
用水路を流れる水の行く先はおそらく海なので、このままだと本当に見つからなくなってしまいます。
「どこ!?どこにあるんですか!?」
私はその後もしばらくバレッタを探し続けましたが、見つけ出すことができません。
「うう・・諦めるわけにはいきません!」
私は凍える身体に鞭打ちながら、更に下流を探すことにしました。
既に、リリアーナ様が投げ捨てた場所から数十メートル下流のところまで探しにきました。
水路の水は濁っているので、私はひたすら手探りでバレッタを探し続けます。
そして、探し出してから一時間が過ぎた頃、底を探る手に覚えのある感触がありました。
バシャッ!
「あ・・ありました!!」
必死の捜索が実り、私はようやく水路の底からバレッタを探し出すことができました。
サバサバ・・。
その後、一時間ぶりに水路から上がった私は、思わず自分のバレッタを胸に抱きました。
「・・・よかったです!!」
ほっとした瞬間、私の視界が涙で歪むのがわかりました。
「うっ・・えぐっ!!」
今までバレッタを必死に探していて気にする暇がありませんでしたが、汚れた水でずぶ濡れになった自分の惨めさに涙がとまりません。
「アリア!!」
しばらくそうしていると、突如覚えのある声が聞こえてきました。
「デ・・ディートリヒ殿下・・!?」
「どうしたんだ!?アリア!!ずぶ濡れじゃないか!!」
ディートリヒ殿下は驚いた表情をしながら私に駆け寄ってきました。
「それは、その・・バレッタを水路に落としてしまって・・」
私は思わずリリアーナ様の事を伏せて嘘をついてしまいました。
「・・アリアはレオノラ嬢に誘われてサロンに行っていたんじゃなかったのか?それに髪に付いている飾りが用水路に落ちるか?わざわざ覗き込んで眺めるほど美しいものでもないだろうに・・くそ!そういうことか!!」
ディートリヒ殿下は一人思案して何やら思い詰めた表情になると、そのまま私を横抱きにしました。
「きゃあ!?デ・・ディートリヒ様!?やめてください!制服が汚れます!!」
「制服なんかいくらでも替えがある!それよりもずぶ濡れのアリアの方が心配だ!!」
「わ、私は大丈夫ですから!下ろしてください!!」
「ダメだ!近くに生徒会室がある!!ひとまずアリアが風邪をひいてしまう前にそこへ連れて行く!」
「ええ!?そんな!ディートリヒ殿下!?」
そして、私はディートリヒ殿下に横抱きにされたまま、生徒会室まで運ばれることになりました。
そのサロンは『政治学科』の学舎からかなり離れていて、裏庭を通るのが一番近道だそうです。
レオノラ様から頂いた便箋の中にはサロンへの道筋を描いたメモも同封されていたので、道に迷うことなく裏庭まで辿り着きました。
そして、メモに目を落として裏庭からサロンまでの道筋を確認しながら歩いていると、前から足音が聞こえてきました。
「アリア様・・」
私を呼ぶ声に視線を向けると、そこには今からサロンで会う筈のレオノラ様が沈痛な表情をしながら立っていました。
「レオノラ様・・何故こちらに?わざわざ迎えに来てくださったのですか?」
私が尋ねると、レオノラ様がふるふると首を振りました。
「違うのですっ!アリア様・・その!ごめんなさい!」
「え?」
レオノラ様にいきなり謝られて、私はこてりと首を傾げました。
ザザッ!!
その直後、レオノラ様の背後にある物陰から、複数の令嬢達が出てきました。
「リリアーナ様・・・」
私の前に突如現れた令嬢達は、リリアーナ様とその取り巻きでした。
「ふふふ・・ご苦労だったわね、レオノラ」
リリアーナ様は口角を吊り上げながら、レオノラ様の肩に手を置きました。
「っ・・・!!」
すると、リリアーナ様は歯を食いしばって俯いた後、私に背を向けて走り去って行きました。
「あら?わたくしに断りなく去っていくなんて。まあいいわ・・レオノラはまた今度じっくりお仕置きするとして・・」
リリアーナ様は、走り去るレオノラ様をどうでもいいと言った様子で一瞥した後、私をギッ!と睨みつけました。
「貴女、目障りですわ!!」
「わたくしは幼馴染であるレオンハルト殿下をずっとお慕いしておりますのよ?それなのに、ぽっと出てきた平民の女がちょろちょろし始めたせいで、殿下は全くわたくしに目を向けてくださらないわ!」
「平民だった貴女にはわからないでしょうけど、わたくしのお父様はこの国の宰相で、わたくしは殿下の婚約者に最も近い存在なのですわ!」
「それなのに!!当たり前のように殿下の側にいて、あまつさえ愛称で呼ぶなんて!」
「それに、最近はレオンハルト殿下だけでなくディートリヒ殿下にまで纏わりついて、貴女は一体何様のつもりですの!?」
リリアーナ様は憎悪の表情を向けながら私に好き放題言い放った後、顎で取り巻き達に指図しました。
「貴方達、やってしまいなさい」
ダダッ!!
「きゃっ!?」
すると突然、リリアーナ様の取り巻き達が私の身体や手を掴んで身動きを取れないようにしてきました。
ツカツカ・・。
そして、動けなくなった私にリリアーナ様が不敵な笑みを浮かべながら近づいてきました。
「それもこれも、貴女がこんなものを持っているからいけないのですわ!」
そう言いながら、リリアーナ様は私の髪についたバレッタに手をかけました。
「あっ!?やめ・・!?」
私の髪からバレッタを乱雑に外したリリアーナ様は、そのまま奪い取ったバレッタを側にある用水路に向かって投げ捨てました。
バチャン!!
「あっ!!?」
投げ捨てられたバレッタを目で追っていると、私を拘束していた取り巻きの令嬢達が身体を突き飛ばしてきました。
ドシャッ!
「きゃあ!!」
そして、そのまま地面に倒れた私をリリアーナ様がしてやったり顔で見下ろしてきました。
「ふふ・・無様ですわね。早くしないと貴女の大切なバレッタが流されてしまって、二度と見つからなくなりますわよ!」
「っ!?」
タタタッ!バシャーン!!
リリアーナ様の言葉にはっとした私は、そのまま用水路に走り寄って飛び降りました。
「オホホホ・・!精々頑張ってくださいな。二度と見つからない事を祈っていますわ!」
リリアーナ様はそう吐き捨てながら、取り巻き達と立ち去っていきました。
「どこ!?私のバレッタ!!」
裏庭の遊歩道に併設された身の丈程の深さがある用水路は水位こそ膝上くらいまでですが、今の季節でも冷たく、飛び込んだ時に跳ねた飛沫でずぶ濡れになってしまいました。
しかも、用水路の水はそれなりに流速が速く、早くしないとバレッタが流されてしまいます。
用水路を流れる水の行く先はおそらく海なので、このままだと本当に見つからなくなってしまいます。
「どこ!?どこにあるんですか!?」
私はその後もしばらくバレッタを探し続けましたが、見つけ出すことができません。
「うう・・諦めるわけにはいきません!」
私は凍える身体に鞭打ちながら、更に下流を探すことにしました。
既に、リリアーナ様が投げ捨てた場所から数十メートル下流のところまで探しにきました。
水路の水は濁っているので、私はひたすら手探りでバレッタを探し続けます。
そして、探し出してから一時間が過ぎた頃、底を探る手に覚えのある感触がありました。
バシャッ!
「あ・・ありました!!」
必死の捜索が実り、私はようやく水路の底からバレッタを探し出すことができました。
サバサバ・・。
その後、一時間ぶりに水路から上がった私は、思わず自分のバレッタを胸に抱きました。
「・・・よかったです!!」
ほっとした瞬間、私の視界が涙で歪むのがわかりました。
「うっ・・えぐっ!!」
今までバレッタを必死に探していて気にする暇がありませんでしたが、汚れた水でずぶ濡れになった自分の惨めさに涙がとまりません。
「アリア!!」
しばらくそうしていると、突如覚えのある声が聞こえてきました。
「デ・・ディートリヒ殿下・・!?」
「どうしたんだ!?アリア!!ずぶ濡れじゃないか!!」
ディートリヒ殿下は驚いた表情をしながら私に駆け寄ってきました。
「それは、その・・バレッタを水路に落としてしまって・・」
私は思わずリリアーナ様の事を伏せて嘘をついてしまいました。
「・・アリアはレオノラ嬢に誘われてサロンに行っていたんじゃなかったのか?それに髪に付いている飾りが用水路に落ちるか?わざわざ覗き込んで眺めるほど美しいものでもないだろうに・・くそ!そういうことか!!」
ディートリヒ殿下は一人思案して何やら思い詰めた表情になると、そのまま私を横抱きにしました。
「きゃあ!?デ・・ディートリヒ様!?やめてください!制服が汚れます!!」
「制服なんかいくらでも替えがある!それよりもずぶ濡れのアリアの方が心配だ!!」
「わ、私は大丈夫ですから!下ろしてください!!」
「ダメだ!近くに生徒会室がある!!ひとまずアリアが風邪をひいてしまう前にそこへ連れて行く!」
「ええ!?そんな!ディートリヒ殿下!?」
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