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第二章 生徒会編
取り返しのつかない過ち2
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カツカツカツカツ・・・。
私が目の前の光景に呆然としていると、開け放たれた入口の向こうから早足で歩く足音が聞こえてきました。
「「「っ!?」」」
そして、生徒会室へ入室してきたその足音の元となる二人の人物に、その場に居合わせた全員が瞠目しました。
直後、気を取り直した『聖騎士団』の皆さんが素早く跪きます。
突如、生徒会室に入室してきた白銀の髪を輝かせた二人の女性・・。
それは、『聖騎士』シエラ様と『聖女』リリス様でした。
「アリアさん、大丈夫ですか!?」
シエラ様は酷く慌てた様子で私に歩み寄り、私の髪に戻ってきたバレッタに目を向けます。
「はい!ディートリヒ殿下のお蔭で何ともありません。バレッタも無事に戻りました」
「はあ・・・よかったですね。バレッタがもし見つからないなんてことになれば、それこそ大変な事態になっていましたから」
リリス様もバレッタの無事を確認して、ほっと胸を撫で下ろしていました。
しかし、その後突然二人の表情がすっと抜け落ちました。
「・・・・・」
私はその表情を見て、何故か背筋がぞくりとするのを感じました。
パアァァァ・・・!
シエラ様とリリス様は戸惑う私達を置いて、そのまま空に魔導式を展開し始めました。
そして、二人はそれぞれ右手を展開した魔導式へ差し込みます。
ズズズ・・・!!!
「「「「っ!?」」」
その魔導式はどうやら『収納魔導』のようで、そこから顕現してきたものに全員が再び息を呑みました。
何故なら、シエラ様とリリス様が『収納魔導』から顕現させたのが、淡い白銀の光を纏っている見事な意匠のバスターアックスと魔杖だったからです。
何故二人は突然武器を、それも伝説として語り継がれるほどの物を取り出し始めたのでしょうか。
「あ・・あの!シエラ様・・リリス様!!私の目に間違いがなければ、御身が携えてらっしゃるのは『聖斧レガリア』と『聖杖エーテリア』と見受けられますが・・」
二人の『神族』に尋ねるレオン様の声は、とても震えています。
「・・・・リリアーナ侯爵令嬢とライオネル卿はどちらに・・・?」
しかし、リリス様はレオン様の言葉を無視して表情を崩さないまま尋ね返してきました。
それにレオン様が『ゴクリ』と息を呑みました。
ギリッ!!
一方、シエラ様からは『聖斧レガリア』を力強く握りこんでいる音が聞こえます。
私には、どうしても二つの『神器』が、リリアーナ様達に振るわれる為に取り出されたとしか思えませんでした。
『こら!シエラ!!リリス!!』
その時、シエラ様とリリス様のピアスから怒りを孕んだ声が聞こえてきました。
『あなた達!アリアちゃんのバレッタが捨てられたと聞いて腹を立てているのはわかるわ!』
『けど、いきなり私の艦船を動かして『ラビッシュ』へ最大速力で向かったあげく、私を置いて『レガリア』の転移能力で学園に行くなんて、一体どういうつもり!?』
その声は、畏れ多くも女神ハーティルティア様のものでした。
「・・・もちろん、至高なるハーティルティア様に仇為す存在を完膚なきまでに排除する為です」
淡々と答えるリリス様の言葉に、シエラ様が無言で頷きました。
『やめなさい!!あなた達がそんなもの振るったら、学園はおろか『ラビッシュ』まで消し飛んでしまうわ!!』
それを聞いた私はヒュッと息を呑み込みました。
ちなみに、『アーティナイ列島』の首都『カームクラン』から数十キロ離れたところには、『シエラ湖』という巨大な湖が存在します。
直径十数キロにもなるその世界最大の湖は、『アーティナイ』本島の水がめと言われ、住民の水源として広く活用されています。
その『シエラ湖』は、千年前にシエラ様が『邪神』を滅ぼす為に放った『聖斧レガリア』の一撃で生まれたクレーターに、長い年月をかけて降雨や湧水が溜まったことで生まれたものだと言われています。
そして、『シエラ湖』の周囲には昔、標高千メートルクラスの山脈がいくつもあったそうですが、その場所は現在平坦な台地となっています。
つまり、ハーティルティア様の言葉は史実を基にしたものであり、決して冗談ではないのです。
「ですが・・・っ!!ハーティルティア様!!」
『確かに『神器』について発生した事件は『女神教会』、ひいてはその最高指導者であるリリスが裁く事になっているわ』
『けど、私刑は絶対ダメよ、あくまで公平穏便に。わかった?』
「っ!・・・わかりました」
リリス様はピアスから聞こえてきた凄味のある声に対して、悔しそうに顔を顰めながら『最敬礼』を行いました。
ダダダダダ!!!
その時、別部隊と思われる『聖騎士団』の騎士が慌てた様子で入室してきました。
「『聖騎士』シエラ様!並びに『聖女』リリス様!御前で無礼と存じますが、急ぎの伝令がございます!!」
「ただ今、学園内でリリアーナ侯爵令嬢を、王都でライオネル公爵閣下及び公爵夫人を拘束しました!!」
「・・わかりました。では、私は取り急ぎ『レガリア』の転移能力を使って、王都から拘束されたライオネル公爵夫妻を連れてきます」
「リリアーナ侯爵令嬢はそのまま『イルティア・レ・イーレ』へ連れて来てください」
「はっ!」
伝令の騎士はシエラ様の言葉に一礼すると、踵を返して去って行きました。
「アリアさん、貴女も準備が整いましたら参考人として『イルティア・レ・イーレ』に来てください。今回は『イルティア自治国』の貴族が当事者となっているので、グラウス国王の名代としてレオンハルト王子にも来てもらいます」
「御意」
リリス様の言葉に、レオン様が跪いて頭を垂れながら返事をしました。
「・・・大変・・ええ、大変に不本意ではありますが、女神ハーティルティア様の御意向により、二時間後に緊急の『教会裁判』を行います。該当の方は『イルティア・レ・イーレ』にある謁見の間に集まってください」
「今回は緊急を要するので正装でなくても結構です。それでは、私たちは先に戻ります」
そう言うと、リリス様はシエラ様へ視線を向けます。
シエラ様はそれに頷くと、『聖斧レガリア』を掲げました。
「『能力解放』!!!!」
カッ!
ゴォォォォォ!!
「「「っ!?」」」
直後、『聖斧レガリア』から発生した、視界を埋め尽くす程の眩い光とマナの奔流に全員が目を塞ぎました。
オォォォォォ!!!
そして、光が収まった直後、シエラ様とリリス様の姿は無くなっていました。
「あれが・・・『聖斧レガリア』の転移能力・・」
一連の出来事を見て、ディートリヒ殿下が呆然としながら言葉を漏らしていました。
「お兄様・・」
一方、マリア様はレオン様へ不安げな視線を向けていました。
「・・・おそらく、リリアーナ嬢を含めたライオネル侯爵家は無事では済まないだろうな」
「っ!!」
レオン様の言葉に私は目を見開きました。
「『神器』は、全て例外無く『女神様』の手によって生み出されたものだ。当然、それらが生み出された時には、それぞれの理由や出来事というものが存在する」
「その中でも君の『白銀薔薇のバレッタ』やそれに収納されている『メルティーナ』は、特に『女神様』にとって・・そして、『聖女』様や『聖騎士』様にとっても大変思い出深い物である筈だ」
「それをあまつさえ、濁流の流れる用水路に廃棄して失わせようとしたんだ」
「・・『神族』の怒りを買った彼女は、間違いなくその責を問われるだろうな」
「・・・・・」
リリアーナ様は、只私が気に入らないという理由で些細な嫌がらせをしたつもりだった筈です。
それが、ここまで大事になってしまうなんて・・・。
私はみすみす大切なバレッタを奪われたことでリリアーナ様が裁かれることに、言いようのない胸の痛みを感じました。
そして、それから二時間後・・・。
とうとう、『イルティア・レ・イーレ』の玉座の前で、数百年ぶりとも言われている『教会裁判』が行われようとしていました。
私が目の前の光景に呆然としていると、開け放たれた入口の向こうから早足で歩く足音が聞こえてきました。
「「「っ!?」」」
そして、生徒会室へ入室してきたその足音の元となる二人の人物に、その場に居合わせた全員が瞠目しました。
直後、気を取り直した『聖騎士団』の皆さんが素早く跪きます。
突如、生徒会室に入室してきた白銀の髪を輝かせた二人の女性・・。
それは、『聖騎士』シエラ様と『聖女』リリス様でした。
「アリアさん、大丈夫ですか!?」
シエラ様は酷く慌てた様子で私に歩み寄り、私の髪に戻ってきたバレッタに目を向けます。
「はい!ディートリヒ殿下のお蔭で何ともありません。バレッタも無事に戻りました」
「はあ・・・よかったですね。バレッタがもし見つからないなんてことになれば、それこそ大変な事態になっていましたから」
リリス様もバレッタの無事を確認して、ほっと胸を撫で下ろしていました。
しかし、その後突然二人の表情がすっと抜け落ちました。
「・・・・・」
私はその表情を見て、何故か背筋がぞくりとするのを感じました。
パアァァァ・・・!
シエラ様とリリス様は戸惑う私達を置いて、そのまま空に魔導式を展開し始めました。
そして、二人はそれぞれ右手を展開した魔導式へ差し込みます。
ズズズ・・・!!!
「「「「っ!?」」」
その魔導式はどうやら『収納魔導』のようで、そこから顕現してきたものに全員が再び息を呑みました。
何故なら、シエラ様とリリス様が『収納魔導』から顕現させたのが、淡い白銀の光を纏っている見事な意匠のバスターアックスと魔杖だったからです。
何故二人は突然武器を、それも伝説として語り継がれるほどの物を取り出し始めたのでしょうか。
「あ・・あの!シエラ様・・リリス様!!私の目に間違いがなければ、御身が携えてらっしゃるのは『聖斧レガリア』と『聖杖エーテリア』と見受けられますが・・」
二人の『神族』に尋ねるレオン様の声は、とても震えています。
「・・・・リリアーナ侯爵令嬢とライオネル卿はどちらに・・・?」
しかし、リリス様はレオン様の言葉を無視して表情を崩さないまま尋ね返してきました。
それにレオン様が『ゴクリ』と息を呑みました。
ギリッ!!
一方、シエラ様からは『聖斧レガリア』を力強く握りこんでいる音が聞こえます。
私には、どうしても二つの『神器』が、リリアーナ様達に振るわれる為に取り出されたとしか思えませんでした。
『こら!シエラ!!リリス!!』
その時、シエラ様とリリス様のピアスから怒りを孕んだ声が聞こえてきました。
『あなた達!アリアちゃんのバレッタが捨てられたと聞いて腹を立てているのはわかるわ!』
『けど、いきなり私の艦船を動かして『ラビッシュ』へ最大速力で向かったあげく、私を置いて『レガリア』の転移能力で学園に行くなんて、一体どういうつもり!?』
その声は、畏れ多くも女神ハーティルティア様のものでした。
「・・・もちろん、至高なるハーティルティア様に仇為す存在を完膚なきまでに排除する為です」
淡々と答えるリリス様の言葉に、シエラ様が無言で頷きました。
『やめなさい!!あなた達がそんなもの振るったら、学園はおろか『ラビッシュ』まで消し飛んでしまうわ!!』
それを聞いた私はヒュッと息を呑み込みました。
ちなみに、『アーティナイ列島』の首都『カームクラン』から数十キロ離れたところには、『シエラ湖』という巨大な湖が存在します。
直径十数キロにもなるその世界最大の湖は、『アーティナイ』本島の水がめと言われ、住民の水源として広く活用されています。
その『シエラ湖』は、千年前にシエラ様が『邪神』を滅ぼす為に放った『聖斧レガリア』の一撃で生まれたクレーターに、長い年月をかけて降雨や湧水が溜まったことで生まれたものだと言われています。
そして、『シエラ湖』の周囲には昔、標高千メートルクラスの山脈がいくつもあったそうですが、その場所は現在平坦な台地となっています。
つまり、ハーティルティア様の言葉は史実を基にしたものであり、決して冗談ではないのです。
「ですが・・・っ!!ハーティルティア様!!」
『確かに『神器』について発生した事件は『女神教会』、ひいてはその最高指導者であるリリスが裁く事になっているわ』
『けど、私刑は絶対ダメよ、あくまで公平穏便に。わかった?』
「っ!・・・わかりました」
リリス様はピアスから聞こえてきた凄味のある声に対して、悔しそうに顔を顰めながら『最敬礼』を行いました。
ダダダダダ!!!
その時、別部隊と思われる『聖騎士団』の騎士が慌てた様子で入室してきました。
「『聖騎士』シエラ様!並びに『聖女』リリス様!御前で無礼と存じますが、急ぎの伝令がございます!!」
「ただ今、学園内でリリアーナ侯爵令嬢を、王都でライオネル公爵閣下及び公爵夫人を拘束しました!!」
「・・わかりました。では、私は取り急ぎ『レガリア』の転移能力を使って、王都から拘束されたライオネル公爵夫妻を連れてきます」
「リリアーナ侯爵令嬢はそのまま『イルティア・レ・イーレ』へ連れて来てください」
「はっ!」
伝令の騎士はシエラ様の言葉に一礼すると、踵を返して去って行きました。
「アリアさん、貴女も準備が整いましたら参考人として『イルティア・レ・イーレ』に来てください。今回は『イルティア自治国』の貴族が当事者となっているので、グラウス国王の名代としてレオンハルト王子にも来てもらいます」
「御意」
リリス様の言葉に、レオン様が跪いて頭を垂れながら返事をしました。
「・・・大変・・ええ、大変に不本意ではありますが、女神ハーティルティア様の御意向により、二時間後に緊急の『教会裁判』を行います。該当の方は『イルティア・レ・イーレ』にある謁見の間に集まってください」
「今回は緊急を要するので正装でなくても結構です。それでは、私たちは先に戻ります」
そう言うと、リリス様はシエラ様へ視線を向けます。
シエラ様はそれに頷くと、『聖斧レガリア』を掲げました。
「『能力解放』!!!!」
カッ!
ゴォォォォォ!!
「「「っ!?」」」
直後、『聖斧レガリア』から発生した、視界を埋め尽くす程の眩い光とマナの奔流に全員が目を塞ぎました。
オォォォォォ!!!
そして、光が収まった直後、シエラ様とリリス様の姿は無くなっていました。
「あれが・・・『聖斧レガリア』の転移能力・・」
一連の出来事を見て、ディートリヒ殿下が呆然としながら言葉を漏らしていました。
「お兄様・・」
一方、マリア様はレオン様へ不安げな視線を向けていました。
「・・・おそらく、リリアーナ嬢を含めたライオネル侯爵家は無事では済まないだろうな」
「っ!!」
レオン様の言葉に私は目を見開きました。
「『神器』は、全て例外無く『女神様』の手によって生み出されたものだ。当然、それらが生み出された時には、それぞれの理由や出来事というものが存在する」
「その中でも君の『白銀薔薇のバレッタ』やそれに収納されている『メルティーナ』は、特に『女神様』にとって・・そして、『聖女』様や『聖騎士』様にとっても大変思い出深い物である筈だ」
「それをあまつさえ、濁流の流れる用水路に廃棄して失わせようとしたんだ」
「・・『神族』の怒りを買った彼女は、間違いなくその責を問われるだろうな」
「・・・・・」
リリアーナ様は、只私が気に入らないという理由で些細な嫌がらせをしたつもりだった筈です。
それが、ここまで大事になってしまうなんて・・・。
私はみすみす大切なバレッタを奪われたことでリリアーナ様が裁かれることに、言いようのない胸の痛みを感じました。
そして、それから二時間後・・・。
とうとう、『イルティア・レ・イーレ』の玉座の前で、数百年ぶりとも言われている『教会裁判』が行われようとしていました。
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