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第二章 生徒会編
生徒会活動
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シエラ様との模擬試合が終わった後、『教会裁判』の一件で滞在していた『イルティア・レ・イーレ』は学園から『聖都リーフィア』へと去って行きました。
そして、ディートリヒ殿下の提案で生徒会の役員に組み込まれてしまった私は、リリアーナ様が行っていた業務を教えてもらいながら慌ただしい日々を過ごしていました。
そんな日々が始まってひと月が経とうとした頃、私はすっかり馴染んでしまった生徒会の執務室で、他の役員の皆と紅茶を飲みながら一息ついていました。
「いやあ、流石俺が見込んだだけあって、アリアは呑み込みが早くて助かるよ」
ディートリヒ殿下が紺色の瞳を細めながら、優しく微笑みかけてきました。
その美しい顔を見て恥ずかしくなった私は、思わず手元の紅茶に視線を落としました。
「いえ・・・私はまだまだで・・」
「アリアは生徒会に入ったばかりなんだ。それにしては何事にも仕事がてきぱきとしていて本当に助かっているよ」
そう言いながら、レオン様まで微笑みを向けてきます。
「い、一応『ヨークスカ』で宿屋の仕事を手伝っていた経験があって、帳簿の管理とかは参考にできることが多かったのでよかったですっ!」
私は赤くなった顔を誤魔化すようにまくし立てて言いました。
「・・リリアーナ嬢は僕の爵位が低いからとすぐに仕事を押し付けてきたので困っていたんですよ。その点、アリア嬢の仕事ぶりには本当に助けられていますよ」
そこに、ヘーゼルブランの長髪を首の後ろで束ねてモノクルを付けた美青年が、ティーカップを携えながら私達の元へ歩み寄ってきました。
全体的に身体の線が細くて長身で、端正ながらどこか中世的な顔立ちをした彼は、生徒会役員の一人であり『政治学科』に在籍する『シガリア』伯爵家嫡男の『ルード・フォン・シガリア』と言います。
因みに、ルートさんはアリア様と同じ学年だそうです。
現在生徒会の役員はレオン様、ディートリヒ殿下、マリア様、ルードさんと私の計五名で構成されています。
あと、正式な役員ではありませんが、レオン様の専属騎士であるアーヴィンさんもほぼ役員の一人として生徒会の業務を手伝っています。
アーヴィンさんとは実家の爵位が同格であるルードさんですが、一応『公爵』という肩書の私を含めた生徒会の正式な役員の中では一番格下になってしまいます。
そこに目をつけたリリアーナ様は、在籍時に何かと雑用をルードさんに押し付けていたようです。
「リリアーナは貴族令嬢の中でも一際選民感情が強い女性でしたからね・・」
リリアーナ様の事を思い出したマリア様は、小さく溜息を零しながらティーカップに口を付けました。
すると、『はっ!』と何かを思い出したのか、慌ててティーカップをソーサーに戻しました。
「っ!そういえば、そろそろ『騎士科』の校外実習の時期ですわね!!」
「・・もう、そのような時期なのですね」
レオン様の後ろに控えるアーヴィンさんが思い出したように手を打ちます。
「校外実習・・?ですか?」
「ああ、アリアが知らないのも無理ないね」
「私達『騎士科』のカリキュラムでは、二月に一度くらいの頻度で校外に生息する魔獣を討伐する『実機講習』があるんだよ」
「将来の『騎士』達は魔獣の襲撃から街や要人を守ることも任務の一つだからね。学生の内に魔獣との実戦に慣れておくという意味合いがあるんだよ」
「もちろん、校外実習は『ラビッシュ』の冒険者ギルドと協力しながら安全に行われる」
「そして、私達生徒会は校外学習が安全に執り行われるように管理運営していく役割があるというわけだよ」
「魔獣ですか・・」
レオン様の話を聞いた私の脳裏に、ふと五年前に目の当たりにした『鬼』の姿が浮かびました。
「っ!」
けど、私はそれを振り払うかのように首を横に振りました。
「・・?お義姉様?如何なさったのです?」
「い、いえ・・何でもありません」
「今年は専用機持ちが多いのもあって、比較的遠方まで足を運んで実習を行っているわけだが・・」
「ギルドからの報告によると、ここ最近『ラビッシュ』郊外の魔獣達の動きが活発になっているみたいだからな。一度ギルドと打ち合わせをして、比較的魔獣の出現が少ない地域を実習候補地に設定しないといけないだろうな」
ディートリヒ殿下は腕を組んで難しそうな表情をしながら、過去の実習地が記された地図に目を落としています。
「・・私としてはこの辺りがいいかと思うんだけどな」
レオン様は広げられた地図、『ラビッシュ』から西に五十キロ程離れた森林地帯を指差しました。
「校外実習がある程度実戦を踏襲しているという点で、開けた草原地帯はあまり適切ではない」
「そうすれば、自ずと森林地帯か山岳地帯に選択が絞られるわけだが、魔導機甲の実習では比較的大型の魔獣が出現する地域が適切だろうからね」
「ここら一帯は最近、大型の地竜やワイバーンがちらほらと目撃されているらしいから、実習地として設定すれば冒険者ギルドからも喜ばれるだろう」
「ギルドに在籍する冒険者は大型魔獣を狩ることが難しいですからね、わたくしもお兄様が選んだ地域が良いと思いますわ!」
「自・・地竜ですか!?」
色めき立つレオン様達に対して、私は思わず声を出してしまいました。
そんな私に、レオン様がすっと優しく手を重ねました。
「心配することはないよ、アリア。地竜は『竜』と名に付いているが飛行することはできないし、動きもそこまで素早くないからね」
「ただ、数が増えて市街地までやってくると厄介だから、実習がてら数減らしをしようとするだけさ」
「ワイバーンも二、三メートルくらいの大きさしかないけど、空を飛ぶから生身の冒険者が討伐するのは難しいし、群れを作る習性があるから厄介だけど、魔導機甲が相手なら問題ない」
「つまり、冒険者ギルドにとっても討伐してくれたら有り難い存在だし、魔導機甲の実機実習としてはちょうどいい相手という訳だ」
レオン様が私に説明していると、徐に席を立ち上がったディートリヒ殿下が歩み寄ってきて私の頭に手を置きました。
「『騎士科』に在籍するアリアはもちろん実習に参加するわけだけど、俺も運営側としてしっかりとサポートするから安心してくれたらいいぞ」
「ディートリヒ殿下・・」
ディートリヒ殿下がそのまま私の頭を撫でていると、眉間に皺を寄せながらレオン様がその手をパシン!と弾きました。
「ふん、魔導機甲に乗らないディートリヒがアリアの手助けをできるわけがないだろう!あと、レディーの髪に無遠慮で触れるのはどうかと思うぞ」
「なんだと・・?」
「っ!!まあまあ、両殿下とも落ち着いてください!!」
一気に険悪になる空気を感じ取ったルードさんが慌てて二人の仲裁に入りました。
「・・これだからお兄様は・・!ディートリヒ殿下に後れを取って情けないですわ・・・!」
「いえ、そういう話ではないと思うのですが・・」
「はあ・・」と小さく溜息をついた私は、すっかり温くなってしまった紅茶に再び口をつけました。
そして、ディートリヒ殿下の提案で生徒会の役員に組み込まれてしまった私は、リリアーナ様が行っていた業務を教えてもらいながら慌ただしい日々を過ごしていました。
そんな日々が始まってひと月が経とうとした頃、私はすっかり馴染んでしまった生徒会の執務室で、他の役員の皆と紅茶を飲みながら一息ついていました。
「いやあ、流石俺が見込んだだけあって、アリアは呑み込みが早くて助かるよ」
ディートリヒ殿下が紺色の瞳を細めながら、優しく微笑みかけてきました。
その美しい顔を見て恥ずかしくなった私は、思わず手元の紅茶に視線を落としました。
「いえ・・・私はまだまだで・・」
「アリアは生徒会に入ったばかりなんだ。それにしては何事にも仕事がてきぱきとしていて本当に助かっているよ」
そう言いながら、レオン様まで微笑みを向けてきます。
「い、一応『ヨークスカ』で宿屋の仕事を手伝っていた経験があって、帳簿の管理とかは参考にできることが多かったのでよかったですっ!」
私は赤くなった顔を誤魔化すようにまくし立てて言いました。
「・・リリアーナ嬢は僕の爵位が低いからとすぐに仕事を押し付けてきたので困っていたんですよ。その点、アリア嬢の仕事ぶりには本当に助けられていますよ」
そこに、ヘーゼルブランの長髪を首の後ろで束ねてモノクルを付けた美青年が、ティーカップを携えながら私達の元へ歩み寄ってきました。
全体的に身体の線が細くて長身で、端正ながらどこか中世的な顔立ちをした彼は、生徒会役員の一人であり『政治学科』に在籍する『シガリア』伯爵家嫡男の『ルード・フォン・シガリア』と言います。
因みに、ルートさんはアリア様と同じ学年だそうです。
現在生徒会の役員はレオン様、ディートリヒ殿下、マリア様、ルードさんと私の計五名で構成されています。
あと、正式な役員ではありませんが、レオン様の専属騎士であるアーヴィンさんもほぼ役員の一人として生徒会の業務を手伝っています。
アーヴィンさんとは実家の爵位が同格であるルードさんですが、一応『公爵』という肩書の私を含めた生徒会の正式な役員の中では一番格下になってしまいます。
そこに目をつけたリリアーナ様は、在籍時に何かと雑用をルードさんに押し付けていたようです。
「リリアーナは貴族令嬢の中でも一際選民感情が強い女性でしたからね・・」
リリアーナ様の事を思い出したマリア様は、小さく溜息を零しながらティーカップに口を付けました。
すると、『はっ!』と何かを思い出したのか、慌ててティーカップをソーサーに戻しました。
「っ!そういえば、そろそろ『騎士科』の校外実習の時期ですわね!!」
「・・もう、そのような時期なのですね」
レオン様の後ろに控えるアーヴィンさんが思い出したように手を打ちます。
「校外実習・・?ですか?」
「ああ、アリアが知らないのも無理ないね」
「私達『騎士科』のカリキュラムでは、二月に一度くらいの頻度で校外に生息する魔獣を討伐する『実機講習』があるんだよ」
「将来の『騎士』達は魔獣の襲撃から街や要人を守ることも任務の一つだからね。学生の内に魔獣との実戦に慣れておくという意味合いがあるんだよ」
「もちろん、校外実習は『ラビッシュ』の冒険者ギルドと協力しながら安全に行われる」
「そして、私達生徒会は校外学習が安全に執り行われるように管理運営していく役割があるというわけだよ」
「魔獣ですか・・」
レオン様の話を聞いた私の脳裏に、ふと五年前に目の当たりにした『鬼』の姿が浮かびました。
「っ!」
けど、私はそれを振り払うかのように首を横に振りました。
「・・?お義姉様?如何なさったのです?」
「い、いえ・・何でもありません」
「今年は専用機持ちが多いのもあって、比較的遠方まで足を運んで実習を行っているわけだが・・」
「ギルドからの報告によると、ここ最近『ラビッシュ』郊外の魔獣達の動きが活発になっているみたいだからな。一度ギルドと打ち合わせをして、比較的魔獣の出現が少ない地域を実習候補地に設定しないといけないだろうな」
ディートリヒ殿下は腕を組んで難しそうな表情をしながら、過去の実習地が記された地図に目を落としています。
「・・私としてはこの辺りがいいかと思うんだけどな」
レオン様は広げられた地図、『ラビッシュ』から西に五十キロ程離れた森林地帯を指差しました。
「校外実習がある程度実戦を踏襲しているという点で、開けた草原地帯はあまり適切ではない」
「そうすれば、自ずと森林地帯か山岳地帯に選択が絞られるわけだが、魔導機甲の実習では比較的大型の魔獣が出現する地域が適切だろうからね」
「ここら一帯は最近、大型の地竜やワイバーンがちらほらと目撃されているらしいから、実習地として設定すれば冒険者ギルドからも喜ばれるだろう」
「ギルドに在籍する冒険者は大型魔獣を狩ることが難しいですからね、わたくしもお兄様が選んだ地域が良いと思いますわ!」
「自・・地竜ですか!?」
色めき立つレオン様達に対して、私は思わず声を出してしまいました。
そんな私に、レオン様がすっと優しく手を重ねました。
「心配することはないよ、アリア。地竜は『竜』と名に付いているが飛行することはできないし、動きもそこまで素早くないからね」
「ただ、数が増えて市街地までやってくると厄介だから、実習がてら数減らしをしようとするだけさ」
「ワイバーンも二、三メートルくらいの大きさしかないけど、空を飛ぶから生身の冒険者が討伐するのは難しいし、群れを作る習性があるから厄介だけど、魔導機甲が相手なら問題ない」
「つまり、冒険者ギルドにとっても討伐してくれたら有り難い存在だし、魔導機甲の実機実習としてはちょうどいい相手という訳だ」
レオン様が私に説明していると、徐に席を立ち上がったディートリヒ殿下が歩み寄ってきて私の頭に手を置きました。
「『騎士科』に在籍するアリアはもちろん実習に参加するわけだけど、俺も運営側としてしっかりとサポートするから安心してくれたらいいぞ」
「ディートリヒ殿下・・」
ディートリヒ殿下がそのまま私の頭を撫でていると、眉間に皺を寄せながらレオン様がその手をパシン!と弾きました。
「ふん、魔導機甲に乗らないディートリヒがアリアの手助けをできるわけがないだろう!あと、レディーの髪に無遠慮で触れるのはどうかと思うぞ」
「なんだと・・?」
「っ!!まあまあ、両殿下とも落ち着いてください!!」
一気に険悪になる空気を感じ取ったルードさんが慌てて二人の仲裁に入りました。
「・・これだからお兄様は・・!ディートリヒ殿下に後れを取って情けないですわ・・・!」
「いえ、そういう話ではないと思うのですが・・」
「はあ・・」と小さく溜息をついた私は、すっかり温くなってしまった紅茶に再び口をつけました。
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