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彼女の運命
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波の音、風の音、鳥の声。
穏やかな時間がゆっくりと流れる。
でも、それはある日突然やってきた。
嵐の前の静けさのように、音も立てずにやってきた。
ここは、海に浮かぶ島「リガ島」楽園の島とも呼ばれている。自然が多く残る島だ。
翼を大きく広げた鳥が頭上を飛んでいく。あの、エメラルドグリーンの鳥はリガ島の固有種「リガエンメ」という。すらっとした体に飾り羽着いた頭。羽を広げると、50センチになる。エメラルドグリーンの体に、日の光が当たるとキラキラと輝く海のように青く見える。誰もがその美しさに魅了され研究してもその謎は未だ解明されていない。
私はこの島に生まれ、この島で育ち、海に選ばれた。名前は、アルル。17歳。
私は小さい頃から風に連れられ、波と戯れ、樹々に見守られて、自然に触れてきた。
10歳の頃、いつものように海に入り、海の生き物と競うように泳いだり、波の揺り籠に体を預けたり、海面から飛び出した岩の上で休んだりして、海と遊んでいた。陸に上がり、海を見渡していると海底で何かが私を誘うようにキラキラと光を放っている。
私は吸い込まれるように海の潜り光の正体を戸惑いもなく掴んで、海面に顔を出した。流れに任せて、海が腰の高さまでのところに来ると、私はようやく握りしめていた手をゆっくりと開いた。光り輝いていたものは、海と同じような深く澄んだ蒼い色をした小石のような物だった。
太陽に透かしてみると模様が浮かび上がり古代の文字が出てきた。読めるはずもない文字だが、何故か口に出すことができた。
「汝は、選ばれし者成り。運命(さだめ)に従い、海と共に在れ。」
言い終えると、海がアルルの体を引き摺り込んだ。波が体をなぞるような撫でる感覚に思わず閉じていた目を開けると、自分の体を包み込む波が球体の形を維持していることに気づく。サッと自分の前に何かが横切った。すると、背後から
「アルル。あなたは選ばれた。この運命は、残酷なものかもしれない。でも、恐れないで。私はいつもあなたといる。私から離れないで。私はあなとの味方よ。」
後ろを振り向くと小さいけれどとても美しい人魚が微笑んでいた。人魚は、キラキラとした光を纏いスルッと小石に入り込んだ。
気がつくと、波打ち際に倒れるようにこと横たわっていた。体を起こすと、夕日を飲み込む、いつもの穏やかな海がそこにあった。アルルは、手の中の硬いものをもう一度見た。
アルルは海と共に在れるように、肌身離さず、いつも一緒にいるようにした。人魚に言われたからではなく、そうしなければいけない気がしたから・・・。
穏やかな時間がゆっくりと流れる。
でも、それはある日突然やってきた。
嵐の前の静けさのように、音も立てずにやってきた。
ここは、海に浮かぶ島「リガ島」楽園の島とも呼ばれている。自然が多く残る島だ。
翼を大きく広げた鳥が頭上を飛んでいく。あの、エメラルドグリーンの鳥はリガ島の固有種「リガエンメ」という。すらっとした体に飾り羽着いた頭。羽を広げると、50センチになる。エメラルドグリーンの体に、日の光が当たるとキラキラと輝く海のように青く見える。誰もがその美しさに魅了され研究してもその謎は未だ解明されていない。
私はこの島に生まれ、この島で育ち、海に選ばれた。名前は、アルル。17歳。
私は小さい頃から風に連れられ、波と戯れ、樹々に見守られて、自然に触れてきた。
10歳の頃、いつものように海に入り、海の生き物と競うように泳いだり、波の揺り籠に体を預けたり、海面から飛び出した岩の上で休んだりして、海と遊んでいた。陸に上がり、海を見渡していると海底で何かが私を誘うようにキラキラと光を放っている。
私は吸い込まれるように海の潜り光の正体を戸惑いもなく掴んで、海面に顔を出した。流れに任せて、海が腰の高さまでのところに来ると、私はようやく握りしめていた手をゆっくりと開いた。光り輝いていたものは、海と同じような深く澄んだ蒼い色をした小石のような物だった。
太陽に透かしてみると模様が浮かび上がり古代の文字が出てきた。読めるはずもない文字だが、何故か口に出すことができた。
「汝は、選ばれし者成り。運命(さだめ)に従い、海と共に在れ。」
言い終えると、海がアルルの体を引き摺り込んだ。波が体をなぞるような撫でる感覚に思わず閉じていた目を開けると、自分の体を包み込む波が球体の形を維持していることに気づく。サッと自分の前に何かが横切った。すると、背後から
「アルル。あなたは選ばれた。この運命は、残酷なものかもしれない。でも、恐れないで。私はいつもあなたといる。私から離れないで。私はあなとの味方よ。」
後ろを振り向くと小さいけれどとても美しい人魚が微笑んでいた。人魚は、キラキラとした光を纏いスルッと小石に入り込んだ。
気がつくと、波打ち際に倒れるようにこと横たわっていた。体を起こすと、夕日を飲み込む、いつもの穏やかな海がそこにあった。アルルは、手の中の硬いものをもう一度見た。
アルルは海と共に在れるように、肌身離さず、いつも一緒にいるようにした。人魚に言われたからではなく、そうしなければいけない気がしたから・・・。
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