黒侍~SAMURAI BLACK~(サムライ・ブラック) 魔王織田信長に仕えし黒き巨人──元黒人奴隷ヤスケ

枢木卿弼

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序章 紅蓮の炎と漆黒の…

黒き者

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……魔王信長が倒れている……。


紅蓮の炎が、ゴォオっとまるで生き物のように奥座敷を包んでいくなかで……



……あの魔王と自称し、そして恐れられた織田信長が、うつ伏せに倒れている。

そしてその首は……その首は、
……もうすでに無く、あたりを包む炎のように赤い鮮血が、ポタリポタリと滴り落ちて周りを染めていた。


『我が敵は本能寺にあり』

天正十年六月二日早朝──
織田信長随一の家臣であった明智光秀の号令により、本能寺の変は幕を開けた。

だがその戦闘は長く続かなかった……
本能寺にいるのは信長のとりまき六十人あまり、対する光秀軍は一万、多勢に無勢、完全な奇襲となったこの戦いはもう終わりを向かえようとしていた。
そう、織田信長というこの時代の支配者の死をもって……


「信長はどこだ?」
ドタドタと走りながら叫ぶ、将の声が聞こえる。
そして兵たちが廊下を走り回る音も……
「見つけ次第、首をとるのじゃ、信長の首があれば我が光秀様が次の主じゃ」「おぉ」
……しかしその声もすぐに聞こえなくなっていた。
本能寺に上がった火の手は、瞬く間に寺の全体を覆い尽くしていったからだ。

めらめらと、炎が薄暗い部屋を照らしている。
その炎は激しさを増し、その紅蓮の炎はまるで生きているようにうねり、部屋の全てを覆い尽くしていく。
そう、その部屋に佇む一人の者をも飲み込もうとしている。

そして驚くことにその炎を照らされたその者は、紅蓮の炎に照らされたその肌は……
黒く輝いていた。

そしてその者の手に持つものは……


……信長の首であった。

    
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