締め切り前の静かな修羅場…

こぐま

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締切厳守!

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締切、3日前!
おめでとう、俺!


やべぇ…ベタが…。
トーンが…。


そして、俺はスケットを呼ぶため
友達に電話をする…。


「アシ!ベタ!トーン!ホワイトーー!」

「はいはい、おけおけ!
ははっ、今回もギリギリなんだな。
他の奴も連れて向かうわ」

「ありがとう!神!」


俺は独学で漫画の勉強をしている。


漫画が昔から好きで、
ノートにコマを割っちゃ話作りをしていた。


けど、親を安心させたいという思いで
公務員の道を選んだが、
仕事から家に帰り、
趣味でノートに漫画を描くうちに、


やっぱり、ずっと漫画を描いていたい!


と、そんな思いがふつふつと沸いた
社会人3年目。


人生長いんだ…。
このまま公務員で安定した生活もいいが、
やっぱり、一生漫画を描き続けたい!
そして、俺が出した決断が、


「毎月、1日は持ち込みday」


それをただいま、5ヵ月と継続中だ。
普通の仕事をしながら、
毎月19枚を必ず描いた。
ただ、この19枚が重い…。


やめようと思った事もあるが、
漫画を描くのが好きだから、
いつの間にか俺はGペンを手に取ってしまう…。





最初に持ち込みに行った時、
何も知らずにただ原稿用紙に
漫画を描いただけの作品を持っていってしまい、
編集者さんとこんなやり取りをした。


「原稿用紙の描き方知らないんですか?」

「そんなのあるんですか?!」

「はい、ありますよ。
しっかりそういうのも勉強してきてください」

「知らなかった、ありがとうございます!
勉強します!」


そう言って、俺は家に帰って調べまくった。
そして、それを次の作品にきっちり活かす!


編集者さんは毎回違うが、
持ち込みに行く事で、色んな編集者さんに
ネットでは分かりにくい部分の
漫画の作り方を教えていただいた。


見て貰って、アドバイスして貰った時間を
俺は無駄にしたくない!


教えて貰う、活かす、
教えて貰う、活かす、
それを繰り返して作品の質を少しずつでも
上げていく。


ただ、人物描くまでは良いんだ、
そっからの作業よ…。


背景は相変わらず、パースが難しく手こずり
1番時間がかかっている…。


それを友達に相談すると、
背景以外の仕上げの部分を毎回
手伝ってもらえる事になった。
ガチでありがてぇ…。





そして今回も、
友達は電話から2時間後に
3人とも来てくれた。


トーンを切る音と、
トーンを削る音が部屋中に響く…。
そして、トーンを削ったカスを
練り消しでペタペタとする音。
時計の音。


あと少し…。


けど時々、友達がナイスフォローしてくれる。


「ここの右目さ、デッサン狂ってね?
ちょい、裏返して見てみ?」


そう言って、直す部分を教えてくれる事もある。


「ほんとだ…おかしいわ、ありがとう」

「おう、すまんな、ギリギリなのに」

「いや、助かる…」

頼りになる友達だ。





〇月31日(日)


「でき…た…皆様、神様…。
今回も大変お世話になりました…
お疲れ様です…。
おかげで明日…持ち込めます…。
ありがとうございました….」


「おうよ!おつかれー」

「おつ、今回も楽しかったから、よし」

「お疲れ様、ゆっくり休めよ~」


俺の友達は3人とも、
高校の美術部の仲間だ。


だから安心して、アシスタントを頼める。
俺、ほんとすっごい良い環境だな…。


「おやすみ…なさい…」


「おやすー」

「明日頑張れよー」

「また、いつでも呼んでな~」





〇月1日(月)


自宅のドアを開ける。
もうこの時点でド緊張する…。
でも、この緊張感が半端なくたまんない!


そして俺は今日も作品を持ち込む。
いつか、もっともっと1日中
漫画を描いていたいから!


「漫画をもっと描きたい!」
俺は今、この素直な気持ちを大切に、
生きたいんだ!
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