私は何も知らない

こぐま

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夏休み

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夏休みになり、親兄弟で、
自然あふれる山奥の病院に向かう。


私はいつものように先生に、
耳の後ろにあるコンセントにコードをさしてもらう。


「お姉ちゃん、おなかすいたー!
病院のご飯じゃなくて、
お姉ちゃんのご飯が食べたい!」


「この1ヶ月間入院が終わったら、
家に帰って作るからもう少しガマンね」





1週間が過ぎ、


「お母さん、退院いつー?」

「あと3週間、頑張って」

「でも、お母さんとお父さんと一緒だから
ま、いっか」


1番下の妹はそう言って、普段仕事ばっかりで
一緒に居られないお母さん達に甘えている。


先生がちょうど来て、
2人の様子を微笑ましく見ていた。


そうだ!


「先生!」

「どうしたのかね?モナ」


「今日、友達がお見舞いに来たいって!
ここの住所は先生に、他の人には教えちゃダメって
言われたけど、初めてできた友達だから、
いっかと思って教えて、
午後から来るはずなんですけど…」


先生は、怪訝そうな顔をして、


「君だったんだね…」

「……?」

「彼女、この病院の前で倒れてたよ」

「え?!今、その子どこですか?」

「言ったよね?
この病院の周辺は、特定の病気の人しか来れない。
それ以外の人は、倒れてしまうんだよ?」

「ごめんなさい…」


「友達は、街の病院に連れて行ったよ。
幸い僕からみて、命に別状はなかった」


「それなら良かったです…」


ごめんね…私のせいで…。





その夜、弟が熱を出し、
ナースコールを押しても
看護師さん達が来てくれないので
耳のコードを取って、ナースセンターに向かった。


その時に看護師さんと先生の声が聞こえてきた。


「今日、来てた子供はどうした?」

「この研究所の記憶、全て消しました」


それを聞いて、私はそっとその場を
逃げ出した。


この場に居てはいけない気がした…。


先生達は何を言ってたんだろう…?


どうしよう…どうしよう…。





次の日の朝、先生が来てくれて、
なぜか怖かった…。


「昨日、コードを抜いてどこに行ったんだね?」

「えっ…と…トイレに行こうとしたら、
コードが取れました」


そう言うと、先生は私の耳に顔を近づけ、


「昨日、君がナースセンターの所に居たのは
監視カメラで写ってるんだ。
話を聞いていたんだろ?
口外する事のないように」


そう言って、先生はニヤリと笑う。





全てを胸の内にしまったまま、
退院し、夏休みが終わる。


学校に登校すると、友達は元気そうに
他の子と話していた。


「お、おはよう…」

「あ、モナちゃんおはよう、
夏休みどう過ごしてた?」

「え…入院してた…」

「そうなの?!
言ってくれれば、お見舞い行ったのに!
友達として出来ることさせてよー」


その友達からは病院の記憶は消えていて、
他に話した事などは覚えていた。


良かった…私と出会って友達になったことは
覚えてる…。


胸の内にあるものはモヤモヤしてるけど、
それだけが私の救い…。
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