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6.花祭り
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花祭りの日がやって来た。
イルゼは先ほどエドワード・ヘイズが迎えに来て連れ立って出かけて行った。
イルゼのためにエドワードはピンク色のガーベラのブローチを用意してきた。
ピンクのガーベラはイルゼの金色の髪によく映えた。
エドワードも胸ポケットにピンクのガーベラのブートニアをさしていて、憎らしいくらい似合っていた。
アランの両親は
「本当にお似合いの2人だわ。」
と喜んでいた。
イルゼの幼少期の不幸を思えば素晴らしい婚約者も決まり家の再興も間近で喜びもひとしおだった。
アランは今日のために用意した服を着ると胸ポケットにジュディスが選んでくれたジャスミンのブートニアをさした。
そして馬車に乗ってベネット家を訪ねた。
訪れたアランを見てベネット夫人は怪訝な顔をした。
「・・・なんの御用でしょうか?」
「なんの御用って・・・ジュディスを花祭りに誘いに来ました。」
「ジュディスなら孤児院の子供達を引率するとかで朝早く出かけていきましたが?」
「え!本当に行ったんですか?」
「それはそうでしょう?前々から決まっていたボランティア部の活動ですから。
ジュディスからあなたからの誘いは断ったと聞いておりますが?」
「そうですけど・・・」
「断られたのに来たんですか?本当に勝手な方ですのね。」
アランは返す言葉もなかった。
ベネット夫人はため息をついた。
「花祭りに行ってジュディスを探してはいかがですか?
子供達と大道芸を見た後『ウミネコ亭』で昼食をとると言っていましたよ。
2人きりになることはできないでしょうが、あなたも一緒に子供達の引率したらどうです?」
「ありがとうございます!行ってみます!」
アランは頭を下げると馬車に飛び乗った。
ベネット夫人は、
(本当に世話が焼けるわ。
どうなるかわからないけど頑張りなさい。)
と心の中で思った。
その頃ジュディスは孤児院の職員さんとアイリスとルーシーと孤児院の子供達の引率をしていた。
アイリスもルーシーも婚約者が忙しくて花祭りには来れないということだった。
アイリスの婚約者は騎士として会場警備の任務についており、ルーシーの婚約者は仕事で異国に行っているのだ。
子供達とさっそく大道芸や屋台を見て回った。
お祭り会場はすごい人出でジュディス達は子どもたちを迷子にしないようにするのに必死だった。
すごく大変だけど目を輝かせて大道芸や屋台を見る子どもたちを見ると疲れも吹っ飛んだ。
ウミネコ亭で昼食をとって子供達を連れて花のオブジェを見に行くと少し離れたところに警備の騎士団がいた。
「あ!」
急にアイリスが馬に乗った騎士を見つめて動かなくなった。
「アイリス、もしかしてあの方が婚約者なの?」
「そう。私のイーサンよ。」
アイリスは顔を赤らめて言った。
じっと見つめているとイーサンがこちらを見た。
しかし一瞬アイリスに目をとめただけで表情も変えず目をそらした。
「あら?こっちを見たはずなのに。手ぐらい振ってくれればいいのにね。」
「しょうがないのよ。イーサンが所属しているのはすごく厳しい騎士団だから任務中に勝手なことはできないのよ。」
アイリスは少し寂しそうだった。
ジュディスはいいことを思いついた。
「アイリス、ちょっと待ってて!」
そう言うと近くの屋台でアイリスに似合いそうなパンジーのイヤリングとブートニアを買った。
「アイリス!これつけといて!」
イヤリングをアイリスに渡すと騎士団の方に走った。
「騎士様!これ落とし物です。」
そう言ってイーサンにブートニアを差し出した。
「落とした人は困っているかもしれませんわ。」
ジュディスがそう言うとイーサンはジュディスの目をじっと見つめた。
「分かりました。私が預かりましょう。」
イーサンはそう言って自分の胸ポケットにしまった。
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
ジュディスが戻るとアイリスは目に涙をためていた。
「ジュディス、ありがとう。あの人とお揃いの花飾りがつけられたわ。」
「よかったわね、アイリス。パンジーの花言葉は『私を想ってください』よ。」
ルーシーが言った。
「アイリスにぴったりね。イーサンを見た途端に目がハート型になってたものね。」
ルーシーと一緒にアイリスをからかった。
「もう!2人ともやめてよ!」
アイリスが真っ赤な顔で怒り出した。
その頃アランは人ごみの中を必死でジュディスを探して歩いていた。
国中の人が来たのでは?と思うほどの人出でなかなか見つからなかった。
昼食をとる予定のウミネコ亭にも行ってみたがタッチの差でジュディス達は店を出た後だった。
再び大道芸や屋台の並ぶ広場にやって来た。
人混みをかき分けながら探していると、遠くで子供達と大道芸を見ているジュディスを見つけた。
「ジュディス!」
アランは大声でジュディスを呼んだ。
一瞬ジュディスは声に反応して周りをキョロキョロした。
しかしその時アランの近くで酔っ払いの乱闘騒ぎが起こった。
悲鳴や逃げる人で騒然となった。
もみくちゃにされて思うように動けない。
騎士団がやってきて乱闘はおさまったがその時にはもうジュディス達はいなくなっていた。
それからも探し続けたが結局ジュディスに会うことはできなかった。
日も暮れて人通りも少なくなってきた。
祭りの終わりが近づいてきたのだ。
アランはポケットからそっとジャスミンの髪飾りを取り出した。
手の中の髪飾りが無性に虚しかった。
(俺は何をやっているんだ。)
ゴミ箱に髪飾りとブートニアを捨てた。
疲れ果て惨めな気持ちで馬車に乗り込むと帰路についた。
その頃ジュディス達も帰る時間になった。
子どもたちを馬車に乗せていると若い男が息せき切って走ってきた。
「ルーシー!やっと会えた!」
「クライド!異国に行っていたんじゃないの?」
走ってきたのはルーシーの婚約者クライド・ノートンだった。
「仕事が早く片付いたから昨日船に飛び乗って帰ってきたんだ。
どうしても君と花祭りに来たくて。」
そう言うとクライドはポケットからネックレスを取り出した。
「はい、これ。異国で買ってきたプルメリアのネックレスだよ。」
クライドはルーシーの首にネックレスを付けてあげた。
「ありがとう、うれしい。」
ルーシーは本当にうれしそうだった。
「ルーシー!あとは帰るだけだからもうあなたはいいわよ。」
「そうそう。私たちがいるから大丈夫よ。」
「そんな、悪いわ。」
「いいから、いいから。久しぶりにクライドに会えたんだからデートしてきなよ。」
「君たちがジュディスとアイリスかい?
いつもルーシーからの手紙で聞いているよ。」
「はじめまして、クライド。
私達は孤児院に子供達を送っていくのでルーシーのことお願いしますね。」
「2人ともありがとう。お言葉に甘えさせてもらうよ。」
「ジュディス、アイリス。本当にありがとう。」
ルーシーとクライドは仲良く手を繋いで花祭りに戻っていった。
帰りの馬車で子供達は遊び疲れたのかみんな寝てしまった。
ジュディスはアイリスもルーシーも花祭りで好きな人と会えて本当によかったと思った。
アランも好きな人にあのジャスミンの花飾りを渡すことができたかなと思った。
お祭りでは見かけなかったけど、アランも好きな人と楽しい時間を過ごしていたらいいなと思った。
そんなことを考えていると馬車の揺れと子どもたちの寝息に誘われていつの間にかジュディスも眠っていた。
イルゼは先ほどエドワード・ヘイズが迎えに来て連れ立って出かけて行った。
イルゼのためにエドワードはピンク色のガーベラのブローチを用意してきた。
ピンクのガーベラはイルゼの金色の髪によく映えた。
エドワードも胸ポケットにピンクのガーベラのブートニアをさしていて、憎らしいくらい似合っていた。
アランの両親は
「本当にお似合いの2人だわ。」
と喜んでいた。
イルゼの幼少期の不幸を思えば素晴らしい婚約者も決まり家の再興も間近で喜びもひとしおだった。
アランは今日のために用意した服を着ると胸ポケットにジュディスが選んでくれたジャスミンのブートニアをさした。
そして馬車に乗ってベネット家を訪ねた。
訪れたアランを見てベネット夫人は怪訝な顔をした。
「・・・なんの御用でしょうか?」
「なんの御用って・・・ジュディスを花祭りに誘いに来ました。」
「ジュディスなら孤児院の子供達を引率するとかで朝早く出かけていきましたが?」
「え!本当に行ったんですか?」
「それはそうでしょう?前々から決まっていたボランティア部の活動ですから。
ジュディスからあなたからの誘いは断ったと聞いておりますが?」
「そうですけど・・・」
「断られたのに来たんですか?本当に勝手な方ですのね。」
アランは返す言葉もなかった。
ベネット夫人はため息をついた。
「花祭りに行ってジュディスを探してはいかがですか?
子供達と大道芸を見た後『ウミネコ亭』で昼食をとると言っていましたよ。
2人きりになることはできないでしょうが、あなたも一緒に子供達の引率したらどうです?」
「ありがとうございます!行ってみます!」
アランは頭を下げると馬車に飛び乗った。
ベネット夫人は、
(本当に世話が焼けるわ。
どうなるかわからないけど頑張りなさい。)
と心の中で思った。
その頃ジュディスは孤児院の職員さんとアイリスとルーシーと孤児院の子供達の引率をしていた。
アイリスもルーシーも婚約者が忙しくて花祭りには来れないということだった。
アイリスの婚約者は騎士として会場警備の任務についており、ルーシーの婚約者は仕事で異国に行っているのだ。
子供達とさっそく大道芸や屋台を見て回った。
お祭り会場はすごい人出でジュディス達は子どもたちを迷子にしないようにするのに必死だった。
すごく大変だけど目を輝かせて大道芸や屋台を見る子どもたちを見ると疲れも吹っ飛んだ。
ウミネコ亭で昼食をとって子供達を連れて花のオブジェを見に行くと少し離れたところに警備の騎士団がいた。
「あ!」
急にアイリスが馬に乗った騎士を見つめて動かなくなった。
「アイリス、もしかしてあの方が婚約者なの?」
「そう。私のイーサンよ。」
アイリスは顔を赤らめて言った。
じっと見つめているとイーサンがこちらを見た。
しかし一瞬アイリスに目をとめただけで表情も変えず目をそらした。
「あら?こっちを見たはずなのに。手ぐらい振ってくれればいいのにね。」
「しょうがないのよ。イーサンが所属しているのはすごく厳しい騎士団だから任務中に勝手なことはできないのよ。」
アイリスは少し寂しそうだった。
ジュディスはいいことを思いついた。
「アイリス、ちょっと待ってて!」
そう言うと近くの屋台でアイリスに似合いそうなパンジーのイヤリングとブートニアを買った。
「アイリス!これつけといて!」
イヤリングをアイリスに渡すと騎士団の方に走った。
「騎士様!これ落とし物です。」
そう言ってイーサンにブートニアを差し出した。
「落とした人は困っているかもしれませんわ。」
ジュディスがそう言うとイーサンはジュディスの目をじっと見つめた。
「分かりました。私が預かりましょう。」
イーサンはそう言って自分の胸ポケットにしまった。
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
ジュディスが戻るとアイリスは目に涙をためていた。
「ジュディス、ありがとう。あの人とお揃いの花飾りがつけられたわ。」
「よかったわね、アイリス。パンジーの花言葉は『私を想ってください』よ。」
ルーシーが言った。
「アイリスにぴったりね。イーサンを見た途端に目がハート型になってたものね。」
ルーシーと一緒にアイリスをからかった。
「もう!2人ともやめてよ!」
アイリスが真っ赤な顔で怒り出した。
その頃アランは人ごみの中を必死でジュディスを探して歩いていた。
国中の人が来たのでは?と思うほどの人出でなかなか見つからなかった。
昼食をとる予定のウミネコ亭にも行ってみたがタッチの差でジュディス達は店を出た後だった。
再び大道芸や屋台の並ぶ広場にやって来た。
人混みをかき分けながら探していると、遠くで子供達と大道芸を見ているジュディスを見つけた。
「ジュディス!」
アランは大声でジュディスを呼んだ。
一瞬ジュディスは声に反応して周りをキョロキョロした。
しかしその時アランの近くで酔っ払いの乱闘騒ぎが起こった。
悲鳴や逃げる人で騒然となった。
もみくちゃにされて思うように動けない。
騎士団がやってきて乱闘はおさまったがその時にはもうジュディス達はいなくなっていた。
それからも探し続けたが結局ジュディスに会うことはできなかった。
日も暮れて人通りも少なくなってきた。
祭りの終わりが近づいてきたのだ。
アランはポケットからそっとジャスミンの髪飾りを取り出した。
手の中の髪飾りが無性に虚しかった。
(俺は何をやっているんだ。)
ゴミ箱に髪飾りとブートニアを捨てた。
疲れ果て惨めな気持ちで馬車に乗り込むと帰路についた。
その頃ジュディス達も帰る時間になった。
子どもたちを馬車に乗せていると若い男が息せき切って走ってきた。
「ルーシー!やっと会えた!」
「クライド!異国に行っていたんじゃないの?」
走ってきたのはルーシーの婚約者クライド・ノートンだった。
「仕事が早く片付いたから昨日船に飛び乗って帰ってきたんだ。
どうしても君と花祭りに来たくて。」
そう言うとクライドはポケットからネックレスを取り出した。
「はい、これ。異国で買ってきたプルメリアのネックレスだよ。」
クライドはルーシーの首にネックレスを付けてあげた。
「ありがとう、うれしい。」
ルーシーは本当にうれしそうだった。
「ルーシー!あとは帰るだけだからもうあなたはいいわよ。」
「そうそう。私たちがいるから大丈夫よ。」
「そんな、悪いわ。」
「いいから、いいから。久しぶりにクライドに会えたんだからデートしてきなよ。」
「君たちがジュディスとアイリスかい?
いつもルーシーからの手紙で聞いているよ。」
「はじめまして、クライド。
私達は孤児院に子供達を送っていくのでルーシーのことお願いしますね。」
「2人ともありがとう。お言葉に甘えさせてもらうよ。」
「ジュディス、アイリス。本当にありがとう。」
ルーシーとクライドは仲良く手を繋いで花祭りに戻っていった。
帰りの馬車で子供達は遊び疲れたのかみんな寝てしまった。
ジュディスはアイリスもルーシーも花祭りで好きな人と会えて本当によかったと思った。
アランも好きな人にあのジャスミンの花飾りを渡すことができたかなと思った。
お祭りでは見かけなかったけど、アランも好きな人と楽しい時間を過ごしていたらいいなと思った。
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