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9.紛糾する王家
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「な! 父上、落ち着いてください。あんな役立たずいなくなった方がこの国の為です!」
「ルーナ様は飛び級で学園を既に卒業しておられます。王子妃教育も既に終わり毎日政務をおこなっておられ、(遊び呆けておられる)王子殿下の政務もルーナ様が処理しておられました」
「えっ?」
「陛下や王妃様のお手伝いもしておられました」
「えっ? そうであったか?」
仕事嫌いで愚鈍な国王とグレイソン王子は似たもの親子で、滞っている政務で執務机の上の書類は何度も雪崩を起こしていた。王妃は3人の側妃とのバトルやお気に入りとのお茶会に忙しく役に立たない。
「見かねたルーナ様が助けて下さっておりました」
駆けつけた大臣達の中でルーナに助けられていた者達が役立たずのグレイソン王子や国王に冷たい目を向けた。
「俺がウォルデン侯爵を騙し・・説得して漸く婚約まで漕ぎつけたのに!! くそっ!」
王家と同様に家計が火の車のユージーンはルーナとグレイソン王子を一日も早く結婚させるべく作戦を練っていた。
(こいつの結婚のどさくさに紛れて次男の養子縁組の書類にもサインさせてやろうと思ってたのに!)
「でっ、では、慰謝料はなしにしてやればいい」
「えーっ、エミリーの新しいドレスはぁ? 慰謝料貰えなくても買ってくれる?」
周りで話されている内容があまり理解できないエミリーがグレイソンの腕にしがみついた。
「新しい婚約者を引き連れての婚約破棄は不貞にあたります。その一点だけを見ましても王子有責の婚約破棄となります」
「しっ、しかし。それ以外に何かあるだろ? あいつの有責になるような何か」
「・・ございません」
今回の婚約破棄でレミリアス王家は慰謝料の他に、長年溜めまくったウォルデン侯爵家への利息を含めた支払いと、王子妃教育にかかった費用や婚約期間中に政務として使った経費の支払いが必要になる。
「少なく見積もっても国家予算の3年分にはなるでしょう」
「えっ? マジで? そんな金が侯爵家にあったの?」
「ウォルデン侯爵領は広大な領地の恵みと数年前に発見された鉱山があります。前侯爵時代から様々な発明品が作られており輸出でかなりの外貨を稼いでおります」
「だっ、だったらそれを全部王家に差し出させれば良いではありませんか」
「そうよ、利益を独り占めしてるなんて臣下として許せませんわ」
「何を理由に?」
「レミリアス王国の税収の4割はウォルデン侯爵領からのものです。今まで溜まった借金は返済せず毎年適当な理由をこじつけた融資や支援金を貰った上に何の不義も働いていない侯爵家からそれ以上をどうやって奪えると?」
「ねえ、今回の婚約破棄で侯爵家を取りつぶしにしてやればいいじゃん? だってぇグレイソン様はルーナに嫌な思いをさせられてたんだもん」
「そっ、そうだ。エミリー、偶にはいい事を言うではないか」
「私達が証人になりますわ。学園での横暴とか傲慢な行動とか幾らでもお話致します」
「おお、流石イザベル。同学年のお前なら色々見聞きしているだろう」
第二側妃との密会を見たルーナの口は封じたいがウォルデン侯爵家の金は手放したくないチャーター宰相がポンと膝を打った。この男は国庫からかなりの額を横領している。
「ええ、あの女がグレイソン様に不敬な態度をとっていたって知っておりますもの」
「清廉潔白なリディアの目を誤魔化すことは出来なかっただろうからな」
脳筋のディスペンサー伯爵は大人しいはずの妻に青筋を立てて癇癪を起こされる度に騎士団の金をちょろまかして来た。ルーナが余計な口を出すから妻が暴れるらしいと思いはじめてからは、ルーナは伯爵にとって目の上のたんこぶになっている。
「おとーさまがぁ、あの女は礼儀を知らんぐどんな奴だって言ってましたー。ぐどんってどー言う意味?」
フラウド男爵はエミリーがグレイソン王子の寵愛を受けてからは王宮に潜り込み甘い汁を吸おうとしていた。しかも、娘が次期王太子の婚約者になったと言って高級品を買い漁りかなりの借財を作っている。
「「・・」」
「ルーナのせいで婚約破棄になったのだから取り潰しの「理由にはなりません」」
「ルーナ様が学園に通われたのは一学年の前期のみ。試験を受けて飛び級されそれ以降は殆ど学園には通われておられません」
「学園に行かれていないルーナ様が何かしたとするのは無理があります」
『レミリアス王国が・・自分達が助かるのなら侯爵令嬢の一人くらい犠牲になってもいいじゃないか。侯爵家の財があれば俺達の将来は安泰』
ルーナとグレイソン王子の婚約の計画が出た時重鎮達は皆心からそう思っていた。ルーナが登城して来た時もそれ以降も『ルーナ嬢は我等の金のなる木』にしか見えていなかった。
学業も王子妃教育もあっさりと終わらせたルーナが王族達の尻拭いをはじめるまでは・・。
政務から逃げ出し遊興に耽り散財を続ける王族達は昼過ぎに起きて来て豪華な食事をとる。その後は商人を呼んで高価な宝石や不要な剣、ドレスやアクセサリーを買い漁る。
彼等が率先して行うのは狩り・観劇・お茶会・夜会・・。
一方のルーナはその頃メイドを一人連れてまだ暗いうちに登城し真夜中まで政務をこなしていた。執務机の横に置かれたサンドイッチを食べながら書類を読み各部署に指示を出して行く。青い顔をしていても常に穏やかな笑みを浮かべねぎらいの言葉を忘れない。
『『私達の考えが間違ってた・・』』
国王が仕掛けた無謀な戦争の後から現在まで、国王や王弟がやってきた事がどこからともなく少しずつ漏れていった。お茶会や夜会でヒソヒソと噂されるのは・・。
『無能な王家』
『強欲』
『ウォルデン侯爵家に張り付く蛭』
当初諸手を上げて国王達を絶賛していた重鎮の中からも王家のやりようを陰で批判する者が現れはじめた。
婚約破棄から2週間後、ウォルデン侯爵が家令を連れて王都のタウンハウスにやって来た。
「ルーナ様は飛び級で学園を既に卒業しておられます。王子妃教育も既に終わり毎日政務をおこなっておられ、(遊び呆けておられる)王子殿下の政務もルーナ様が処理しておられました」
「えっ?」
「陛下や王妃様のお手伝いもしておられました」
「えっ? そうであったか?」
仕事嫌いで愚鈍な国王とグレイソン王子は似たもの親子で、滞っている政務で執務机の上の書類は何度も雪崩を起こしていた。王妃は3人の側妃とのバトルやお気に入りとのお茶会に忙しく役に立たない。
「見かねたルーナ様が助けて下さっておりました」
駆けつけた大臣達の中でルーナに助けられていた者達が役立たずのグレイソン王子や国王に冷たい目を向けた。
「俺がウォルデン侯爵を騙し・・説得して漸く婚約まで漕ぎつけたのに!! くそっ!」
王家と同様に家計が火の車のユージーンはルーナとグレイソン王子を一日も早く結婚させるべく作戦を練っていた。
(こいつの結婚のどさくさに紛れて次男の養子縁組の書類にもサインさせてやろうと思ってたのに!)
「でっ、では、慰謝料はなしにしてやればいい」
「えーっ、エミリーの新しいドレスはぁ? 慰謝料貰えなくても買ってくれる?」
周りで話されている内容があまり理解できないエミリーがグレイソンの腕にしがみついた。
「新しい婚約者を引き連れての婚約破棄は不貞にあたります。その一点だけを見ましても王子有責の婚約破棄となります」
「しっ、しかし。それ以外に何かあるだろ? あいつの有責になるような何か」
「・・ございません」
今回の婚約破棄でレミリアス王家は慰謝料の他に、長年溜めまくったウォルデン侯爵家への利息を含めた支払いと、王子妃教育にかかった費用や婚約期間中に政務として使った経費の支払いが必要になる。
「少なく見積もっても国家予算の3年分にはなるでしょう」
「えっ? マジで? そんな金が侯爵家にあったの?」
「ウォルデン侯爵領は広大な領地の恵みと数年前に発見された鉱山があります。前侯爵時代から様々な発明品が作られており輸出でかなりの外貨を稼いでおります」
「だっ、だったらそれを全部王家に差し出させれば良いではありませんか」
「そうよ、利益を独り占めしてるなんて臣下として許せませんわ」
「何を理由に?」
「レミリアス王国の税収の4割はウォルデン侯爵領からのものです。今まで溜まった借金は返済せず毎年適当な理由をこじつけた融資や支援金を貰った上に何の不義も働いていない侯爵家からそれ以上をどうやって奪えると?」
「ねえ、今回の婚約破棄で侯爵家を取りつぶしにしてやればいいじゃん? だってぇグレイソン様はルーナに嫌な思いをさせられてたんだもん」
「そっ、そうだ。エミリー、偶にはいい事を言うではないか」
「私達が証人になりますわ。学園での横暴とか傲慢な行動とか幾らでもお話致します」
「おお、流石イザベル。同学年のお前なら色々見聞きしているだろう」
第二側妃との密会を見たルーナの口は封じたいがウォルデン侯爵家の金は手放したくないチャーター宰相がポンと膝を打った。この男は国庫からかなりの額を横領している。
「ええ、あの女がグレイソン様に不敬な態度をとっていたって知っておりますもの」
「清廉潔白なリディアの目を誤魔化すことは出来なかっただろうからな」
脳筋のディスペンサー伯爵は大人しいはずの妻に青筋を立てて癇癪を起こされる度に騎士団の金をちょろまかして来た。ルーナが余計な口を出すから妻が暴れるらしいと思いはじめてからは、ルーナは伯爵にとって目の上のたんこぶになっている。
「おとーさまがぁ、あの女は礼儀を知らんぐどんな奴だって言ってましたー。ぐどんってどー言う意味?」
フラウド男爵はエミリーがグレイソン王子の寵愛を受けてからは王宮に潜り込み甘い汁を吸おうとしていた。しかも、娘が次期王太子の婚約者になったと言って高級品を買い漁りかなりの借財を作っている。
「「・・」」
「ルーナのせいで婚約破棄になったのだから取り潰しの「理由にはなりません」」
「ルーナ様が学園に通われたのは一学年の前期のみ。試験を受けて飛び級されそれ以降は殆ど学園には通われておられません」
「学園に行かれていないルーナ様が何かしたとするのは無理があります」
『レミリアス王国が・・自分達が助かるのなら侯爵令嬢の一人くらい犠牲になってもいいじゃないか。侯爵家の財があれば俺達の将来は安泰』
ルーナとグレイソン王子の婚約の計画が出た時重鎮達は皆心からそう思っていた。ルーナが登城して来た時もそれ以降も『ルーナ嬢は我等の金のなる木』にしか見えていなかった。
学業も王子妃教育もあっさりと終わらせたルーナが王族達の尻拭いをはじめるまでは・・。
政務から逃げ出し遊興に耽り散財を続ける王族達は昼過ぎに起きて来て豪華な食事をとる。その後は商人を呼んで高価な宝石や不要な剣、ドレスやアクセサリーを買い漁る。
彼等が率先して行うのは狩り・観劇・お茶会・夜会・・。
一方のルーナはその頃メイドを一人連れてまだ暗いうちに登城し真夜中まで政務をこなしていた。執務机の横に置かれたサンドイッチを食べながら書類を読み各部署に指示を出して行く。青い顔をしていても常に穏やかな笑みを浮かべねぎらいの言葉を忘れない。
『『私達の考えが間違ってた・・』』
国王が仕掛けた無謀な戦争の後から現在まで、国王や王弟がやってきた事がどこからともなく少しずつ漏れていった。お茶会や夜会でヒソヒソと噂されるのは・・。
『無能な王家』
『強欲』
『ウォルデン侯爵家に張り付く蛭』
当初諸手を上げて国王達を絶賛していた重鎮の中からも王家のやりようを陰で批判する者が現れはじめた。
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