【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との

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8.作戦会議 ①

 放課後早速リリアーナのタウンハウスに集まった四人組が案内されたのは、客間の一つをリリアーナ専用の執務室に改装した部屋だった。

 広い部屋の中で一番最初に目に付いたのは、壁際に設置された大きな本棚。ぎっしりと詰まった本は経済・地理・流通・心理学等凡そ令嬢の読む物ではない物ばかりが並んでいる。
 大きな執務机の上は綺麗に片付いており、あるのはインク壺とペン立のみ。

 ゆったりと座れるソファは女性らしい真っ白な皮張りと金色の装飾で、書類を広げられるようにだろうか大きめのテーブルが置かれている。


 初めて入った三人はキョロキョロと部屋を見回し、
「リリアーナってまだ学生なのに凄い部屋ね。もうお仕事を手伝ってるって言ってたけど結構本格的なのね」

「お父様がスパルタで。私が卒業したらお母様とゆっくり旅行に行きたいとか仰って、気が付いたらどんどん仕事がこっちに回ってきて・・この部屋を作るってお父様が仰った時嫌な予感がしたのよね」

「私達と違って次期領主になるのは大変なのね。呑気に恋愛小説を読んでるの反省しなくちゃ」

「普通はここまでじゃないと思うわ。私はほら婚約者があれだしね」

「「「あー、確かに」」」

「結構楽しんでるから良いんだけど。どちらかと言うとお茶会の主催とかマナーの勉強とかの方が苦手かも」

「嘘でしょう? リリアーナのマナーはいつだって完璧だわ。この間もお母様から『リリアーナ様にマナーを教えて頂きなさい』って叱られたばかりなのよ」

「マチルダのマナーは問題ないと思うわよ。マチルダは二つの国のマナーを覚えなきゃいけないから大変なんじゃないかしら。
扇子の扱いはアレだけどね」

「ミリアったら、一言余計なんだから。珍しく褒めてくれたと思ったのに」

「・・」

 いつも通り元気に話しをしているマチルダとミリアの側で、シエナが青い顔をして黙り込んでいた。

「シエナ、どうしたの?」

「・・家を継ぐのってこんなに勉強しなくちゃいけないのね。どうしよう、私自信ないわ」

「大丈夫よ、うちが特別なんだと思うわ。シエナのお父様はお優しい方だもの」



 四人がソファに腰掛けメイドが退席した後リリアーナが本題に入った。

「出来ればみんなの問題を一気に片付けたいと思うんだけど。どうかしら?」

「「「?」」」

 リリアーナの提案に三人は揃って首を傾げた。

「シエナとエリオット様の事が最優先なのは勿論なんだけど、その序でついで? にみんなの不満解消とかお仕置きとかしちゃえばどうかなって」

「それが出来たら最高よね。あの子には散々嫌な想いさせられたから、ガツンって言ってやりたいわね。
でも、私の希望は一番最後でいいわ。シエナの次はリリアーナとミリアよ」

「私よりミリアが二番だわ。ミリア、貴方の希望を聞かせて欲しいの。あまり時間がないんだけど考えてみてくれるかしら。
このままで良いのか変えたい事があるのか」

「どう言う事?」

 ミリアが戸惑っていると本棚の方を未だに虚な目で見ているシエナが、

「エリオット様が仰ってたの。
『リリアーナは結構策略家で腹黒い所もあって、次期領主としては完璧だと思う。
私の知る限り一番の悪戯好きだしね』
って。だからきっと何か考えがあるんだと思うわ」

「エリオット様とは、今度よーくお話ししなくちゃいけないわね。腹黒いなんてレディに対して失礼過ぎるわ」


 リリアーナが頬を膨らませていると、ドアがノックされ噂のエリオットが入ってきた。

「やあ、遅れてしまって申し訳ない。えーっとリリアーナ? 何だか睨まれている気がするんだけど」

 リリアーナが優雅に立ち上がりエリオットに実に見事なカーテシーを見せた。

「腹黒い策略家であるわたくしどもの招きにお応えくださり心より感謝いたしますわ。エリオット様の愛するシエナ嬢のお友人をご紹介させて頂いても宜しいでしょうか?」

「リリアーナ・・ごめん」

「マチルダ、ミリア。彼が初恋を拗らせた挙句神学への道を目指しているエリオット様ですの」

「リリアーナ、だからごめんってば」

「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」

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