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21.そろそろ追加の爆弾投下
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メルプレースはシェルバーン公爵の領地。
王弟のシェルバーン公爵は一年の大半を王都のタウンハウスや王宮で過ごし、領地の差配は全て家令が行っている。
前公爵がはじめたワイン作りの為の広大な葡萄畑ではヴィニフェラ種ヨーロッパブドウの一種ピノ・ノワールの栽培に成功している。
シトー会修道士から学び作られたシェルバーン領特産の希少なワインは社交界で持て囃されている。
「メルプレースは最近治安が良くなくてな」
シェルバーン領は複数の鉱山を持ち、金や銀が産出されていたが近年地下水の排水問題に悩まされて産出量が激減している。
その為仕事にあぶれた鉱夫が窃盗や乱闘騒ぎを起こすなど領民を悩ませている。
「騎士達は忙しすぎて手が回ってない。その代わり自警団が頑張ってて、今じゃそっちの方が役に立ってるって感じなんだ。
で、例の奴を現行犯で捕まえて自警団の牢に入れてある」
「支店に入り込んだ人?」
「爆弾持って来たからお返ししてやる予定」
ヒューゴはこの犯人を自警団の手で王都へ護送させている。
そしてメルプレースの領主館に訴状を届けるのと同日同時間に王都の裁判所にも訴える予定。
「こいつはガードナー商会を狙ったんだからってゴリ押ししてやった。はっはっは」
(あっ悪ど!・・父さん敵に回すのヤバすぎるよね)
「訴状が増えてロンデリー子爵が大騒ぎしてるだろうよ」
今現在でリチャード陣営に対して出された若しくは出される予定の訴状は、
・財産返還請求
・婚約契約書契約書不履行
・婚姻無効
・名誉毀損
・住居侵入
「結構な数の訴状になったなあ。奴らの数にとっくの昔に勝ってやがる。
因みにこの男を雇ったのはリチャードで、リチャードに紹介したのはサミュエル・ウォルスター侯爵だと。
んで、犯罪を教唆したのがロンデリー子爵。
裁判になりゃ自白魔法使われるから誤魔化せないしな。メルプレースの家令もおまけで付いてくる」
捕縛された当初、この男は領主館に連れて行けと騒いでいた。仕事を請け負った際に、
『いざとなったら領主館に駆け込め、家令が助けてくれる』と言い含められていたそう。
この男一人で、四人の犯罪が確定する。
「私もそろそろもう一つ訴状を増やそうと思うの。ステラ・ラングストン侯爵令嬢への慰謝料請求と購入品の返還請求。
彼女も勝手に私のツケで買い物してたから。
リチャードからのプレゼントだけじゃなくて・・」
「そりゃ・・馬鹿なのか? 馬鹿なんだろうなあ」
「アーロンのとこに陣中見舞い送らなきゃ」
「アレックスに届けさせるか」
「フリーカンパニーってお届けサービスもしてるの?」
「割増料金でな」
(ルーシー様! 可愛いお顔が・・旦那様と同じくらい悪人顔になってます)
部屋の隅に控えていた執事のグレイソンが残念そうな顔をしていた。
やつれ果てたロジャーのお陰で鑑定が無事に終わり、マルフォー伯爵一家が三年間で散財した金額を出し終わった。
ステラへ請求する金額や慰謝料も確定。
提出する書類の準備も着々と進み、アーロンが僅かばかりの休息を取れそうになった頃『忘れてた』と、呑気な顔でヒューゴが弁護士事務所を訪れた。
「アーロン、ウォルスター侯爵とロンデリー子爵に慰謝料請求しといてくれ。それと、シェルバーン公爵に抗議文な。
公爵が慌てふためいて《にいちゃん》に泣きつくような法律用語を駆使したやつ」
ガバッと立ち上がり、
「にいちゃんって、マジかよ」
アーロンは呆然とした顔で『商会長・・そうだ商会長だもんな』と訳の分からない納得の仕方をしている。
青褪めてウエストがゆるゆるになったズボンを引っ張り上げながらアーロンが呟いた。
「もう一人・・いや、もう三人担当を増やしてもらうからな。絶対」
王弟のシェルバーン公爵は一年の大半を王都のタウンハウスや王宮で過ごし、領地の差配は全て家令が行っている。
前公爵がはじめたワイン作りの為の広大な葡萄畑ではヴィニフェラ種ヨーロッパブドウの一種ピノ・ノワールの栽培に成功している。
シトー会修道士から学び作られたシェルバーン領特産の希少なワインは社交界で持て囃されている。
「メルプレースは最近治安が良くなくてな」
シェルバーン領は複数の鉱山を持ち、金や銀が産出されていたが近年地下水の排水問題に悩まされて産出量が激減している。
その為仕事にあぶれた鉱夫が窃盗や乱闘騒ぎを起こすなど領民を悩ませている。
「騎士達は忙しすぎて手が回ってない。その代わり自警団が頑張ってて、今じゃそっちの方が役に立ってるって感じなんだ。
で、例の奴を現行犯で捕まえて自警団の牢に入れてある」
「支店に入り込んだ人?」
「爆弾持って来たからお返ししてやる予定」
ヒューゴはこの犯人を自警団の手で王都へ護送させている。
そしてメルプレースの領主館に訴状を届けるのと同日同時間に王都の裁判所にも訴える予定。
「こいつはガードナー商会を狙ったんだからってゴリ押ししてやった。はっはっは」
(あっ悪ど!・・父さん敵に回すのヤバすぎるよね)
「訴状が増えてロンデリー子爵が大騒ぎしてるだろうよ」
今現在でリチャード陣営に対して出された若しくは出される予定の訴状は、
・財産返還請求
・婚約契約書契約書不履行
・婚姻無効
・名誉毀損
・住居侵入
「結構な数の訴状になったなあ。奴らの数にとっくの昔に勝ってやがる。
因みにこの男を雇ったのはリチャードで、リチャードに紹介したのはサミュエル・ウォルスター侯爵だと。
んで、犯罪を教唆したのがロンデリー子爵。
裁判になりゃ自白魔法使われるから誤魔化せないしな。メルプレースの家令もおまけで付いてくる」
捕縛された当初、この男は領主館に連れて行けと騒いでいた。仕事を請け負った際に、
『いざとなったら領主館に駆け込め、家令が助けてくれる』と言い含められていたそう。
この男一人で、四人の犯罪が確定する。
「私もそろそろもう一つ訴状を増やそうと思うの。ステラ・ラングストン侯爵令嬢への慰謝料請求と購入品の返還請求。
彼女も勝手に私のツケで買い物してたから。
リチャードからのプレゼントだけじゃなくて・・」
「そりゃ・・馬鹿なのか? 馬鹿なんだろうなあ」
「アーロンのとこに陣中見舞い送らなきゃ」
「アレックスに届けさせるか」
「フリーカンパニーってお届けサービスもしてるの?」
「割増料金でな」
(ルーシー様! 可愛いお顔が・・旦那様と同じくらい悪人顔になってます)
部屋の隅に控えていた執事のグレイソンが残念そうな顔をしていた。
やつれ果てたロジャーのお陰で鑑定が無事に終わり、マルフォー伯爵一家が三年間で散財した金額を出し終わった。
ステラへ請求する金額や慰謝料も確定。
提出する書類の準備も着々と進み、アーロンが僅かばかりの休息を取れそうになった頃『忘れてた』と、呑気な顔でヒューゴが弁護士事務所を訪れた。
「アーロン、ウォルスター侯爵とロンデリー子爵に慰謝料請求しといてくれ。それと、シェルバーン公爵に抗議文な。
公爵が慌てふためいて《にいちゃん》に泣きつくような法律用語を駆使したやつ」
ガバッと立ち上がり、
「にいちゃんって、マジかよ」
アーロンは呆然とした顔で『商会長・・そうだ商会長だもんな』と訳の分からない納得の仕方をしている。
青褪めてウエストがゆるゆるになったズボンを引っ張り上げながらアーロンが呟いた。
「もう一人・・いや、もう三人担当を増やしてもらうからな。絶対」
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