【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との

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13.囀るシャーロットの取り巻きと疑惑

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「でもアリエノール様はなんであんな事をなさったのかしら? アリエノール様に選ばれたからってセアラがシャーロット様に言い返したりして凄く不愉快だったわ」

 あのドヤ顔が凄くムカついたとセナのいらだたしそうな声が聞こえてくる。

「アメリア様はリチャード様と婚約されたら直ぐに王子妃教育がはじまるから今よりもっとお忙しくなられるでしょ。だからアメリア様のお手伝いをセアラにさせるおつもりなんですって。
名誉ある生徒会長の秘書はアメリア様に決定してるけどあまり忙しくなりすぎたらリチャード様とアメリア様がお二人の時間を持てなくなるもの。
それでは可哀想だから前もってセアラに少し秘書の勉強をさせるんですって」

「流石はアリエノール様ね。婚約発表前からそんなにアメリア様を大切にされてるなんて本当に家族思いの方だわ。
秘書になれると思って舞い上がってるセアラが落ち込む顔早く見たいわ」

「本当よね。田舎の貧乏貴族のくせに偉そうにSクラスにのさばって。あんな子に負けるなんて社交界で笑いものになっちゃうわ」

「Sクラスなんて偉そうにしてるけど試験で不正をしてるってバレたんでしょ?」

 メリア達の話は明日の朝貼り出される学期末試験の結果のことらしい。

(試験で不正?)

 生徒会長秘書の話で眉間に皺を寄せていたセアラだったが試験の不正疑惑と聞いて呆然とした。

「教師が集まって試験結果を調べ直してるんですって。不正の証拠が見つけられたら明日呼び出しだって」

「すごい! あーもう、明日の朝が楽しみだわ。あの女どんな顔をするのかしら。あんな人退学になればいいのよ」

 メリアとセナの陰湿な笑い声が聞こえ耐えきれなくなったセアラは本を抱えたまま後退りしはじめた。

「そう言えばアイツ帰ってこないわね。いつまで本を探してるのかしら。全く、さっさと寮に引っ込んでくれたらいいのに」

 立ち上がったメリア達の気配を感じたセアラは急いで図書室の奥へ逃げ込んだ。

(私の試験結果を調べ直し? 不正なんてやってないわ!)


 持っていた本を震える手で元の場所に戻しているとセナの少し高い猫撫で声が聞こえてきた。

「セアラ様、何かお手伝いできればと思って参りましたの。ご本は見つかりまして?」

「ありがとうございます。今日はもう寮に帰ろうと思っておりますの」

「まあ、珍しいですわね。どこかお加減でもお悪いのかしら? そう言えばお顔の色が優れませんわ、医務室に行かれます?」

 少し薄暗い図書室の中でもわかるほどセアラの顔は酷く青褪めていた。震える手で最後の本を棚に戻したセアラは小さく息を吸い込んでセナに会釈した。

「ありがとうございます。でも、ご心配には及びませんわ。少し寝不足気味ですの、寮に帰って休めば大丈夫です」

「明日は入学後初めての学期末試験の発表ですものね。今日はゆっくり休んで明日一番で発表を見に行かなくては」

「その通りですわ。セアラ様は入学試験も優秀でいらしたとか。今回も楽しみですわ、是非一緒に見に行かせていただきますわね」

 ついさっきまでセアラが不正をしていたと決めつけて嘲笑っていたメリアとセナがにっこりと態とらしい笑みを浮かべた。

「ええ、時間が合えば⋯⋯(気持ち悪い)」

 貴族特有の陰湿な二枚舌に吐き気を覚えながらセアラは小さく頷いた。



 その後、荷物を纏めて図書室を出て寮に戻るとレトビア公爵から手紙が届いていた。休み期間中は公爵家に戻るようにと指示が書かれ昼過ぎに迎えの馬車が来るらしい。

 セアラは大きく溜息をついて公爵家に持って行く荷物の準備をはじめた。教科書やノートと僅かな着替え⋯⋯。元々たいした荷物を持っていないセアラの荷造りはあっという間に終わり、早めに夕食を食べた後アリエノールから借りた小説をベッドの下に隠した。




 翌日部屋を出て寮の食堂に行くとひどくご機嫌なシャーロット達が待ち構えていた。公爵家に帰る事になった落胆と期末試験に纏わる不正疑惑であまり眠れなかったセアラにテンションの高いグレイスが話しかけた。

「お顔の色が優れませんけれどどうかなさいましたの? 今日は試験結果の発表だけですのに何か不安でもおありなのかしら?」

「いえ、特には。今日公爵家に帰ることになったものですから荷物の準備でバタバタしておりましたの」

「まあ、公爵家に? 公爵様はセアラ様に何か御用でもおできになられたのかしら」

 シャーロット達は試験の不正が発覚したセアラが公爵家に呼び出され、そのまま退学になるのではないかと考えているらしい。笑いを堪えしたり顔でセアラを見つめる者や顔を見合わせてはくすくす笑い合う者達を別のテーブルに座る寮生が不審げに見ている。

 異様な雰囲気の食堂を見回すと端のテーブルに座るイリスと目があった。試験の不正について噂を聞いているらしいイリスは心配げな顔をしていたがセアラは小さく頷いて背を伸ばし席について食事をはじめた。

(不正なんてしていないんだから堂々としなくては)

 無理矢理普段通りの食事を摂り学園に向かった。震えそうな手を握りしめまっすぐ前を向いて職員室前の掲示板に向かったが、既に噂は広がっているようであちらこちらから囁き声が聞こえてくる。

「堂々としたもんだよなぁ」
「バレない自信があったんだろ?」
「でもほら⋯⋯発表が」
「まだわかんないぜ」


 セアラが歩くと前には勝手に道ができて行く。睨みつける生徒と不審げな顔。

「公爵家だからってゾロゾロ取り巻きを連れて」
「ただの養女のくせに」
「田舎の貧乏貴族でお情けで公爵家に拾われたんでしょ?」


 今までは遠巻きにされ陰口を言われている様子はあったがここまであからさまな悪口を聞いたことはなかったセアラは顔が強張りますますしっかりと手を握り締めた。


 試験結果は⋯⋯第一学年Sクラスで1位、786点で2位のローランド・アーカンソー伯爵令息と53点差だった。

「やあ、おめでとう。流石だね、セアラ・レトビア公爵令嬢」

 呆然と結果を見つめていたセアラの後ろから突然声がかかり慌てて振り向くと、入学依頼一度も話したことのないローランド・アーカンソーが冷ややかな目をしながら右手を差し出していた。

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