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15.チーム・ローランドと戦うイリス
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(入学試験の成績は優秀だったと言われたりギリギリだったと言われたり⋯⋯いい加減にして欲しいわ)
「ねえ、先生は不正がなかったって仰ったのよ。証拠もないくせにそれを疑うのっておかしくない?」
イリスと仲の良い女子生徒のミレニア・イーディス子爵令嬢が声を上げた。ミレニアはナダルの幼馴染で先日婚約の話が出たばかり。
「だって明らかにおかしいだろ!? 今回の試験内容を父上に話したんだ。一年生の試験レベルじゃないって」
「それは不正とは関係ないわ」
「でっ、でも僕は真面目に勉強したんだ。なのに目の前で不正でいい成績をとった奴がいるなんて許せるわけないだろ!?」
「ナダルのそれはただの八つ当たりだわ。セアラ嬢の噂はナダルの成績とは関係ない。証拠もないのに人を疑ったり非難したりするのは良くない事よ」
「煩い煩い煩い! もういい!!」
ナダルが部屋を飛び出して行くとミレニアが溜め息をついた。
「セアラ様、ごめんなさい。ナダルの代わりに謝ります。次にお会いする時は本人からちゃんと謝らせますので許していただけますか?」
「ええ、あんな噂が出ているなんて今朝まで知らなくて⋯⋯次の試験の結果を見ていただいた時、あの噂は間違っていたんだと皆さんに理解していただけるようこれからも精一杯頑張りますわ。どうか気になさらずいて下さいませ」
「はい、私達はセアラ様が不正したなんて思っていません。次も頑張って下さいね」
ミレニアの謝罪とセアラの返答で教室内は落ち着きを取り戻した。
「やっぱり噂なんて信じるもんじゃないよな」
「セアラ様って小テストなんかでも好成績だもの」
「ローランド様より上って知った時は疑ったけど反省するよ」
「子爵風情が随分と勝手な事を仰るのね。本当の一位がローランド様である事はみんなが知っていることよ。それなのにまるで自分の意見がクラスの総意であるかのように話すなんて呆れてしまいますわ」
「ではグレイス様は不正の証拠をお持ちなんですか? 学園の調査で不正はなかったって先生がはっきり仰ってました。
明確な証拠もないのにいつまでも不正だって言い続けてるのってなんだかおかしくないですか?
この噂ってセアラの評判を落としたい人が広めたんじゃないかって気がするんですけど。
この噂がどこから出たのか不明ですけど、もしかして何かご存じだったりします?」
イリスがずかずかと出てきてグレイスに詰め寄った。
「イリス! やめて!!」
セアラが声を上げたがグレイスとイリスの睨み合いは止まらず、グレイスはイリスに向かって手を振り上げた。イリスの前に回り込んだセアラが両手を広げイリスを庇ったが勢いのついたグレイスの右手はセアラの頬を強打した。
倒れ込んだセアラに抱きついたイリスをグレイス達が睨みつけた。
「田舎者の子爵風情が偉そうに!! このままで済むと思わない事ね!!」
「偉そう? そうかも。だって今回の試験の順位、私3位ですもん。グレイス様達より随分と上ですよ。
あー、もしかして私にも不正疑惑がどこからか湧いて出たりします?
セアラ、大丈夫? 赤くなってるから保健室に行こう」
立ち上がったセアラとその腕を支えたイリスが教室を出ようとすると後ろからローランドが声をかけた。
「イリス嬢、君はグレイス達が噂を広めた犯人だと言ったも同然だってわかっているのかな。保健室に行く前にグレイス達に謝りたまえ。このままでは学園にいられなくなる」
「グレイス様の次はローランド様まで脅しですか? 私間違ったことを言ったと思っていませんから。証拠もないのに不正をしたと言い続けるグレイス様達に質問しただけです」
「全くもう。私の事で怒ってくれるのは嬉しいけど心配させないで」
「ごめん。でもさあ今回のは流石に酷すぎでしょ?」
「まぁね、でもこの先ももっと色々ありそうだし。一々拘ってたらキリがないと思う」
「⋯⋯」
保健室を出て寮に向けて歩きながらセアラとイリスは久しぶりに話をしていた。
「お休みの間はどうするの?」
「あー、公爵家にドナドナされる」
「そうか、中々話せないね。ライルが冬休み中には会えるかもって楽しみにしてたのに。手紙一つ届かないって嘆いてたよ」
「うん、公爵家から禁止されてる。こっそり送る方法があれば良かったんだけど、ずっと見張りがついてるし。
取り敢えず元気だって伝えてくれる?」
「わかったわ。でもムカつくわよね。友達とも兄妹とも関わらせないなんて。その上今回の件でしょう。あれってアメリアかシャーロット達のどっちかしかあり得ないよね」
「アリエノール王女から声をかけて頂いた事で嫌がらせをしてきたのならアメリアもシャーロット達も可能性あるわね」
「ローランドの可能性は? セアラの成績が不正だってなった時一番得するのはアイツでしょ?」
「うん、でも今回に限ってはローランド様はないんじゃないかなあ。昨日までの間に一度も敵意を感じなかったからローランド様はきっと今回も自分が一番だと思っておられた気がする。次の試験だったら疑ってたかもだけどね。
それよりもイリスはお休みの間はどうするの?」
「ライルがあちこち案内してくれるって言うから王都を堪能する予定! セアラにいっぱいお土産買ってくるね。
勿論レトビアの呪いの事も調べてくるし」
「無理しないでお休みくらい楽しんでね。毎日勉強三昧なんだもの。冬休みくらい楽しまなくちゃ」
「うっ! 同じ事をセアラにも言ってあげたかったー」
「気持ちだけ受け取っておくわ。で、休み明けのお土産期待してる。それとお兄様に『頑張れ!』って伝えてね」
「ん? 何を頑張れって言えばいいの?」
「お兄様ならわかってくださるから大丈夫」
ライルは昔からイリスの事が大好きだったがホプキンス伯爵家の財政難にイリスを巻き込みたくないと諦めていた。セアラがレトビア公爵家の養女になった事でなんの憂いもなくイリスに結婚が申し込めるようになったはずだがイリスの様子からしてライルは何も行動を起こしていないらしい。
(唯一の利点は有効活用して欲しいわ。イリスはそういうの鈍そうだからお兄様に頑張ってもらわなくちゃね)
「ねえ、先生は不正がなかったって仰ったのよ。証拠もないくせにそれを疑うのっておかしくない?」
イリスと仲の良い女子生徒のミレニア・イーディス子爵令嬢が声を上げた。ミレニアはナダルの幼馴染で先日婚約の話が出たばかり。
「だって明らかにおかしいだろ!? 今回の試験内容を父上に話したんだ。一年生の試験レベルじゃないって」
「それは不正とは関係ないわ」
「でっ、でも僕は真面目に勉強したんだ。なのに目の前で不正でいい成績をとった奴がいるなんて許せるわけないだろ!?」
「ナダルのそれはただの八つ当たりだわ。セアラ嬢の噂はナダルの成績とは関係ない。証拠もないのに人を疑ったり非難したりするのは良くない事よ」
「煩い煩い煩い! もういい!!」
ナダルが部屋を飛び出して行くとミレニアが溜め息をついた。
「セアラ様、ごめんなさい。ナダルの代わりに謝ります。次にお会いする時は本人からちゃんと謝らせますので許していただけますか?」
「ええ、あんな噂が出ているなんて今朝まで知らなくて⋯⋯次の試験の結果を見ていただいた時、あの噂は間違っていたんだと皆さんに理解していただけるようこれからも精一杯頑張りますわ。どうか気になさらずいて下さいませ」
「はい、私達はセアラ様が不正したなんて思っていません。次も頑張って下さいね」
ミレニアの謝罪とセアラの返答で教室内は落ち着きを取り戻した。
「やっぱり噂なんて信じるもんじゃないよな」
「セアラ様って小テストなんかでも好成績だもの」
「ローランド様より上って知った時は疑ったけど反省するよ」
「子爵風情が随分と勝手な事を仰るのね。本当の一位がローランド様である事はみんなが知っていることよ。それなのにまるで自分の意見がクラスの総意であるかのように話すなんて呆れてしまいますわ」
「ではグレイス様は不正の証拠をお持ちなんですか? 学園の調査で不正はなかったって先生がはっきり仰ってました。
明確な証拠もないのにいつまでも不正だって言い続けてるのってなんだかおかしくないですか?
この噂ってセアラの評判を落としたい人が広めたんじゃないかって気がするんですけど。
この噂がどこから出たのか不明ですけど、もしかして何かご存じだったりします?」
イリスがずかずかと出てきてグレイスに詰め寄った。
「イリス! やめて!!」
セアラが声を上げたがグレイスとイリスの睨み合いは止まらず、グレイスはイリスに向かって手を振り上げた。イリスの前に回り込んだセアラが両手を広げイリスを庇ったが勢いのついたグレイスの右手はセアラの頬を強打した。
倒れ込んだセアラに抱きついたイリスをグレイス達が睨みつけた。
「田舎者の子爵風情が偉そうに!! このままで済むと思わない事ね!!」
「偉そう? そうかも。だって今回の試験の順位、私3位ですもん。グレイス様達より随分と上ですよ。
あー、もしかして私にも不正疑惑がどこからか湧いて出たりします?
セアラ、大丈夫? 赤くなってるから保健室に行こう」
立ち上がったセアラとその腕を支えたイリスが教室を出ようとすると後ろからローランドが声をかけた。
「イリス嬢、君はグレイス達が噂を広めた犯人だと言ったも同然だってわかっているのかな。保健室に行く前にグレイス達に謝りたまえ。このままでは学園にいられなくなる」
「グレイス様の次はローランド様まで脅しですか? 私間違ったことを言ったと思っていませんから。証拠もないのに不正をしたと言い続けるグレイス様達に質問しただけです」
「全くもう。私の事で怒ってくれるのは嬉しいけど心配させないで」
「ごめん。でもさあ今回のは流石に酷すぎでしょ?」
「まぁね、でもこの先ももっと色々ありそうだし。一々拘ってたらキリがないと思う」
「⋯⋯」
保健室を出て寮に向けて歩きながらセアラとイリスは久しぶりに話をしていた。
「お休みの間はどうするの?」
「あー、公爵家にドナドナされる」
「そうか、中々話せないね。ライルが冬休み中には会えるかもって楽しみにしてたのに。手紙一つ届かないって嘆いてたよ」
「うん、公爵家から禁止されてる。こっそり送る方法があれば良かったんだけど、ずっと見張りがついてるし。
取り敢えず元気だって伝えてくれる?」
「わかったわ。でもムカつくわよね。友達とも兄妹とも関わらせないなんて。その上今回の件でしょう。あれってアメリアかシャーロット達のどっちかしかあり得ないよね」
「アリエノール王女から声をかけて頂いた事で嫌がらせをしてきたのならアメリアもシャーロット達も可能性あるわね」
「ローランドの可能性は? セアラの成績が不正だってなった時一番得するのはアイツでしょ?」
「うん、でも今回に限ってはローランド様はないんじゃないかなあ。昨日までの間に一度も敵意を感じなかったからローランド様はきっと今回も自分が一番だと思っておられた気がする。次の試験だったら疑ってたかもだけどね。
それよりもイリスはお休みの間はどうするの?」
「ライルがあちこち案内してくれるって言うから王都を堪能する予定! セアラにいっぱいお土産買ってくるね。
勿論レトビアの呪いの事も調べてくるし」
「無理しないでお休みくらい楽しんでね。毎日勉強三昧なんだもの。冬休みくらい楽しまなくちゃ」
「うっ! 同じ事をセアラにも言ってあげたかったー」
「気持ちだけ受け取っておくわ。で、休み明けのお土産期待してる。それとお兄様に『頑張れ!』って伝えてね」
「ん? 何を頑張れって言えばいいの?」
「お兄様ならわかってくださるから大丈夫」
ライルは昔からイリスの事が大好きだったがホプキンス伯爵家の財政難にイリスを巻き込みたくないと諦めていた。セアラがレトビア公爵家の養女になった事でなんの憂いもなくイリスに結婚が申し込めるようになったはずだがイリスの様子からしてライルは何も行動を起こしていないらしい。
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