【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との

文字の大きさ
15 / 93

15.チーム・ローランドと戦うイリス

しおりを挟む
(入学試験の成績は優秀だったと言われたりギリギリだったと言われたり⋯⋯いい加減にして欲しいわ)

「ねえ、先生は不正がなかったって仰ったのよ。証拠もないくせにそれを疑うのっておかしくない?」

 イリスと仲の良い女子生徒のミレニア・イーディス子爵令嬢が声を上げた。ミレニアはナダルの幼馴染で先日婚約の話が出たばかり。

「だって明らかにおかしいだろ!? 今回の試験内容を父上に話したんだ。一年生の試験レベルじゃないって」

「それは不正とは関係ないわ」

「でっ、でも僕は真面目に勉強したんだ。なのに目の前で不正でいい成績をとった奴がいるなんて許せるわけないだろ!?」

「ナダルのそれはただの八つ当たりだわ。セアラ嬢の噂はナダルの成績とは関係ない。証拠もないのに人を疑ったり非難したりするのは良くない事よ」

「煩い煩い煩い! もういい!!」

 ナダルが部屋を飛び出して行くとミレニアが溜め息をついた。

「セアラ様、ごめんなさい。ナダルの代わりに謝ります。次にお会いする時は本人からちゃんと謝らせますので許していただけますか?」

「ええ、あんな噂が出ているなんて今朝まで知らなくて⋯⋯次の試験の結果を見ていただいた時、あの噂は間違っていたんだと皆さんに理解していただけるようこれからも精一杯頑張りますわ。どうか気になさらずいて下さいませ」

「はい、私達はセアラ様が不正したなんて思っていません。次も頑張って下さいね」

 ミレニアの謝罪とセアラの返答で教室内は落ち着きを取り戻した。

「やっぱり噂なんて信じるもんじゃないよな」
「セアラ様って小テストなんかでも好成績だもの」
「ローランド様より上って知った時は疑ったけど反省するよ」



「子爵風情が随分と勝手な事を仰るのね。本当の一位がローランド様である事はみんなが知っていることよ。それなのにまるで自分の意見がクラスの総意であるかのように話すなんて呆れてしまいますわ」

「ではグレイス様は不正の証拠をお持ちなんですか? 学園の調査で不正はなかったって先生がはっきり仰ってました。
明確な証拠もないのにいつまでも不正だって言い続けてるのってなんだかおかしくないですか?
この噂ってセアラの評判を落としたい人が広めたんじゃないかって気がするんですけど。
この噂がどこから出たのか不明ですけど、もしかしてします?」

 イリスがずかずかと出てきてグレイスに詰め寄った。

「イリス! やめて!!」

 セアラが声を上げたがグレイスとイリスの睨み合いは止まらず、グレイスはイリスに向かって手を振り上げた。イリスの前に回り込んだセアラが両手を広げイリスを庇ったが勢いのついたグレイスの右手はセアラの頬を強打した。

 倒れ込んだセアラに抱きついたイリスをグレイス達が睨みつけた。

「田舎者の子爵風情が偉そうに!! このままで済むと思わない事ね!!」

「偉そう? そうかも。だって今回の試験の順位、私3位ですもん。グレイス様達より随分と上ですよ。
あー、もしかして私にも不正疑惑が湧いて出たりします?
セアラ、大丈夫? 赤くなってるから保健室に行こう」

 立ち上がったセアラとその腕を支えたイリスが教室を出ようとすると後ろからローランドが声をかけた。

「イリス嬢、君はグレイス達が噂を広めた犯人だと言ったも同然だってわかっているのかな。保健室に行く前にグレイス達に謝りたまえ。このままでは学園にいられなくなる」

「グレイス様の次はローランド様まで脅しですか? 私間違ったことを言ったと思っていませんから。証拠もないのに不正をしたと言い続けるグレイス様達に質問しただけです」




「全くもう。私の事で怒ってくれるのは嬉しいけど心配させないで」

「ごめん。でもさあ今回のは流石に酷すぎでしょ?」

「まぁね、でもこの先ももっと色々ありそうだし。一々拘ってたらキリがないと思う」

「⋯⋯」

 保健室を出て寮に向けて歩きながらセアラとイリスは久しぶりに話をしていた。

「お休みの間はどうするの?」

「あー、公爵家にドナドナされる」

「そうか、中々話せないね。ライルセアラの兄が冬休み中には会えるかもって楽しみにしてたのに。手紙一つ届かないって嘆いてたよ」

「うん、公爵家から禁止されてる。こっそり送る方法があれば良かったんだけど、ずっと見張りがついてるし。
取り敢えず元気だって伝えてくれる?」

「わかったわ。でもムカつくわよね。友達とも兄妹とも関わらせないなんて。その上今回の件でしょう。あれってアメリアかシャーロット達のどっちかしかあり得ないよね」

「アリエノール王女から声をかけて頂いた事で嫌がらせをしてきたのならアメリアもシャーロット達も可能性あるわね」

「ローランドの可能性は? セアラの成績が不正だってなった時一番得するのはアイツでしょ?」

「うん、でも今回に限ってはローランド様はないんじゃないかなあ。昨日までの間に一度も敵意を感じなかったからローランド様はきっと今回も自分が一番だと思っておられた気がする。次の試験だったら疑ってたかもだけどね。
それよりもイリスはお休みの間はどうするの?」

「ライルがあちこち案内してくれるって言うから王都を堪能する予定! セアラにいっぱいお土産買ってくるね。
勿論レトビアの呪いの事も調べてくるし」

「無理しないでお休みくらい楽しんでね。毎日勉強三昧なんだもの。冬休みくらい楽しまなくちゃ」

「うっ! 同じ事をセアラにも言ってあげたかったー」

「気持ちだけ受け取っておくわ。で、休み明けのお土産期待してる。それとお兄様に『頑張れ!』って伝えてね」

「ん? 何を頑張れって言えばいいの?」

「お兄様ならわかってくださるから大丈夫」


 ライルは昔からイリスの事が大好きだったがホプキンス伯爵家の財政難にイリスを巻き込みたくないと諦めていた。セアラがレトビア公爵家の養女になった事でなんの憂いもなくイリスに結婚が申し込めるようになったはずだがイリスの様子からしてライルは何も行動を起こしていないらしい。

(唯一の利点は有効活用して欲しいわ。イリスはそういうの鈍そうだからお兄様に頑張ってもらわなくちゃね)

しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります(長編版)

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

婚約破棄された悪役令嬢、実は最強聖女でした〜辺境で拾った彼に一途に愛され、元婚約者が泣きついてきてももう遅い〜

usako
恋愛
王太子の婚約者でありながら「悪女」と呼ばれ婚約破棄された公爵令嬢リディア。 国外追放されたその日、命を救ってくれたのは無骨な騎士ルークだった。 彼に導かれた辺境の地で、本来の力――“聖女”としての奇跡が目覚める。 新たな人生を歩み始めた矢先、かつて自分を貶めた王太子が後悔とともに現れるが……。 もう遅い。彼女は真の愛を知ってしまったから――。 ざまぁと溺愛が交錯する、爽快逆転ラブファンタジー。

処理中です...