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37.セアラVSグレイス
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「まさか興味がないなんて仰ったりしませんよねえ。あんなに仲良しだって仰ってたんだもの」
ふふっと笑って周りに同意を求めるグレイスとセアラの表情を見逃すまいと凝視しているシャーロットの陰湿な目。取り巻き達はヒソヒソと陰口を叩いている。
「子爵家がグ⋯⋯もの」
「⋯⋯が⋯⋯てはもう⋯⋯すわ」
普段なら取り巻きの陰口の内容も聞こえているのだが、今日は肝心なところが全く聞こえてこない。
(まずは落ち着かなくちゃ。不安そうな顔をしたら相手の思う壺だわ)
「もしかしてイリスの事を仰っているのかしら? それでしたら授業の前にオーシエン先生にお聞きしました。急病になって休学したそうですから早く良くなる事を祈っておりますの」
「はっ、それを信じてるとでも?」
「勿論信じておりますわ」
「期末に私に無礼を働いたせいで学園に出てこれないだけだとは思わないのかしら?」
「イリスは間違った事は言っておりませんし、誰かを侮辱もしておりませんでしょう? 病気以外の休学はあり得ませんわ」
バンっとテーブルを叩いたグレイスが立ち上がった。食堂にいる生徒達が一斉にグレイスに注目し食堂内が静まり返った。
「アンタが試験で不正をしたのに嘘の噂を流したのは私だって言ったんじゃない!」
「イリスはそのような事を言っておりません。正確には『わたくしを貶めたい人が噂を広めた』と言っただけです」
「それが私だってあの女は言ったって言ってるの!」
「クラスの方達も聞いておられましたが、イリスは特定の誰かが言ったなどと言っておりません」
「ふーん、勝手に言ってればいいわ。でもねえ、伯爵家からの抗議であの女は休学したの。それって罪を認めたって事でしょ? アンタが何を言っても今更遅いと思わない?
不正なんてしたアンタを庇ったせいで休学なんて本当に可哀想だわ。このまま退学になるんじゃないかしらねえ」
グレイスの周りで取り巻き達がクスクスと笑う。
「グレイス、もうおよしなさい。ラーニア子爵令嬢は無礼を働いたけれど被害者でもあると思うの。今頃は友達は選ばなくてはいけなかったって反省しておられるのではないかしら?」
「もしかしてルーカン伯爵家はラーニア子爵家に抗議文をお送りになったのかしら?」
「ええ、勿論。ローランド様のお父様もね」
「不正の噂を流した犯人だって言われたと?」
「そうよ、事実だもの。大体アンタが不正をしたのがいけないのよね、不正した人を庇うなんて貴族としてあるまじき行為だって厳しく抗議したわ。
それにねえ、不正をバラした人は正義感の強い人かもしれないわ」
「まあ、大変! 先日の夜会でアリエノール王女殿下が仰っていた事をお聞きになられたでしょう? 学園の調査だけでなく王家の調査でも試験の不正はなかったと明言していただきましたのに、嘘の噂を流した方のことを褒めるだなんてとんでもない事ですわ」
夜会に出席していない下位貴族の令嬢令息達は王家の調査という言葉に目を丸くした。
「ええ。王家や学園よりもどこから出たのか分からない噂を信じただけでも大変ですのに、侮辱したなどと謂れのない事で抗議文を送ったなど上位の貴族から冤罪をかけられたラーニア子爵やイリスがお可哀想ですわ。
まして、人を貶める為だけの噂を広めた人を褒めるだなんて貴族としてあり得ませんわ」
「な!」
「やってない事を証明する事を『悪魔の証明』と申しますでしょう? 未知証明とも言われるそれに完全なる証拠が出せないのは周知の事実ですわ。
だからこそ徹底的に調べてくださったはずです。学園ではわたくしの周りで試験を受けていた生徒の回答内容と照らし合わせることもしてくださったそうですの。
それに、不正をして首位に立つメリットがわたくしにはありませんわ」
「そっそれは⋯⋯だって」
「入学したばかりで不正をすればこれから先ずっと不正してでも良い点を取らなければなりませんでしょう? そのような事をしなければならない理由がわたくしにあるとお思いですか?
誰かから首位になれと言われてもおりませんし、首位になった特典があるわけでもありませんのに犯罪まがいのことをする必要はございません」
「アリエノール王女に気に入られたじゃない」
「時系列でお考えいただけますか? アリエノール王女殿下からお声をかけていただいたのは試験前でございます」
「だって」
「レトビア公爵様からは公爵家の恥にならない程度の成績を取れば良いと言われております。わたくしが首位であろうとそれ以下であろうとSクラスに在籍できる程度の成績であれば特に何も仰らないと思っております。
そのように認識しておりますのに敢えて評判を落とすような行為をする必要はございますかしら?」
「アメリア様ってBクラスだよな」
「今でも差が開いているのにこれ以上の評価を養女に強要するわけないよな」
「普通に考えたらあまり好成績を残すなって言いそう」
「だよな」
「以前貴族法が改訂になって、上位貴族からの冤罪には厳しい罰則が決められたのはご存知かしら?
無茶な理論や想像で話を進めるのはお気をつけになられたほうがよろしいかと」
優雅に一礼し静まりかえった食堂を出たセアラを待っていたのはアリエノール王女殿下。
「お見事だったわ!」
「いらっしゃっていたとは存じませんでした。騒ぎを起こしてしまい申し訳ありませんでした。
どの辺りからご覧になられたのですか?」
「グレイス嬢が立ち上がったあたりから」
(ほぼ全てを見ていたってこと? えっと、理路整然と抗議するってヒロイン役には似合わなかったわよね。叱られる?)
「さて、今日の放課後作戦会議するわよ。ヒロイン役のセアラ様?」
ふふっと笑って周りに同意を求めるグレイスとセアラの表情を見逃すまいと凝視しているシャーロットの陰湿な目。取り巻き達はヒソヒソと陰口を叩いている。
「子爵家がグ⋯⋯もの」
「⋯⋯が⋯⋯てはもう⋯⋯すわ」
普段なら取り巻きの陰口の内容も聞こえているのだが、今日は肝心なところが全く聞こえてこない。
(まずは落ち着かなくちゃ。不安そうな顔をしたら相手の思う壺だわ)
「もしかしてイリスの事を仰っているのかしら? それでしたら授業の前にオーシエン先生にお聞きしました。急病になって休学したそうですから早く良くなる事を祈っておりますの」
「はっ、それを信じてるとでも?」
「勿論信じておりますわ」
「期末に私に無礼を働いたせいで学園に出てこれないだけだとは思わないのかしら?」
「イリスは間違った事は言っておりませんし、誰かを侮辱もしておりませんでしょう? 病気以外の休学はあり得ませんわ」
バンっとテーブルを叩いたグレイスが立ち上がった。食堂にいる生徒達が一斉にグレイスに注目し食堂内が静まり返った。
「アンタが試験で不正をしたのに嘘の噂を流したのは私だって言ったんじゃない!」
「イリスはそのような事を言っておりません。正確には『わたくしを貶めたい人が噂を広めた』と言っただけです」
「それが私だってあの女は言ったって言ってるの!」
「クラスの方達も聞いておられましたが、イリスは特定の誰かが言ったなどと言っておりません」
「ふーん、勝手に言ってればいいわ。でもねえ、伯爵家からの抗議であの女は休学したの。それって罪を認めたって事でしょ? アンタが何を言っても今更遅いと思わない?
不正なんてしたアンタを庇ったせいで休学なんて本当に可哀想だわ。このまま退学になるんじゃないかしらねえ」
グレイスの周りで取り巻き達がクスクスと笑う。
「グレイス、もうおよしなさい。ラーニア子爵令嬢は無礼を働いたけれど被害者でもあると思うの。今頃は友達は選ばなくてはいけなかったって反省しておられるのではないかしら?」
「もしかしてルーカン伯爵家はラーニア子爵家に抗議文をお送りになったのかしら?」
「ええ、勿論。ローランド様のお父様もね」
「不正の噂を流した犯人だって言われたと?」
「そうよ、事実だもの。大体アンタが不正をしたのがいけないのよね、不正した人を庇うなんて貴族としてあるまじき行為だって厳しく抗議したわ。
それにねえ、不正をバラした人は正義感の強い人かもしれないわ」
「まあ、大変! 先日の夜会でアリエノール王女殿下が仰っていた事をお聞きになられたでしょう? 学園の調査だけでなく王家の調査でも試験の不正はなかったと明言していただきましたのに、嘘の噂を流した方のことを褒めるだなんてとんでもない事ですわ」
夜会に出席していない下位貴族の令嬢令息達は王家の調査という言葉に目を丸くした。
「ええ。王家や学園よりもどこから出たのか分からない噂を信じただけでも大変ですのに、侮辱したなどと謂れのない事で抗議文を送ったなど上位の貴族から冤罪をかけられたラーニア子爵やイリスがお可哀想ですわ。
まして、人を貶める為だけの噂を広めた人を褒めるだなんて貴族としてあり得ませんわ」
「な!」
「やってない事を証明する事を『悪魔の証明』と申しますでしょう? 未知証明とも言われるそれに完全なる証拠が出せないのは周知の事実ですわ。
だからこそ徹底的に調べてくださったはずです。学園ではわたくしの周りで試験を受けていた生徒の回答内容と照らし合わせることもしてくださったそうですの。
それに、不正をして首位に立つメリットがわたくしにはありませんわ」
「そっそれは⋯⋯だって」
「入学したばかりで不正をすればこれから先ずっと不正してでも良い点を取らなければなりませんでしょう? そのような事をしなければならない理由がわたくしにあるとお思いですか?
誰かから首位になれと言われてもおりませんし、首位になった特典があるわけでもありませんのに犯罪まがいのことをする必要はございません」
「アリエノール王女に気に入られたじゃない」
「時系列でお考えいただけますか? アリエノール王女殿下からお声をかけていただいたのは試験前でございます」
「だって」
「レトビア公爵様からは公爵家の恥にならない程度の成績を取れば良いと言われております。わたくしが首位であろうとそれ以下であろうとSクラスに在籍できる程度の成績であれば特に何も仰らないと思っております。
そのように認識しておりますのに敢えて評判を落とすような行為をする必要はございますかしら?」
「アメリア様ってBクラスだよな」
「今でも差が開いているのにこれ以上の評価を養女に強要するわけないよな」
「普通に考えたらあまり好成績を残すなって言いそう」
「だよな」
「以前貴族法が改訂になって、上位貴族からの冤罪には厳しい罰則が決められたのはご存知かしら?
無茶な理論や想像で話を進めるのはお気をつけになられたほうがよろしいかと」
優雅に一礼し静まりかえった食堂を出たセアラを待っていたのはアリエノール王女殿下。
「お見事だったわ!」
「いらっしゃっていたとは存じませんでした。騒ぎを起こしてしまい申し訳ありませんでした。
どの辺りからご覧になられたのですか?」
「グレイス嬢が立ち上がったあたりから」
(ほぼ全てを見ていたってこと? えっと、理路整然と抗議するってヒロイン役には似合わなかったわよね。叱られる?)
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