【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との

文字の大きさ
18 / 95
アンヴィル

9.出立?

「在地剰余の話、どうしよう」

「リディア様? 伯爵の告白の方が先なんじゃないですか?」
 
「そっちは、お返事はいらないって仰ってたわ。マーサも聞いたでしょ?」

「・・そうは仰っておられましたが、放っておくわけにはいきませんでしょう?」

「だってまだ一回しかお会いしてないのよ。私の中のイメージは・・沢山走っても平気な人?」

「ぷっ」
 マーサが吹き出した。
「確かに、あの走りは見事でしたね」


 黙り込む3人。解決策が見当たらない。


 セオが漸く口を開いた。

「こう言うのはどうでしょうか。
私達は別のエリアからはじめて、ジョンバーグ伯爵が落ち着かれた頃を見計らって、イーサンに対応して貰う」

「そうね、それが良さそう。メイナード様にお手紙を書くわ。
なんて書けば良いのか思いつかないけど」


 計画を開始した途端躓き、前途多難なリディアだった。



 リディア一行はアンヴィルを出立し逃げ出し、次の目的地オークリーに向かうことにした。
 出立の時には、宿の亭主や町の多くの人々が見送りに出てきてくれた。

「良かったら、これ食べてください」
「うちからはこれを」

「お姉ちゃん、領主様と結婚す「ありがとうございました。本当に助かりました」」

 リディア達は挨拶の一部分をスルーしつつ、沢山のお土産を貰い恐縮しながら馬車に乗り込んだ。

 リディアが馬車の中から手を振っている。

「すごく素敵な町だったわね。次に来れたらもっとゆっくりしたいわ」


 リディアが悩み抜いて書き上げた手紙は、馬車がアンヴィルを出発した後にジョンバーグ伯爵に届けてもらう事にした。



 アンヴィルの埃っぽい凸凹道を抜けて、漸く馬車の中で飛び跳ねなくなったリディアが、
「逃亡者になった気分だわ」

「次からは気を付けて下さい。同じ事を繰り返したら、俺がイーサンに叱られます」

「うーん、もうこんな事にはならないわ。もしそうなったら、その時はセオに頼むわね」

「自覚症状なしか、堪忍してくれ」

 セオがぶつぶつ呟いているが、リディアは全く気にしていない。
 次の目的地の資料をひたすら読んでいる。


「これから行くオークリーはダーリントン侯爵の領地ね。
羊毛が盛んだし、元々在地剰余で悩んでるって仰ってた方だから、すんなり話は纏まりそうだわ」

「ジョンバーグ伯爵との交渉が難航した時は、オークリーを起点にするのもありかと」

「そうすると、港の様子をしっかり調べなくちゃ。港町って初めて行くからすごく楽しみにしてるの」

「アンヴィルに行く前は、変わり者の領主が楽しみでしたよね」

 セオとマーサが顔を見合わせた。


「「嫌な予感がする」」

感想 13

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は自称親友の令嬢に婚約者を取られ、予定どおり無事に婚約破棄されることに成功しましたが、そのあとのことは考えてませんでした

みゅー
恋愛
婚約者のエーリクと共に招待された舞踏会、公の場に二人で参加するのは初めてだったオルヘルスは、緊張しながらその場へ臨んだ。 会場に入ると前方にいた幼馴染みのアリネアと目が合った。すると、彼女は突然泣き出しそんな彼女にあろうことか婚約者のエーリクが駆け寄る。 そんな二人に注目が集まるなか、エーリクは突然オルヘルスに婚約破棄を言い渡す……。

『姉に全部奪われた私、今度は自分の幸せを選びます ~姉の栄光を支える嘘を、私は一枚ずつ剥がす~』

六角
恋愛
復讐はしない。——ただ「嘘」を回収する。 礼儀と帳簿で宮廷の偽りを詰ませる“監査官令嬢”の華麗なる逆転劇。 王家献上宝飾の紛失事件で濡れ衣を着せられ、家族にも婚約者にも捨てられて追放された子爵家次女リリア。  数年後、彼女は王妃直属の「臨時監査官」として、再び宮廷の土を踏む。  そこで待っていたのは、「慈愛の聖女」として崇められる姉セシリアと、彼女に心酔する愚かな貴族たち。しかし、姉の栄光の裏には、横領、洗脳、そして国を揺るがす「偽造魔石」の陰謀が隠されていた。  「復讐? いいえ、これは正当な監査です」  リリアは感情に流されず、帳簿と証拠、そして真実を映す「プリズム」を武器に、姉が築き上げた嘘の城を一枚ずつ剥がしていく。  孤立無援の彼女を支えるのは、氷のように冷徹な宰相補佐レオンハルトと、豪快な近衛騎士団長カミュ。  やがてリリアは、国中を巻き込んだ姉の洗脳計画を打ち砕き、自分自身の幸せと、不器用な宰相補佐からの溺愛を手に入れる——。

五度目の人生でも「君を愛することはない」と言われたので、私も愛を捨てました

たると
恋愛
「ルチア、私は君を愛することはない。この婚約は単なる義務だ」 冷徹な公爵、アルベルトの声が夜会会場の片隅で響く。 これで、五度目だ。 私は深く、そして軽やかに一礼した。 「承知いたしました。では、今後はそのように」 これまでは泣いて縋り、彼を振り向かせようと必死に尽くしてきた。 だが、死に戻りを五回も繰り返せば、流石に飽きる。 私は彼を愛することを、きっぱりと辞めた。

【完結】猫を被ってる妹に悪役令嬢を押し付けられたお陰で人生180度変わりました。

本田ゆき
恋愛
「お姉様、可愛い妹のお願いです。」 そう妹のユーリに乗せられ、私はまんまと悪役令嬢として世に名前を覚えられ、終いには屋敷を追放されてしまった。 しかし、自由の身になった私に怖いものなんて何もない! もともと好きでもない男と結婚なんてしたくなかったし堅苦しい屋敷も好きでなかった私にとってそれは幸運なことだった!? ※小説家になろうとカクヨムでも掲載しています。 3月20日 HOTランキング8位!? 何だか沢山の人に見て頂いたみたいでありがとうございます!! 感想あんまり返せてないですがちゃんと読んでます! ありがとうございます! 3月21日 HOTランキング5位人気ランキング4位…… イッタイ ナニガ オコッテンダ…… ありがとうございます!!

姉と妹の常識のなさは父親譲りのようですが、似てない私は養子先で運命の人と再会できました

珠宮さくら
恋愛
スヴェーア国の子爵家の次女として生まれたシーラ・ヘイデンスタムは、母親の姉と同じ髪色をしていたことで、母親に何かと昔のことや隣国のことを話して聞かせてくれていた。 そんな最愛の母親の死後、シーラは父親に疎まれ、姉と妹から散々な目に合わされることになり、婚約者にすら誤解されて婚約を破棄することになって、居場所がなくなったシーラを助けてくれたのは、伯母のエルヴィーラだった。 同じ髪色をしている伯母夫妻の養子となってからのシーラは、姉と妹以上に実の父親がどんなに非常識だったかを知ることになるとは思いもしなかった。

永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~

畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。

これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?

satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。 結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…

「愛があれば十分だ」と私を捨てた婚約者へ――では、その婚約破棄の条件から確認いたしましょう

師走
恋愛
伯爵令嬢リディア・エーヴェルは、貴族たちの婚約や離縁、持参金や相続に関わる条件調整を陰でまとめてきた実務家だった。 だがある夜会で、婚約者である王太子側近ユリウス・グランツから「君は条件ばかりで冷たい。愛があれば契約などいらない」と一方的に婚約破棄されてしまう。 静かに婚約破棄を受理したリディアは、その場で持参金返還、贈与品、名誉回復の文言など必要事項の確認を始めるが、誰もその意味を理解しない。 けれど彼女が婚約から外れた直後から、王都では縁談、婚約、離縁の調整が次々と滞り始める。今まで多くの案件を陰でまとめていたのは、ほかでもないリディアだったのだ。 そんな中、法務局の裁定官補佐セオドア・ヴァレントから、王女ヘレナの婚姻条件を見直してほしいと依頼が舞い込む。 北方大公家との政略結婚。けれど提示された条件は、婚姻ではなく人質の引き渡しに等しいものだった。 「条件は愛の代わりではありません。ですが、愛が壊れたときに人を守ることはできます」 傷つきながらも再び交渉の場に立つリディアは、王女の未来を守るため、そして自分自身の人生を取り戻すため、契約と誠意を武器に王都最大の婚姻交渉へ挑む。 一方、自分を支えていたものの大きさに気づいた元婚約者は、今更になって復縁を望み始めるが――。 小説家になろう様でも掲載中