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王都
9.お父様の予想
「マーサ、何を書いたの?」
リディアが横目で睨むと、
「“お嬢様の貞操の危機” と書きました」
マーサがドヤ顔で言い返してきた。
お昼過ぎに伯爵家に戻ったリディアは執務室の父親に呼び出された。
「お久しぶりですお父様」
「ああ、座りなさい。紅茶でも持って来させよう。
ミリアーナの事は本当に申し訳なかった。
まさかあんな事をしでかすなんて」
憔悴した様子のポーレット伯爵に比べて、リディアは機嫌が良い。
「ロバート様との結婚のことでしたらお気遣いいりませんわ。
とっても助かりましたもの」
「そう言うと思ってたよ。
リディアは元々結婚したかった訳ではなかったしな」
「はい、私傷物になりましたし当分結婚は無理だと思いますの。
だからと言って爵位を継承するつもりもありませんから」
「さっきのお前の口振りだと、ミリアーナは他にも何かやらかしてそうだな」
「・・このままにするのと責任を取らせるのと、どっちが良いのか悩んでいますの」
伯爵は溜息をつきながら、
「ミリアーナは何を?」
「支店に届いた注文品を持ち出そうとしたのを商会員が注意したら、癇癪を起こして床に投げつけてしまったそうなんです」
「高いのか? と言うより商会への注文品なら高いに決まってるな」
「代替え品は準備できたのですが、納期がギリギリになってしまって」
「相手は誰だ?」
「マッケンジー公爵です」
「となると、母上への誕生日プレゼントか。
間に合わなかったらとんでもないことになるな」
「はい、間に合わなかったらレノンと婚約させられてしまいますの」
「・・はあ?」
「プレゼントがないとジェシカ様が不機嫌になるから、代わりに婚約発表して誤魔化すみたいですわ」
「そんな呑気な。いや、嫁に出すのは困る」
「お父様、本音が漏れてますわよ。
セオが必ず間に合わせてくれると信じてるので、あまり気にしてませんの。
それよりも、レノンは付き合っている方とかいらっしゃらないのか、お父様なら何かご存知ありません?」
「いや、レノンはあのまま独身を貫くんじゃないかと噂されてるくらいだ。
ジェシカは酷く気に病んでいる」
「従姉妹のセシリアとかは?」
「ああ、かなりレノンに夢中だと言う話だが相手にされてないみたいだな」
(と言う事は、セシリアの話は嘘なのかしら)
「お父様、公爵家の関係者で麝香の香油を使っている人をご存知ありません?」
「麝香か、結構な値段だから買える人間は限られてくるだろうな」
「女性からプレゼントされた可能性もありますでしょう?」
「と言う事は、香油を使っていたのは男なのか?」
「昨夜公爵家のタウンハウスで、誰かがベッドに忍び込もうとしてきましたの」
「なっ!」
「勿論何もありませんでしたけど、その時麝香の香りがしたので」
伯爵は腕を組んで考え込んでいた。
「男なら、一人だけ思い当たる奴がいる」
リディアが横目で睨むと、
「“お嬢様の貞操の危機” と書きました」
マーサがドヤ顔で言い返してきた。
お昼過ぎに伯爵家に戻ったリディアは執務室の父親に呼び出された。
「お久しぶりですお父様」
「ああ、座りなさい。紅茶でも持って来させよう。
ミリアーナの事は本当に申し訳なかった。
まさかあんな事をしでかすなんて」
憔悴した様子のポーレット伯爵に比べて、リディアは機嫌が良い。
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とっても助かりましたもの」
「そう言うと思ってたよ。
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「はい、私傷物になりましたし当分結婚は無理だと思いますの。
だからと言って爵位を継承するつもりもありませんから」
「さっきのお前の口振りだと、ミリアーナは他にも何かやらかしてそうだな」
「・・このままにするのと責任を取らせるのと、どっちが良いのか悩んでいますの」
伯爵は溜息をつきながら、
「ミリアーナは何を?」
「支店に届いた注文品を持ち出そうとしたのを商会員が注意したら、癇癪を起こして床に投げつけてしまったそうなんです」
「高いのか? と言うより商会への注文品なら高いに決まってるな」
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「相手は誰だ?」
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「となると、母上への誕生日プレゼントか。
間に合わなかったらとんでもないことになるな」
「はい、間に合わなかったらレノンと婚約させられてしまいますの」
「・・はあ?」
「プレゼントがないとジェシカ様が不機嫌になるから、代わりに婚約発表して誤魔化すみたいですわ」
「そんな呑気な。いや、嫁に出すのは困る」
「お父様、本音が漏れてますわよ。
セオが必ず間に合わせてくれると信じてるので、あまり気にしてませんの。
それよりも、レノンは付き合っている方とかいらっしゃらないのか、お父様なら何かご存知ありません?」
「いや、レノンはあのまま独身を貫くんじゃないかと噂されてるくらいだ。
ジェシカは酷く気に病んでいる」
「従姉妹のセシリアとかは?」
「ああ、かなりレノンに夢中だと言う話だが相手にされてないみたいだな」
(と言う事は、セシリアの話は嘘なのかしら)
「お父様、公爵家の関係者で麝香の香油を使っている人をご存知ありません?」
「麝香か、結構な値段だから買える人間は限られてくるだろうな」
「女性からプレゼントされた可能性もありますでしょう?」
「と言う事は、香油を使っていたのは男なのか?」
「昨夜公爵家のタウンハウスで、誰かがベッドに忍び込もうとしてきましたの」
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伯爵は腕を組んで考え込んでいた。
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