【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との

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王都

10.疎外感から

 リディアは、自分の父親はかなりのんびりした人だと思っていたが、意外にもそうではないらしい。

 思ったより早く人物が特定できそうで、リディアは身を乗り出して尋ねた。

「それって誰ですの?」

「レノンの従僕をしている男だ。
名前は知らないが、前公爵から遠い親戚だと聞いたことがある。
いつだったか随分と高価な香油を使ってるなと思ったのを覚えているよ」

「従僕が何故、私の部屋に?」

「少し私の方で調べてみよう。リディアはなるべく公爵家には近づかない方が良いだろう」

「出来れば穏便に終わらせたいので、宜しくお願いします」


「後はミリアーナだな。
あの子は自分だけ伯爵家の血を引いていない事で、劣等感を抱いているのは知っているかい?」

「いいえ、気づきませんでした」

「リディアは呑気だからな。商会の事もあるから仕方ないと言えば仕方ないんだが」

「ミリアーナは寂しかったんでしょうか?」

「アリシア達がこの家に来た頃はまだ私は伯爵家の立て直しで忙しくしていたし、アリシアは双子に手がかかっていた。
リディアも騾馬の交配を始めたばかりだったからね」

「ミリアーナは6歳でしたね。初めて会った時はお互いとても緊張したのを覚えていますわ」

「リディアはスペンサーが行方不明になって一年しか経っていなかったから、何か没頭できるものが欲しかったんじゃないか?
あの頃、殆ど家にいないとアリシアが心配していた」

「それはお父様も同じだったのでは?」

「ああ、今でも時々当時のままのスペンサーが夢に出てくる。
ミリアーナの事はもう一度話し合ってみる。今回の損害額は私に請求書を回してくれ」



 リディアは公爵家から離れる口実にもなる為、グリューニーにイーサンを探しに行くことにした。

 グリューニーはロレンヌ河沿いにある自由都市で、王都から馬車で一日程度で着く。
 商人ギルドや職人ギルドの力が強く、自由都市に住む市民が軍役を逃れ自治を行なっている。
 ロレンヌ河を見渡す高台には司教座聖堂が建てられ、街は南北に街路が続いている。

 リディア達は最初に商人ギルドを訪れた。

「スペンサー商会のリディア・ポーレットです。長老か参審員のどなたかにお会いしたいのですが」

 ギルドの受付の一人が慌てて奥の部屋に駆け込み、別の職員が応接室に案内してくれた。

「お待たせしました。
当ギルド参審員のチャールズです。
先日イーサン殿が港の使用について問い合わせに来られましたが、今日はどの様なご用件で?」

「イーサンが最後に立ち寄ったのはいつ頃か覚えておられますか?」

「一週間前だったと思いますが、何かありましたでしょうか」

「いえ、私は王都の方からきたものですからイーサンと入れ違いになってしまった様で」

「左様ですか。イーサン殿はあの後ヘイデンに向かわれると仰っておいでだったと記憶しております」

「ありがとうございます。
ではこれで、お時間を頂き申し訳ありませんでした」

 席を立ちかけたリディアをチャールズが引き留めた。

「お待ちください。スペンサー商会では河川交易にご興味をお持ちの様ですが?」

「色々な事を勉強している最中ですの。情報収集と言いますか、そんな感じですの」


「お互い腹を割って話しませんか?
イーサン殿の居場所について心当たりがあると申し上げたら如何なさいますか?」

感想 13

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