【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との

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イーサンを探せ

6.ランカスター伯爵

「お嬢様、本当にそのままの格好で領主に面会をされるのですか?」

「仕方ないわね。まさかドレスが必要だなんて思わなかったもの」


 宿屋から先触れの手紙を出し、翌日の面会を取り付けた。
 そしてリディア達は今、領主のマナーハウスの前にズボンとマント姿で立っている。


 まず、門の前で一悶着あった。

「誰だお前ら。ここはお前らの来るところじゃない。さっさと行ってしまえ」

 居丈高な門番にイーサンが、
「領主様にお取り次ぎを願います。こちらは今日伺う予定のポーレット伯爵令嬢です」

「はあ? そいつが伯爵令嬢? だったら俺は王太子様よ」

 門番がゲラゲラと笑っている。

「さっさと門を開けて、私達をご領主の元に案内なさい。
身元の証明ならご領主にいたしますわ」

 リディアの気迫に不安になった門番が門を開けて、
「もし嘘だったらタダじゃ置かないから覚悟しとけよ」

「偽りでなかった時の覚悟をしておく事ね」


 普段と違う上から目線で高慢なリディアの態度に、イーサンが小声で揶揄ってきた。

「初めてお嬢が貴族の令嬢に見えてきた」

「イーサン揶揄わないで。この顔続けるの大変なんだから。
頬が引き攣りそうよ」


 執事が応接室のドアを開け、リディアが一歩足を踏み入れた。

「なんだ? 農民達に用はない。とっとと帰れ。
ジェームズ何をしている、そいつらをさっさと追い出せ」

 領主の言葉を無視してリディアが話しはじめた。

「この様な身なりで参りました事お詫び申し上げます。ポーレット伯爵が長女リディア・ポーレットと申します」

「・・あんたが?」

「はい、証拠が必要ならばこれを」

 リディアは身に付けていた指輪を外し執事に手渡した。

「本物の様ですな。今日はどの様なご用件で?」

 リディアはソファに座り、その後ろにイーサンとマーサが立った。

「ご領地の問題解決に向けてのご提案に参りましたの」

「さて、当領内では特に問題など起きておりませんが?」

「・12歳以上の農民全てに人頭税を導入
・賦役労働の復活
・住居や職業の移動禁止
・農村共同体の共有地取り上げ

びっくりするほどの悪手と申し上げるしかありませんわ」


「何と言う無礼な! 小娘だと思って優しくしておれば」

「今日は伯爵令嬢としてだけでなく、スペンサー商会の商会長として参りましたの」

 ランカスター伯爵が訝しげな顔で、
「国一番の商会が何の用ですかな」

「当商会から融資のご提案ですわ。

今後数年、低金利での融資をいたします。
その間に領地の立て直しをされては如何かと」

「随分と気前のいい話だが、条件は?」

「お布令の撤廃と、今回購入した奴隷の開放ですわ。
数年間は解放奴隷の移動を禁止。
その後定住する農民が増えれば、人手不足はなくなりますでしょう?

何よりも、貨幣地代制を導入した先駆者としての面子も保たれるかと」


「商会が首を突っ込んでくる理由は?」

「この領地での問題が公になれば、他の街でも騒ぎが大きくなりますでしょう?
そうなれば商会にとって不利益になりますの」

「奴隷を解放して農民に?」

「農奴から農民としての自由の保障。
これを正しく実践する事ができれば、他領地に流出する者は少ないと思いますわ。
勿論税収も上がりますし、他の領主の方に自慢できますわ」
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