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ティルスへ
14.ルーカス最強
アレクが店に一歩入ると、騒めきが一層大きくなった気がした。
(ヤバいよ、こいつら殆どがガンズのケツ持ちだもんな)
アレクは出来る限りの平静を装い店の中を見回すと、一番奥で膝に女給を乗せているガンズを見つけた。
入り口近くで酒を飲んでいる男に声をかけた。
「ガンズさんに話があるんだけど」
「ああ? お前誰だよ。見た事ねえツラしてんな」
(? そうか、湯浴みしたから誰か分かんなくなったんだ。こいつはラッキーかも)
「ガンズさん呼んでくんない?」
「ガンズならあそこにいんだろうが。
おいガンズ、お子ちゃまがお前に用があるってよ」
店の中が静まり返った。
「何だ、てめえ。用があるならこっちこい」
「出来れば、店の外で話したいんだけど。
今日の昼間のガキの件でさ」
ガンズにジロジロと見られているアレクは“バレたらどうしよう” と、内心ヒヤヒヤしていたが、ガンズは立ち上がりアレクの方にやって来た。
「ショボいネタだったら簀巻きにして海に放り込んでやる。
覚悟は出来てんだろうな」
「ああ、勿論。あん時俺あそこにいたんだ。
・・後は外で話してもいい?」
アレクとガンズは二人揃って店を出た。
「んで? 何を知ってる?」
「あんたさ、俺が分かんないの?
ちょっと顔洗っただけで分かんなくなるとか頭悪すぎ」
「はあ? てめえ、スリの小僧!」
アレクが駆け出すとガンズが追いかけて来た。
「このガキ! 待ちやがれ」
アレクは時折後ろを振り返ってはガンズを煽り、ガンズを港の奥まで連れ出した。
「ガンズぅ、こっちだバーカ」
アレクが岸壁の横を通り抜けサイロの影に回り込んだ。
「くそっ」
姿の見えなくなったアレクに腹を立てたガンズの前にルーカスが飛び出した。
「邪魔だ! どけ」
「次は俺の番なんでね」
重心をやや前寄りに、足を肩幅程度に広げて膝を軽く曲げている。
左拳は顎に、右拳を目の当たりに構えた。
「ボクシングだわ。
マーサ、ルーカスがボクシングの構えをとってる。
しかも左利きよ」
「あれはボクシングですか?」
「そう、ライオネル叔父様がスペンサーに教えてたの。
私にも教えてって言ったら断られちゃったけど」
「ライオネル様が賢明な方で良かったです」
「教えてもらえなかったけど、見て覚えたわ。
少しなら私も出来るわよ」
目を輝かせながらルーカス達の様子を伺うリディアに、
「ライオネル様・・」
マーサが溜息をついた。
酔っ払っているガンズと冷静なルーカスではまともな戦いにならず、勝負は呆気なくついた。
ルーカスが、地面に倒れ気を失っている大男のガンズを軽々と肩に担いだ。
「どこに連れ行きますか?」
「ルーカスそれ、重くないの?
この奥に壊れかけた倉庫があるんですって」
「あっ、俺そこ知ってる。ついて来て」
アレクの道案内で辿り着いた倉庫の前にはケビンによく似た若者が立っていた。
「マシューだ。あの人は、ケビンさんの息子のマシューだよ」
ガンズを縛り上げ、猿轡を咬まして倉庫の隅に置きリディア達は宿に帰った。
ガンズの見張りはマシューの担当。
「ルーカス、あなた左利きなの? それに凄い力持ちなのね。
これから先別の方面でも手伝ってもらおうかしら」
(ヤバいよ、こいつら殆どがガンズのケツ持ちだもんな)
アレクは出来る限りの平静を装い店の中を見回すと、一番奥で膝に女給を乗せているガンズを見つけた。
入り口近くで酒を飲んでいる男に声をかけた。
「ガンズさんに話があるんだけど」
「ああ? お前誰だよ。見た事ねえツラしてんな」
(? そうか、湯浴みしたから誰か分かんなくなったんだ。こいつはラッキーかも)
「ガンズさん呼んでくんない?」
「ガンズならあそこにいんだろうが。
おいガンズ、お子ちゃまがお前に用があるってよ」
店の中が静まり返った。
「何だ、てめえ。用があるならこっちこい」
「出来れば、店の外で話したいんだけど。
今日の昼間のガキの件でさ」
ガンズにジロジロと見られているアレクは“バレたらどうしよう” と、内心ヒヤヒヤしていたが、ガンズは立ち上がりアレクの方にやって来た。
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覚悟は出来てんだろうな」
「ああ、勿論。あん時俺あそこにいたんだ。
・・後は外で話してもいい?」
アレクとガンズは二人揃って店を出た。
「んで? 何を知ってる?」
「あんたさ、俺が分かんないの?
ちょっと顔洗っただけで分かんなくなるとか頭悪すぎ」
「はあ? てめえ、スリの小僧!」
アレクが駆け出すとガンズが追いかけて来た。
「このガキ! 待ちやがれ」
アレクは時折後ろを振り返ってはガンズを煽り、ガンズを港の奥まで連れ出した。
「ガンズぅ、こっちだバーカ」
アレクが岸壁の横を通り抜けサイロの影に回り込んだ。
「くそっ」
姿の見えなくなったアレクに腹を立てたガンズの前にルーカスが飛び出した。
「邪魔だ! どけ」
「次は俺の番なんでね」
重心をやや前寄りに、足を肩幅程度に広げて膝を軽く曲げている。
左拳は顎に、右拳を目の当たりに構えた。
「ボクシングだわ。
マーサ、ルーカスがボクシングの構えをとってる。
しかも左利きよ」
「あれはボクシングですか?」
「そう、ライオネル叔父様がスペンサーに教えてたの。
私にも教えてって言ったら断られちゃったけど」
「ライオネル様が賢明な方で良かったです」
「教えてもらえなかったけど、見て覚えたわ。
少しなら私も出来るわよ」
目を輝かせながらルーカス達の様子を伺うリディアに、
「ライオネル様・・」
マーサが溜息をついた。
酔っ払っているガンズと冷静なルーカスではまともな戦いにならず、勝負は呆気なくついた。
ルーカスが、地面に倒れ気を失っている大男のガンズを軽々と肩に担いだ。
「どこに連れ行きますか?」
「ルーカスそれ、重くないの?
この奥に壊れかけた倉庫があるんですって」
「あっ、俺そこ知ってる。ついて来て」
アレクの道案内で辿り着いた倉庫の前にはケビンによく似た若者が立っていた。
「マシューだ。あの人は、ケビンさんの息子のマシューだよ」
ガンズを縛り上げ、猿轡を咬まして倉庫の隅に置きリディア達は宿に帰った。
ガンズの見張りはマシューの担当。
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これから先別の方面でも手伝ってもらおうかしら」
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