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18.相変わらずの家族
伯爵家の執事がサイラスに手紙を渡すと封蝋を確認したサイラスが大きな溜息をついた。
「また小煩い事を言ってきたのか。いい年をしてあれこれこちらの事に口を突っ込むのは辞めて欲しい・・なんだと!」
手紙を読みながらブツブツと文句を言っていたサイラスは手紙をテーブルに叩きつけ怒鳴った。
「手紙を持ってきたのは誰だ?」
「大奥様のお屋敷の執事ですが、お手紙のお返事が必要との事でしたのでホールで待たせております」
「夕食の時間に来るなんて非常識ですわねぇ。一体なんて書いてありましたの?」
サイラスが妻に手紙を渡した。
「エリーは母上のところにいるらしい、仕方ないここに呼びなさい」
呼ばれてやってきたアリシアの執事に、食事を再開したサイラスが冷たく言い放った。
「このような時間に来るなど非常識だとは思わんのか」
「お食事中大変申し訳ございません。エリー様のお荷物をいただき次第お暇させて頂きますのでご容赦のほど」
「荷物ってどういう事?」
エリーの荷物のほとんどはミリーが使っているので、それを持っていかれるのは非常に不味いミリーは眉間に皺を寄せ身を乗り出した。
「お義母様の勝手がまたはじまったのね。
エリーはお義母様のところで暮らす事になったのなら、もう探さなくて良くなったし試験を受けていないから学園に行けないし丁度良かったのではなくて?」
アリシアからの手紙を読み終わりテーブルに置いたエドナはほっと安心したようでにこやかに笑った。
「そんなの駄目よ! だってエリーだけお祖母様のとこだなんて。
どうしてお祖母様はいつもエリーだけ甘やかすの? 前に帰ってきた時エリーはお祖母様から色んな物を買って貰ってたのよ」
「エリーはもう真面な結婚もできんのだし母上に責任を取って貰えばいいだろう」
「僕もその方が助かる。友達は僕に妹が二人いるのを知ってるから、なんで一人しか入学してないのかって聞かれたら面倒だもん」
「夜のこんな時間だから荷物はお前達で纏めて持って行きなさい」
サイラスの言葉にミリーが慌てて立ち上がった。
「待って! もう夜なんだし明日にしましょうよ。うちの使用人をこんな時間から働かせるなんて可哀想でしょう?」
「お気遣いありがとうございます。荷物を纏めるのにメイドを3人連れてきておりますのでご心配には及びません。皆様はそのままお食事を続けて頂ければと」
「そうだよ、ミリーが心配しなくてもこんな時間にやって来たんだから自分達だけでやってくれるよ、そうだろう?」
「勿論でございます」
穏やかな顔で一礼したチャールズは振り向き、後ろに控えていたメイド達に合図を出した。
「わた、私が行くわ」
「ミリーは優しい子だな。だが食事の途中なんだからあの者たちに任せておけばいい」
反論のしようがなくなったミリーは椅子にドスンと座り爪を噛みはじめた。
ジェームズの先導でチャールズとメイド達はエリーの部屋にやって来たが、その部屋には勉強道具以外にはほとんど何も物がなかった。
チャールズが食堂に戻ってきてそれを伝えるとエドナが憤慨した。
「そんなはずはありませんわ。だってエリーには十分すぎる程のドレスやアクセサリーを買ってやりましたもの。
わたくしが見に参ります!」
「わっ私が行くわ、お母様はお食事を続けて下さいませ」
「では一緒にいらっしゃい。お義母様にとやかく言われたくないからサイラスも来てくださるかしら?」
「じゃあ僕も行っていい?」
チャールズはサイラス達と共にエリーの部屋に戻り荷物を詰めかけたトランクの中をサイラスに見せた。
「お部屋にあったのはこれだけでございます」
サイラスが確認すると扉の開かれたクローゼットの中や勉強机の引き出しは空になっておりジュエリーボックスの中にも何も入っていなかったが、トランクの中には勉強道具とかなり使い込んだドレスと夜着が数枚入っているだけだった。
ミリーは部屋の入り口近くで青褪めて立ち尽くしていたがそれに気付かないエドナがトランクの中を覗き込んで首を傾げた。
「どういう事かしら? エリーが旅行に持って行ったのは小ぶりのトランクひとつだけなのに。残りの荷物は一体どうしたの?」
「どこか別のお部屋にあるのではございませんでしょうか?」
エリーの置かれていた状況をアリシアから聞いているチャールズが無表情でエドナに聞き返した。
「エリーの部屋はここだから別の部屋に荷物があるはずが・・ミリー、何か聞いてないのか?」
「また小煩い事を言ってきたのか。いい年をしてあれこれこちらの事に口を突っ込むのは辞めて欲しい・・なんだと!」
手紙を読みながらブツブツと文句を言っていたサイラスは手紙をテーブルに叩きつけ怒鳴った。
「手紙を持ってきたのは誰だ?」
「大奥様のお屋敷の執事ですが、お手紙のお返事が必要との事でしたのでホールで待たせております」
「夕食の時間に来るなんて非常識ですわねぇ。一体なんて書いてありましたの?」
サイラスが妻に手紙を渡した。
「エリーは母上のところにいるらしい、仕方ないここに呼びなさい」
呼ばれてやってきたアリシアの執事に、食事を再開したサイラスが冷たく言い放った。
「このような時間に来るなど非常識だとは思わんのか」
「お食事中大変申し訳ございません。エリー様のお荷物をいただき次第お暇させて頂きますのでご容赦のほど」
「荷物ってどういう事?」
エリーの荷物のほとんどはミリーが使っているので、それを持っていかれるのは非常に不味いミリーは眉間に皺を寄せ身を乗り出した。
「お義母様の勝手がまたはじまったのね。
エリーはお義母様のところで暮らす事になったのなら、もう探さなくて良くなったし試験を受けていないから学園に行けないし丁度良かったのではなくて?」
アリシアからの手紙を読み終わりテーブルに置いたエドナはほっと安心したようでにこやかに笑った。
「そんなの駄目よ! だってエリーだけお祖母様のとこだなんて。
どうしてお祖母様はいつもエリーだけ甘やかすの? 前に帰ってきた時エリーはお祖母様から色んな物を買って貰ってたのよ」
「エリーはもう真面な結婚もできんのだし母上に責任を取って貰えばいいだろう」
「僕もその方が助かる。友達は僕に妹が二人いるのを知ってるから、なんで一人しか入学してないのかって聞かれたら面倒だもん」
「夜のこんな時間だから荷物はお前達で纏めて持って行きなさい」
サイラスの言葉にミリーが慌てて立ち上がった。
「待って! もう夜なんだし明日にしましょうよ。うちの使用人をこんな時間から働かせるなんて可哀想でしょう?」
「お気遣いありがとうございます。荷物を纏めるのにメイドを3人連れてきておりますのでご心配には及びません。皆様はそのままお食事を続けて頂ければと」
「そうだよ、ミリーが心配しなくてもこんな時間にやって来たんだから自分達だけでやってくれるよ、そうだろう?」
「勿論でございます」
穏やかな顔で一礼したチャールズは振り向き、後ろに控えていたメイド達に合図を出した。
「わた、私が行くわ」
「ミリーは優しい子だな。だが食事の途中なんだからあの者たちに任せておけばいい」
反論のしようがなくなったミリーは椅子にドスンと座り爪を噛みはじめた。
ジェームズの先導でチャールズとメイド達はエリーの部屋にやって来たが、その部屋には勉強道具以外にはほとんど何も物がなかった。
チャールズが食堂に戻ってきてそれを伝えるとエドナが憤慨した。
「そんなはずはありませんわ。だってエリーには十分すぎる程のドレスやアクセサリーを買ってやりましたもの。
わたくしが見に参ります!」
「わっ私が行くわ、お母様はお食事を続けて下さいませ」
「では一緒にいらっしゃい。お義母様にとやかく言われたくないからサイラスも来てくださるかしら?」
「じゃあ僕も行っていい?」
チャールズはサイラス達と共にエリーの部屋に戻り荷物を詰めかけたトランクの中をサイラスに見せた。
「お部屋にあったのはこれだけでございます」
サイラスが確認すると扉の開かれたクローゼットの中や勉強机の引き出しは空になっておりジュエリーボックスの中にも何も入っていなかったが、トランクの中には勉強道具とかなり使い込んだドレスと夜着が数枚入っているだけだった。
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「どういう事かしら? エリーが旅行に持って行ったのは小ぶりのトランクひとつだけなのに。残りの荷物は一体どうしたの?」
「どこか別のお部屋にあるのではございませんでしょうか?」
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