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43.後半戦 二 この人にもお仕置き
ミリーが振り返りキョロキョロとエリーを探しはじめた。
「エリー、出てきなさいよ。どこに隠れてるの?」
サイラスとエドナが慌てて脇によけエリーの腕を引っ張り前に突き出した。ずっと表情を変えなかったミゲルが満面の笑みを浮かべて一歩前に出たが、エリーは気づかない振りでシリルとケビンに小さく手を振った。
「あんたの婚約は破棄よ! 婚約者取り替えっこしてあげる。子爵令息より王太子の方がいいでしょ?」
両手を腰に当て大声で宣言したミリーを見てエリーは大きな溜息をついた。
「ミリー、子供じゃあるまいし自分の都合次第で勝手に取り替えっこって言い出す癖はやめた方がいいわ。そう思いませんか?」
エリーは言葉の最後をサイラス達に向けて言った。
「えっ、エリーは母上に気に入られてるからお前の支度金なら母上が出してくれるだろう。婚約者を取り替えるだけなら金を払わんで済むしな」
「そうですよ。元々オーエンはミリーと結婚したがっていたし、王太子様はエリーを希望していたんですからね」
「結婚相手がいさえすれば誰だっていいじゃないか。行かず後家になったエリーの面倒を見るのなんてお断りだからさ。でもお祖母様の資産を勝手に使うのは許さないからね」
「ほらー、これで決まりね。エリーは貧乏な王太子のとこにお嫁に行って私はお金持ちのオーエンと結婚するわ。ずっと遊んでたエリーより私の方が幸せになって当然だもの。ねっ、お父様?」
「そうだな、学校にも行っていないエリーが王太子妃になれるとは思えんが、元々王太子は不良品のエリーを望んでたんだ。似合いの二人じゃないか」
わっはっはと豪快に笑い出したサイラスの横でエドナ達三人も笑い出した。
「ミリー、私ねレバントの宿を飛び出した時二度と貴方の取り替えっこには応じないって決めたの」
「だから? えっ? それじゃ貧乏王子を私に押し付けるつもりなの?」
「ミゲル殿下は先程ミリーに確認しておられましたし、婚約は決まられているのでしょう? おめでとうございますと申し上げて宜しいでしょうか?」
「えっ? エリー、待って。話が違う! 僕が結婚したいのはエリーだって知ってるだろ?」
一番慌てたのはミゲル。王弟殿下とモブレー公爵は青褪めシリルとケビンは笑いを堪えている。蒼白になり震える手を伸ばしたミゲルに向けて満面の笑顔のエリーはキッパリと言い切った。
「存じませんの。最後にお手紙を頂いてから4年以上経っておりますし、それだけの時間があれば生まれたての赤子でさえ走り回るようになりますもの」
「ごっごめん、僕が間違ってた。エリーなら分かってくれるとか許してくれるって」
漸く自分の間違いに気づいたミゲル。
「私からの手紙は届いていたのでしょう?」
「うん、毎月とても楽しみで僕の励みに。そうか、逆の立場だったら。ごめん、何て謝ったらいいのかわからないけど僕が浅はかだった。許してもらえないかもしれないけど・・僕はエリーと一緒にいたい」
「うーん、どうしましょう。4年間毎月お手紙を頂いてから仕切り直しというのは如何かしら? シリルさんとケビンさん、どう思われます?」
「えっ? ちょっ待って何で俺に聞くんすか?」
「あら、いんじゃない? 何度言っても聞かなかった分からず屋の坊やにはそのくらいのお仕置き必要かも。それと一緒になって連絡するなって言ってたボンクラにもお仕置きしてくれたら超ラッキーって感じよ」
国も肩書きも気にしないシリルは本人を前にして堂々と『分からず屋』だの『ボンクラ』だのと言い放った。
(ふふっ。シリルさんってば言葉が元に戻ってる)
「それはわたくしの担当にして頂けるかしら? わたくしが出資している貿易会社、輸送経路と取引先の見直しを検討しておりますの」
「なっ! 待って下さい、それってもしかして・・」
王弟殿下とモブレー公爵が蒼白になった。
「わたくしとマイラも少しばかり思うところがありますの。それ相応の気晴らしが必要になっておりましてよ」
「待って下さい。困ります、そんな事になったら我が国は!」
「ねえ、ただの年寄りに何でそんなに慌ててるの?」
「ばっ、馬鹿もん! アリシア様を年寄りだと! こっこの方の事業や人脈が我が国にとってどれほど重要なものかも知らんのか!」
「「「我が国って?」」」
サイラス達4人が揃って首を傾げた。
「この方はロンダール王国の王弟殿下よ。お顔も存じ上げないなんて情けないわね。まあ王太子と皇太子の違いもわからないような人じゃ仕方ないのかしら」
「マイラ、サイラスもエドナも学園に行ってない上に家庭教師から逃げ出していたそうですから諦めてあげなさいな」
「そうでした。貴族としての基本さえ分かってなくても仕方ないのよね。フレディとミリーは寄付金を払って漸く進級した口だし。
お馬鹿さんの子供はお馬鹿さんなのね」
「だったらお祖母様達が甘やかしてるエリーだってお馬鹿さんじゃない!」
「エリー、出てきなさいよ。どこに隠れてるの?」
サイラスとエドナが慌てて脇によけエリーの腕を引っ張り前に突き出した。ずっと表情を変えなかったミゲルが満面の笑みを浮かべて一歩前に出たが、エリーは気づかない振りでシリルとケビンに小さく手を振った。
「あんたの婚約は破棄よ! 婚約者取り替えっこしてあげる。子爵令息より王太子の方がいいでしょ?」
両手を腰に当て大声で宣言したミリーを見てエリーは大きな溜息をついた。
「ミリー、子供じゃあるまいし自分の都合次第で勝手に取り替えっこって言い出す癖はやめた方がいいわ。そう思いませんか?」
エリーは言葉の最後をサイラス達に向けて言った。
「えっ、エリーは母上に気に入られてるからお前の支度金なら母上が出してくれるだろう。婚約者を取り替えるだけなら金を払わんで済むしな」
「そうですよ。元々オーエンはミリーと結婚したがっていたし、王太子様はエリーを希望していたんですからね」
「結婚相手がいさえすれば誰だっていいじゃないか。行かず後家になったエリーの面倒を見るのなんてお断りだからさ。でもお祖母様の資産を勝手に使うのは許さないからね」
「ほらー、これで決まりね。エリーは貧乏な王太子のとこにお嫁に行って私はお金持ちのオーエンと結婚するわ。ずっと遊んでたエリーより私の方が幸せになって当然だもの。ねっ、お父様?」
「そうだな、学校にも行っていないエリーが王太子妃になれるとは思えんが、元々王太子は不良品のエリーを望んでたんだ。似合いの二人じゃないか」
わっはっはと豪快に笑い出したサイラスの横でエドナ達三人も笑い出した。
「ミリー、私ねレバントの宿を飛び出した時二度と貴方の取り替えっこには応じないって決めたの」
「だから? えっ? それじゃ貧乏王子を私に押し付けるつもりなの?」
「ミゲル殿下は先程ミリーに確認しておられましたし、婚約は決まられているのでしょう? おめでとうございますと申し上げて宜しいでしょうか?」
「えっ? エリー、待って。話が違う! 僕が結婚したいのはエリーだって知ってるだろ?」
一番慌てたのはミゲル。王弟殿下とモブレー公爵は青褪めシリルとケビンは笑いを堪えている。蒼白になり震える手を伸ばしたミゲルに向けて満面の笑顔のエリーはキッパリと言い切った。
「存じませんの。最後にお手紙を頂いてから4年以上経っておりますし、それだけの時間があれば生まれたての赤子でさえ走り回るようになりますもの」
「ごっごめん、僕が間違ってた。エリーなら分かってくれるとか許してくれるって」
漸く自分の間違いに気づいたミゲル。
「私からの手紙は届いていたのでしょう?」
「うん、毎月とても楽しみで僕の励みに。そうか、逆の立場だったら。ごめん、何て謝ったらいいのかわからないけど僕が浅はかだった。許してもらえないかもしれないけど・・僕はエリーと一緒にいたい」
「うーん、どうしましょう。4年間毎月お手紙を頂いてから仕切り直しというのは如何かしら? シリルさんとケビンさん、どう思われます?」
「えっ? ちょっ待って何で俺に聞くんすか?」
「あら、いんじゃない? 何度言っても聞かなかった分からず屋の坊やにはそのくらいのお仕置き必要かも。それと一緒になって連絡するなって言ってたボンクラにもお仕置きしてくれたら超ラッキーって感じよ」
国も肩書きも気にしないシリルは本人を前にして堂々と『分からず屋』だの『ボンクラ』だのと言い放った。
(ふふっ。シリルさんってば言葉が元に戻ってる)
「それはわたくしの担当にして頂けるかしら? わたくしが出資している貿易会社、輸送経路と取引先の見直しを検討しておりますの」
「なっ! 待って下さい、それってもしかして・・」
王弟殿下とモブレー公爵が蒼白になった。
「わたくしとマイラも少しばかり思うところがありますの。それ相応の気晴らしが必要になっておりましてよ」
「待って下さい。困ります、そんな事になったら我が国は!」
「ねえ、ただの年寄りに何でそんなに慌ててるの?」
「ばっ、馬鹿もん! アリシア様を年寄りだと! こっこの方の事業や人脈が我が国にとってどれほど重要なものかも知らんのか!」
「「「我が国って?」」」
サイラス達4人が揃って首を傾げた。
「この方はロンダール王国の王弟殿下よ。お顔も存じ上げないなんて情けないわね。まあ王太子と皇太子の違いもわからないような人じゃ仕方ないのかしら」
「マイラ、サイラスもエドナも学園に行ってない上に家庭教師から逃げ出していたそうですから諦めてあげなさいな」
「そうでした。貴族としての基本さえ分かってなくても仕方ないのよね。フレディとミリーは寄付金を払って漸く進級した口だし。
お馬鹿さんの子供はお馬鹿さんなのね」
「だったらお祖母様達が甘やかしてるエリーだってお馬鹿さんじゃない!」
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