33 / 41
33.己一人の才覚
しおりを挟む
陛下が慌てて腰を浮かせ、大広間の中が騒めいた。
「其方がアニー商会の商会長だと?」
「はい、左様でございます。証人は各ギルドのギルド長が」
「馬鹿な! 貴様はまだ子供ではないか?」
「若いからこそ柔軟な発想があるのかも知れません。
アニー商会の全資産及び権利をメルバーグ王国第二王子リアム様に贈らせていただきます」
「ふざけるな! 貴様の資産は親であるチャールズが管理するもの。何故他国のものに! チャールズ、何とか申せ!」
「ロクサーナの資産は娘が己一人の才覚で作り上げたものでございます。本人の心のままに」
「先程の資産に漏れておりましたベイワーズの山の権利と銀鉱山もリアム様にお贈り致します」
「・・我が国に銀鉱山があると申したのか?」
「はい、購入致しておりました山にたまたま」
「それを他国の者に渡すなど、この売国奴が!」
「先程までは審議もなく毒杯を賜るところでございました。
その後は奴隷制を排した国にも関わらず奴隷落ちとなりました。
奴隷はどの国にも属しておりませんので、売りたくても売る国の持ち合わせがございません。
商人としては非常に残念でございます」
「ぷっ」
「ぶはっ」
大広間に笑いの渦が広まった。
「・・どっ奴隷落ちはなしじゃ。これからも国の為に努めよ」
「父上、ロクサーナは私の婚約者です! 商会の事も鉱山の事も私がロクサーナを手伝います」
リチャードが叫んだ。
「行き違いはあったけれど僕達は長年の婚約者だろ? メリッサとステラに騙されていたんだ、これからも仲良くやっていこう」
「リチャード!!」
「先程婚約破棄となりましたことは、ここにおられる皆様が証人となって下さるでしょう。
陛下もリチャード王子殿下もアニー商会と銀鉱山の為に意見を翻されるのは些か体裁が悪いのではないかと具申致します」
冷たい目で見つめながら発せられたロクサーナの言葉に国王とリチャードは何も言えなくなった。
「わたくしからも一言。
民を奴隷として売り渡すとサルバリア国と密約を交わされたことはメルバーグ王国として許し難く、離婚すると共にメルバーグ王国とポラセリア王国の同盟を撤回いたします」
王妃はメルバーグ王国の国璽が押された書面を差し出した。
「おっお待ち下さい王妃様。そんな事になったら我が国は!」
王妃の発言に陛下が青褪め宰相が叫んだ。
「メルバーグ王国から見捨てられたらこの国は終わってしまいます」
メルバーグ王国は国法で奴隷制を禁止しており、盟約の一つとしてポラセリア王国も奴隷制の廃止を謳っている。
また、ポラセリア王国は長年メルバーグ王国からの支援に頼っており、同盟が撤回されると国政が立ち行かなくなる事は必定。
「贅を極め国費を浪費し民を蔑ろにしてきた責任をとる時が来たのです」
王妃は玉座を降りロクサーナの元に歩いてきた。
「待て! サルバリアとの密約は取りやめじゃ。この国に銀鉱山が見つかったのじゃ、もう何の問題もない。
ロクサーナの山は国営地とし、直ぐに採掘を開始する。さすれば民を売らずとも良くなるのじゃ」
「相応の支払いをしていただかない限り山をお譲りする事は出来かねます」
「何だと! 其方自身の国の窮地を救うのだぞ。其方には爵位と領地をくれてやろうではないか。これ以上の勝手は許さんぞ。
もし否と申すなら商会共々取り上げてくれる!」
「お断り致します。私が命をかけて戦ってきた4年間の成果でございます故、陛下達の利益にする事だけは致しません。
私を陥れ汚名を着せ命を奪おうとしてきた陛下・宰相閣下・リチャード王子殿下・側近候補3名・メリッサ様・ステラ様の利益になる事は全てお断り致します」
「衛兵! 国賊じゃ、其奴を捕らえよ!」
「其方がアニー商会の商会長だと?」
「はい、左様でございます。証人は各ギルドのギルド長が」
「馬鹿な! 貴様はまだ子供ではないか?」
「若いからこそ柔軟な発想があるのかも知れません。
アニー商会の全資産及び権利をメルバーグ王国第二王子リアム様に贈らせていただきます」
「ふざけるな! 貴様の資産は親であるチャールズが管理するもの。何故他国のものに! チャールズ、何とか申せ!」
「ロクサーナの資産は娘が己一人の才覚で作り上げたものでございます。本人の心のままに」
「先程の資産に漏れておりましたベイワーズの山の権利と銀鉱山もリアム様にお贈り致します」
「・・我が国に銀鉱山があると申したのか?」
「はい、購入致しておりました山にたまたま」
「それを他国の者に渡すなど、この売国奴が!」
「先程までは審議もなく毒杯を賜るところでございました。
その後は奴隷制を排した国にも関わらず奴隷落ちとなりました。
奴隷はどの国にも属しておりませんので、売りたくても売る国の持ち合わせがございません。
商人としては非常に残念でございます」
「ぷっ」
「ぶはっ」
大広間に笑いの渦が広まった。
「・・どっ奴隷落ちはなしじゃ。これからも国の為に努めよ」
「父上、ロクサーナは私の婚約者です! 商会の事も鉱山の事も私がロクサーナを手伝います」
リチャードが叫んだ。
「行き違いはあったけれど僕達は長年の婚約者だろ? メリッサとステラに騙されていたんだ、これからも仲良くやっていこう」
「リチャード!!」
「先程婚約破棄となりましたことは、ここにおられる皆様が証人となって下さるでしょう。
陛下もリチャード王子殿下もアニー商会と銀鉱山の為に意見を翻されるのは些か体裁が悪いのではないかと具申致します」
冷たい目で見つめながら発せられたロクサーナの言葉に国王とリチャードは何も言えなくなった。
「わたくしからも一言。
民を奴隷として売り渡すとサルバリア国と密約を交わされたことはメルバーグ王国として許し難く、離婚すると共にメルバーグ王国とポラセリア王国の同盟を撤回いたします」
王妃はメルバーグ王国の国璽が押された書面を差し出した。
「おっお待ち下さい王妃様。そんな事になったら我が国は!」
王妃の発言に陛下が青褪め宰相が叫んだ。
「メルバーグ王国から見捨てられたらこの国は終わってしまいます」
メルバーグ王国は国法で奴隷制を禁止しており、盟約の一つとしてポラセリア王国も奴隷制の廃止を謳っている。
また、ポラセリア王国は長年メルバーグ王国からの支援に頼っており、同盟が撤回されると国政が立ち行かなくなる事は必定。
「贅を極め国費を浪費し民を蔑ろにしてきた責任をとる時が来たのです」
王妃は玉座を降りロクサーナの元に歩いてきた。
「待て! サルバリアとの密約は取りやめじゃ。この国に銀鉱山が見つかったのじゃ、もう何の問題もない。
ロクサーナの山は国営地とし、直ぐに採掘を開始する。さすれば民を売らずとも良くなるのじゃ」
「相応の支払いをしていただかない限り山をお譲りする事は出来かねます」
「何だと! 其方自身の国の窮地を救うのだぞ。其方には爵位と領地をくれてやろうではないか。これ以上の勝手は許さんぞ。
もし否と申すなら商会共々取り上げてくれる!」
「お断り致します。私が命をかけて戦ってきた4年間の成果でございます故、陛下達の利益にする事だけは致しません。
私を陥れ汚名を着せ命を奪おうとしてきた陛下・宰相閣下・リチャード王子殿下・側近候補3名・メリッサ様・ステラ様の利益になる事は全てお断り致します」
「衛兵! 国賊じゃ、其奴を捕らえよ!」
136
あなたにおすすめの小説
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
【完結】勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい ~婚約者契約は円満に終了しました
九條葉月
恋愛
【ジャンル1位獲得!】
【HOTランキング1位獲得!】
とある公爵との契約(婚約者関係)を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。
順調に準備を進めていると、契約を終えたはずの公爵様や王太子殿下たちがなぜか次々とお店にやって来て――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる