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16.お詫びの花束
その日の夕方、花束を抱えたジェイクがエリンのもとにやって来た。
「エリン、具合はどうかな? 風邪を引いていたと聞いたんだが」
「もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」
「いや、さっきまで全然知らなかったんだ。申し訳ないことをした」
「あまり騒ぎ立てたくなかったものですから、どうぞお気になさらずに」
ジェイクは花束をエリンに渡し、
「遅くなったがお見舞いと、それからお詫びの印に。名前を呼び間違えて申し訳なかった」
頭を下げるジェイクに、
「よくある事ですからお気になさらずとも」
「よくある事なのか?」
「はい、学園では目立たず大人しくしておりますから、名前を覚えてない方なんて沢山いらっしゃいますもの」
「しかし、私達は結婚していて・・」
「この後やりたい事がありますの。もう宜しいですか?」
これ以上ジェイクの顔を見たくなくなったエリンはドアを閉め始めたが、ジェイクが手をかけてそれを止めた。
「あ、ああ。そうだ、良ければ今日夕食を一緒にどうだろうか?」
「・・そういうの、やめません? いつも離れでお食事をとられている事は存じ上げておりますし。無理に気を遣われずとも良いのではないでしょうか」
「離れに人がいる事に気付いていたのか?」
エリンは態と大きな溜息をついた。
「この屋敷に参りましてからもう3ヶ月以上経っておりますもの。詮索するつもりがなくても気付きます。
でも、誰にも話しませんからご安心下さいませ」
「助かる。彼女の事は誰にも知られたくないんだ」
大切な女性を守ろうとするジェイクの態度は、不本意ではあるものの良い事よね・・と、エリンは無理矢理笑顔を浮かべた。
「はい、よく分かっております。
出来る限り早くここを出て行けるよう努力するつもりですから早く作戦を練らないと。
3ヶ月も無駄にしてしまいましたもの」
「ここを出ていく? 何で?」
「色々と話し合うお時間を頂きたいと思っておりますの」
「勿論だよ。私達は色々話し合うべきだと思う。今週末はどうだろうか?」
「はい、喜んで」
「ステラ、どうしてそんなに機嫌が悪いの?」
「お嬢様はずっと我慢ばかりしてこられたから、それが癖になっておいでなんです。
ジェイク様にガツンと仰れば良かったんです」
「うーん、何か言って変わるものでもないでしょう。私はここに間借りしてるようなものだし。
それにね、白い結婚って1年経てば解消できるんですって。問題を片付けて9ヶ月後には店を開くわ」
「お仕事をなさる必要はないのではありませんか? それより良い縁談を見つける方が良いと思いますよ」
「婚約破棄して白い結婚よ、もう懲り懲りだわ。【可哀想で哀れな私】はもう辞めるの。錬金術師として働けるようになれば誰にも文句は言われないでしょう?」
「侯爵家はどうなさるおつもりですか?」
「それなのよね、以前はバイオレットがいたから良かったけど」
「バイオレット様は旦那様に似たところは一つもございません」
「お義母様の話では隔世遺伝だって」
「エリン、具合はどうかな? 風邪を引いていたと聞いたんだが」
「もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」
「いや、さっきまで全然知らなかったんだ。申し訳ないことをした」
「あまり騒ぎ立てたくなかったものですから、どうぞお気になさらずに」
ジェイクは花束をエリンに渡し、
「遅くなったがお見舞いと、それからお詫びの印に。名前を呼び間違えて申し訳なかった」
頭を下げるジェイクに、
「よくある事ですからお気になさらずとも」
「よくある事なのか?」
「はい、学園では目立たず大人しくしておりますから、名前を覚えてない方なんて沢山いらっしゃいますもの」
「しかし、私達は結婚していて・・」
「この後やりたい事がありますの。もう宜しいですか?」
これ以上ジェイクの顔を見たくなくなったエリンはドアを閉め始めたが、ジェイクが手をかけてそれを止めた。
「あ、ああ。そうだ、良ければ今日夕食を一緒にどうだろうか?」
「・・そういうの、やめません? いつも離れでお食事をとられている事は存じ上げておりますし。無理に気を遣われずとも良いのではないでしょうか」
「離れに人がいる事に気付いていたのか?」
エリンは態と大きな溜息をついた。
「この屋敷に参りましてからもう3ヶ月以上経っておりますもの。詮索するつもりがなくても気付きます。
でも、誰にも話しませんからご安心下さいませ」
「助かる。彼女の事は誰にも知られたくないんだ」
大切な女性を守ろうとするジェイクの態度は、不本意ではあるものの良い事よね・・と、エリンは無理矢理笑顔を浮かべた。
「はい、よく分かっております。
出来る限り早くここを出て行けるよう努力するつもりですから早く作戦を練らないと。
3ヶ月も無駄にしてしまいましたもの」
「ここを出ていく? 何で?」
「色々と話し合うお時間を頂きたいと思っておりますの」
「勿論だよ。私達は色々話し合うべきだと思う。今週末はどうだろうか?」
「はい、喜んで」
「ステラ、どうしてそんなに機嫌が悪いの?」
「お嬢様はずっと我慢ばかりしてこられたから、それが癖になっておいでなんです。
ジェイク様にガツンと仰れば良かったんです」
「うーん、何か言って変わるものでもないでしょう。私はここに間借りしてるようなものだし。
それにね、白い結婚って1年経てば解消できるんですって。問題を片付けて9ヶ月後には店を開くわ」
「お仕事をなさる必要はないのではありませんか? それより良い縁談を見つける方が良いと思いますよ」
「婚約破棄して白い結婚よ、もう懲り懲りだわ。【可哀想で哀れな私】はもう辞めるの。錬金術師として働けるようになれば誰にも文句は言われないでしょう?」
「侯爵家はどうなさるおつもりですか?」
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