【完結】何度出会ってもやっぱり超絶腹黒聖職者

との

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一回目 (過去)

95.作戦会議、東の水源地

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「今、北の水源地に手をつけることは反対です。この町には東の水源地があります。危険を犯して北の水源地に手を出すのは止めて時期を待つべきだと思います。
例えば教会でローザリア様の安全を確実に保証できる状態になってから考えても良いのではないでしょうか。護衛の立場から考えて危険すぎると思います」

 ニールは一番に手をあげて反対の意を示した。

「私も反対です。国中の精霊師達の加護が弱まっている時にこれ以上ひとり突出した行動を取るのはあまりにも危険が大きすぎます。
廃坑から新たな鉱物が発見される場合もありますし、貪欲な持ち主なら地盤を固めたせいでその可能性を潰されたと言い出しかねません」

「残念だが俺も反対だ。ウスベルはノールケルト子爵の領地で、廃坑であっても所有者はノールケルト子爵になる。鉱山の一帯の地盤に手を入れるには奴の許可がいるがウスベルに住む領民でさえ見捨てるような奴だ。そんな奴が何を言い出すか⋯⋯ただでやれと言うだけならまだマシで、その情報を売らない保証はない。地盤を固めることが出来るならその逆もまたしかり。荒地を畑にしろだの山が邪魔だの言い出したら?」


「だから精霊王は『出来なくはない』『流れを変える方法も』って曖昧な言い方をしたんですね。方法はあるけど薦めないと言う意味か最終決定は任せるって意味か」

「精霊王のような存在は基本、人の選択に関与しないのです。選択肢を与えても決定はしません。結果を受け取る人間の役目だからです。ローザリア様はしっかり考えて選択する練習をしなくてはなりませんね」

「はい、すごく難しそうだけど大切なことですね」

「相談すりゃいい。ひとりじゃ悩むことでも何人かで話し合えばいい結果が出る事もある」

「はい! これからも宜しくお願いします」



「で、東をどうするかだな。ローザリアはどうしたい?」

「行きたいけど悩んでます。誰かが目視で現状と結果を確認できるなら離れたところから試してもいいと思いますし、ナザエル枢機卿がやってみるのもいいと思います。一番確実で時間がかからない方法が分からなくて」

「一番確実な方法は危険が伴いますし、グレイソンさんの話からすると距離も高低差もかなりありそうなので確認した状況を離れたところに連絡する方法がないでしょう」

 ナスタリア神父が眉間にシワを寄せたままどの方法も一長一短あると締め括った。

「ナザエル枢機卿はローザリア様が遠くにいる状態でできる確率はどのくらいだと思われますか?」

「はあ、そこだよなあ」

 ニールの忌憚ない質問にナザエル枢機卿が頭を抱えた。

「以前なら頑張りゃ何とかなるかもしれんって言ってたと思う。何とかしてやるの間違いか⋯⋯。
だが、今は正直言うと自信がねえ。休憩して魔力の回復を待ちながらって考えると何日かかるか」

 水源地には巨大な湖がありそこから滝に流れ込んでいたが、今はその滝には水が全く流れていない。湖がどの程度の水位になっているのかはグレイソンもわかっていないと言う。

「ローザリア様とどのくらい離れたらナザエル枢機卿の加護が弱まるか調べてみてはどうでしょう」

 山に登らせたくないナスタリア神父が可能性を期待して言い募った。

「明日の朝、調べてみるか⋯⋯距離はいいとして、高さを試す方法を考えんとな」

「空を飛べたら全部解決できるんですよね」

【飛ぶ? いいよー】

【わあ、楽しそー】


 真っ青になったナスタリア神父がガバッと立ち上がりローザリアの口を手で塞いだ。

「ローザリア様、余計な事は考えない・口にしない! ローザリア様がそれをすると精霊達はなんでも役に立とうとしはじめます。それがとても危険だと先程の話でご理解いただけてますよね」

 コクコクと首を縦に振るローザリアはナスタリア神父の迫力に冷や汗をかいた。


「結局のところ、ローザリアが登山に初挑戦するのが一番なのかもしれんなぁ」

 言外に『空だけは飛んでくれるな』と聞こえた気がした。



 夕食の準備ができ、黙々と食事をしている時にナスタリア神父がぽそりと呟いた。

「中間をとって途中まで⋯⋯と言うのはどうでしょうか」

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