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一回目 (過去)
121.リリアーナ、一つ目の目的地
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ー 少し時を遡り⋯⋯ ー
盛大な見送りを受けて王都を出発したリリアーナ達の一行。
出発は屋根のないキャリッジの方が見送りの人達が喜ぶと言い張ったリリアーナだったが、あまりの埃っぽさに癇癪を起こし連絡を受けたランブリー団長が慌てて隊列を停めて走ってやってきた。
「埃っぽくて我慢できないの、今すぐなんとかして!!」
「リリアーナ様のご尊顔に出会えて皆喜んでおりましたから⋯⋯関を抜けたらすぐに別の馬車にお移りいただきますので、今しばらくのご辛抱を」
「ふん、そんな事知ってるわよ! その為にわざわざあんな馬車にしてあげたんだもの。でも、こんなに埃まみれになるなんて聞いてないわ!⋯⋯通りに水を撒いておけば大丈夫だって言ってたのに」
「はあ、水不足の解消に向かうのに通りに水を撒くわけにはいかんと内務大臣が申しまして」
「精霊師にやらせればいいじゃない。これから私は偉業を成し遂げる、その私の為にちょっと水を撒くくらいいいじゃない。全くケチ臭いんだから。
リチャード様にお手紙を書くわ、内務大臣をクビにしてって」
関を抜けるまでハンカチで顔を覆い不貞腐れていたリリアーナは関を出てすぐに1回目の休憩の指示をした。
「馬車を乗り換える前に休むわ。お茶とお菓子を準備して」
荷馬車から天幕を出して設置したその下にクロスをかけたテーブルと椅子を並べるとリリアーナが優雅な仕草で腰を下ろした。急いで準備したお茶とお菓子が並べられお茶会がはじまった。
「凄い歓声だったわ」
「この国を救う為に行動を起こされたリリアーナ様への感謝の気持ちでしょうな」
「当然よね。公爵令嬢が国を救うんだもの、きっと物語になってお芝居とかもはじまるわ。お父様やお母様もいらっしゃればよかったのに。私の偉業を直接見ていただきたかったわ」
「ソーンウォール領にはお越しになられるそうです。お忙しくてもリリアーナ様のためには時間を作ると仰っておいででした」
ガタゴトと揺れる馬車の外は枯れた木々と乾ききった大地が広がっていた。
小さな町を通り過ぎてしばらく隊を進め広い空き地に隊列が停まった。夜宿泊するテントを立てて食事の準備がはじめられたようで、皆バタバタと忙しげに走り回っている。
テントの中には分厚い絨毯が敷かれベッドとテーブルセットが置かれていた。
「ふーん、まあまあね」
肉やソーセージを焼く匂いが漂い食事の準備ができた。
「野営食なの? なんだか思ったより下品だわ」
連れてきた料理人が丹精込めて作った豪華な料理の数々だが、普段公爵邸で食べているものに比べるとどうしても見劣りがする。
「テントだから駄目なのよ。ちゃんとした宿なら少しはマシなんじゃないの?」
「途中町を通りましたがあのようなところに泊まれば平民達が『水が欲しい』と騒ぎ立てるでしょう。それにあのような町ではリリアーナ様に相応しい宿などありませんしな」
退屈な馬車の旅をお菓子で誤魔化しながら5日後、ソーンウォール公爵領に着くと両親と当主が館の前に並んでいた。
「お待ちしておりましたぞ。リリアーナ様」
「出発のセレモニーに参加できなくて残念だったわ」
「とても立派だったと聞いておる」
2つの隊はどちらもトーマック公爵家の娘。片方だけに親が参加するわけにはいかないと内務大臣から言われたウォレスとカサンドラは渋々ソーンウォール公爵領で合流する事にした。
(この旅が終わるまでに内務大臣はクビにしてやる)
盛大な出迎えを受け部屋でくつろぎ、その夜は歓迎のためのパーティーが開かれた。
「リリアーナ様はデビュタント前ですが聖女様ですから問題はありますまい。聖女リリアーナ様の為のパーティーです、どうぞ楽しんで下さい」
新しく仕立てたドレスとリチャードから贈られたアクセサリーを身につけたリリアーナは天使のように輝いていた。
「ダンスはお出来になられますかな?」
「この地で有名な菓子を準備しておりますぞ」
至れり尽くせりのパーティーでは領主の息子デイビッドがエスコートし、リリアーナが年齢を理由に今まで参加できなかった夜の世界を堪能した。
(みんなが私を見てるわ! 水の聖女のこの私を!)
ベッドで遅い朝食をいただいている間に、部屋には花や高価な貢物が届く。デイドレスに着替えたリリアーナはデイビッドと中庭を散策しお茶を楽しんで英気を養う。
「きれいなお庭ね」
「母上が花がお好きで、特にこの中庭は季節事に違う花を植えておられます」
「お母様のお庭なのね」
「いくら水不足と言っても心の憩いは大切ですから」
むせかえるほどの花の香りに包まれて和やかなお茶会が続いていった。
午後、金糸の刺繍に縁取られたローブに着替えたリリアーナは公爵家の馬車に乗り貯水池へと向かった。
盛大な見送りを受けて王都を出発したリリアーナ達の一行。
出発は屋根のないキャリッジの方が見送りの人達が喜ぶと言い張ったリリアーナだったが、あまりの埃っぽさに癇癪を起こし連絡を受けたランブリー団長が慌てて隊列を停めて走ってやってきた。
「埃っぽくて我慢できないの、今すぐなんとかして!!」
「リリアーナ様のご尊顔に出会えて皆喜んでおりましたから⋯⋯関を抜けたらすぐに別の馬車にお移りいただきますので、今しばらくのご辛抱を」
「ふん、そんな事知ってるわよ! その為にわざわざあんな馬車にしてあげたんだもの。でも、こんなに埃まみれになるなんて聞いてないわ!⋯⋯通りに水を撒いておけば大丈夫だって言ってたのに」
「はあ、水不足の解消に向かうのに通りに水を撒くわけにはいかんと内務大臣が申しまして」
「精霊師にやらせればいいじゃない。これから私は偉業を成し遂げる、その私の為にちょっと水を撒くくらいいいじゃない。全くケチ臭いんだから。
リチャード様にお手紙を書くわ、内務大臣をクビにしてって」
関を抜けるまでハンカチで顔を覆い不貞腐れていたリリアーナは関を出てすぐに1回目の休憩の指示をした。
「馬車を乗り換える前に休むわ。お茶とお菓子を準備して」
荷馬車から天幕を出して設置したその下にクロスをかけたテーブルと椅子を並べるとリリアーナが優雅な仕草で腰を下ろした。急いで準備したお茶とお菓子が並べられお茶会がはじまった。
「凄い歓声だったわ」
「この国を救う為に行動を起こされたリリアーナ様への感謝の気持ちでしょうな」
「当然よね。公爵令嬢が国を救うんだもの、きっと物語になってお芝居とかもはじまるわ。お父様やお母様もいらっしゃればよかったのに。私の偉業を直接見ていただきたかったわ」
「ソーンウォール領にはお越しになられるそうです。お忙しくてもリリアーナ様のためには時間を作ると仰っておいででした」
ガタゴトと揺れる馬車の外は枯れた木々と乾ききった大地が広がっていた。
小さな町を通り過ぎてしばらく隊を進め広い空き地に隊列が停まった。夜宿泊するテントを立てて食事の準備がはじめられたようで、皆バタバタと忙しげに走り回っている。
テントの中には分厚い絨毯が敷かれベッドとテーブルセットが置かれていた。
「ふーん、まあまあね」
肉やソーセージを焼く匂いが漂い食事の準備ができた。
「野営食なの? なんだか思ったより下品だわ」
連れてきた料理人が丹精込めて作った豪華な料理の数々だが、普段公爵邸で食べているものに比べるとどうしても見劣りがする。
「テントだから駄目なのよ。ちゃんとした宿なら少しはマシなんじゃないの?」
「途中町を通りましたがあのようなところに泊まれば平民達が『水が欲しい』と騒ぎ立てるでしょう。それにあのような町ではリリアーナ様に相応しい宿などありませんしな」
退屈な馬車の旅をお菓子で誤魔化しながら5日後、ソーンウォール公爵領に着くと両親と当主が館の前に並んでいた。
「お待ちしておりましたぞ。リリアーナ様」
「出発のセレモニーに参加できなくて残念だったわ」
「とても立派だったと聞いておる」
2つの隊はどちらもトーマック公爵家の娘。片方だけに親が参加するわけにはいかないと内務大臣から言われたウォレスとカサンドラは渋々ソーンウォール公爵領で合流する事にした。
(この旅が終わるまでに内務大臣はクビにしてやる)
盛大な出迎えを受け部屋でくつろぎ、その夜は歓迎のためのパーティーが開かれた。
「リリアーナ様はデビュタント前ですが聖女様ですから問題はありますまい。聖女リリアーナ様の為のパーティーです、どうぞ楽しんで下さい」
新しく仕立てたドレスとリチャードから贈られたアクセサリーを身につけたリリアーナは天使のように輝いていた。
「ダンスはお出来になられますかな?」
「この地で有名な菓子を準備しておりますぞ」
至れり尽くせりのパーティーでは領主の息子デイビッドがエスコートし、リリアーナが年齢を理由に今まで参加できなかった夜の世界を堪能した。
(みんなが私を見てるわ! 水の聖女のこの私を!)
ベッドで遅い朝食をいただいている間に、部屋には花や高価な貢物が届く。デイドレスに着替えたリリアーナはデイビッドと中庭を散策しお茶を楽しんで英気を養う。
「きれいなお庭ね」
「母上が花がお好きで、特にこの中庭は季節事に違う花を植えておられます」
「お母様のお庭なのね」
「いくら水不足と言っても心の憩いは大切ですから」
むせかえるほどの花の香りに包まれて和やかなお茶会が続いていった。
午後、金糸の刺繍に縁取られたローブに着替えたリリアーナは公爵家の馬車に乗り貯水池へと向かった。
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