【完結】何度出会ってもやっぱり超絶腹黒聖職者

との

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一回目 (過去)

123.久しぶりの笑顔、ベリントン

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 村を囲う木の柵が見えはじめた時、大きく手を振りながら飛び出してきた少年が元気良く叫んだ。

「せいじょさまー! うおー、せいじょさまだー!!」


 真っ黒に日焼けした少年の後ろから小さな女の子も走ってくる。ナザエル枢機卿が隊を停めると馬車のドアが開いてローザリアが降りてきた。

「ジェイク!」

 ローザリアの手をとって振り回すジェイクは以前王都であった時よりも少し背が伸びていた。

「あいかわらず、ちっちぇーな。おれ、すこしせがのびたんだぜ」

 身長のことを言われると悔しいが8歳のジェイクが15歳のローザリアと同じくらいの目線になっている。

「こいつはおれのいもーとで、サラ」

「せいじょさま、ほんとにきてくれた~」


 飛び跳ねるサラと手を繋いで村に向かうと大勢の村人が並んで待っていた。

「お待ちしておりました。こんな辺鄙な場所にお越しくださり心からお礼申し上げます」

 村長だと名乗ったビルに案内されてローザリア達は村の中に入って行った。

 王都でジェイクと別れてから随分と時間が経ってしまった。待ちくたびれているのではないか、来ないじゃないかと腹を立てているのではないかと不安に思っていたローザリアはみんなの笑顔を見てホッと安心した。


 案内された村長の家でローザリアは開口一番頭を下げて謝った。

「遅くなってしまって申し訳ありません。ジェイクに村のことを聞いてからこんなに時間が経ってしまって」

「とんでもないことでございます。ローザリア様のなされてきた話はこの村にも届いております。多くの町や村を救ってこられたのですから時間がかかるのは当然でございます」

「私のしていることなどお役に立てているかどうかもわかりませんし。でも、できる限りのことはさせて頂きたいと思っております」


 村長の妻アリスが入れてくれたのはうっすらと色がついたお茶。

 味のしないお茶をいただきお礼を言うとアリスがぺこぺこと頭を下げて謝った。

「このようなもので申し訳ありません」

「心遣い感謝致します。あの、早速なんですが村の中を見せていただいて宜しいでしょうか?」

「お疲れでしょう。少し休まれてからでも構いませんが?」


 玄関のドアから覗き見していたジェイクとサラの声が聞こえてきた。

「よし、もうすぐだからな」

「にいちゃん、なにがすぐなの?」 

「そんちよーのはなしって、いつもながいから、しんぱいしてたんだ」

「こおらぁー、ジェイク! 盗み聞きするなと何度言ったらわかるんだ!!」

「やべえ、にげるぞー!」

 村長の怒鳴り声で一目散に逃げ出したジェイクと後を追いかけるサラの後ろ姿が見えた。

「ジェイクは村一番のやんちゃでして」

 困ったような顔で笑う村長の目尻の皺が深くなった。


「そのお陰で色々勉強させて頂きました」

「そう言って頂けると助かります。まさかアレが王都まで行ったとは思わず、いなくなった時はもうダメだと諦めとったですわ」

 ナスタリア神父の言葉に村長がホッとした顔で目を細めた。



 ある日突然着の身着のままで村からいなくなったジェイク。行商人に着いて行ったらしいと分かったがその後どうなったのか分からず諦めきっていた頃に、精霊師に連れられたジェイクが意気揚々と帰って来た。

 元気良く父親に飛びつこうとしたジェイクは思いっきり殴られて吹っ飛んだ。

『こんの、大バカモンが!! どこをほっつき歩いとった!!』

 母親が泣き崩れた。

『ごめんなさい。おれ、どうしてもせいじょさまにあいたくて。おーとにいってきたんだ!』

『はあ? 寝言は寝て言え! ここから王都までどんだけ距離があるか分かってんのか!』

『しんぷさまにいわれた。きせきだって。んで、むちゃしてごめんなさいってあやまれって。おこられるのはいいことだってせーじょさまがいってた。
とーちゃん、かーちゃん、ごめんなさい』

 地面に頭をつけて謝るジェイクを母親が抱きしめた。

『この大バカが⋯どんだけ心配したと』

『ごめん。でも、どうしても水のせーじょさまにおねがいしたかったんだ』



『さっさと家に入れ。サラが心配しとる』

 妹のサラが生きていると知ったジェイクは家に向かって駆け出した。

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