【完結】何度出会ってもやっぱり超絶腹黒聖職者

との

文字の大きさ
139 / 191
一回目 (過去)

138.侯爵の情報と思惑

しおりを挟む
「今聞いた話は俺たちの推測も含め目新しい話題はなかった。その内容で信用しろとか腹を割れと言われても頷けんな」

「⋯⋯うーん、想像以上に手強い。それか、余程の


 食堂が重苦しい空気に包まれた。誰も口を聞かず目も合わせない。



「仕方ない。僕は聞かれたことにも自分から話すことにも嘘も隠し立てもしない。あなた達は正当な理由があると判断した場合は話さなくていい。それでどう?」

「そこまでしても利があるって事か?」

「ある。僕はそう考えて待ってたんだ」


「⋯⋯わかった。その条件を飲もう」

 魔法契約が行われ魔法陣が消えるのを待っていたかのようにダフネル侯爵が話しはじめた。

「各地で討伐された魔獣だけでは足りなくて他国からも魔獣を輸入していたんだけど特定の魔石だけが一時期異常に高値で取引されてたのに気付いたんだ。
他の魔石に比べたら産出量は少ないけど利用価値も少ないのにね」

「闇の魔石ですか?」

「即答とは流石だね。知ってると思うけど闇の魔法はイメージが悪すぎる上に使い方が難しい。悪用するには高度な知識と技術が必要だし、とても役立つのに真面な運用方法を研究しようと考える人はあまりいない。
でも、一つとても簡単な活用法がある事に気付いたんだ」

「⋯⋯」

「ある一定量を超えて保管するだけで闇の魔法を発動できる」

「ダークジェイル⋯⋯闇を操り敵を捕まえる牢獄を作る魔法です」

「ウスベルの湖であなた達が見たものだ」

「何故知ってる? あれは見つけた後に粉々に砕いた。あの現場は誰も見ていないはずだぞ」

 グレイソンは魔法契約で縛られているし、ここにいるメンバーが話すはずはない。


「調べたら闇の魔石を買っていたのはアーバインの闇ギルドだった。で、それを指示していたのが先代のノールケルト子爵。鉱山が廃坑になって貧乏だったはずの子爵が割高の魔石を集めまくってたなんて胡散臭いだろ?
興味本位で色々調べてみたら魔石の値段が元に戻った後、子爵がウスベルに調査隊を送ってた。
で、ウスベルの湖に運ばれたのではないかと予想したんだ。闇の魔石を壊せたなら浄化できたってことだよね。良かった」


「その調査書をもらう事はできるか?」

「勿論。これを解決できるのはあなた達しかいないからね。ナザエル枢機卿とナスタリア神父にしか任せられないと思ってる。それとローザリア様⋯⋯僕の計算だと教会の精霊師では浄化しきれてないはずなんだ。だから、ローザリア様が浄化の力を持ってると考えてるんだけど答えなくていいよ、僕の勝手な想像だから」

「魔石を愛する僕としては同じことが起こらないようにしたいんだ。その為に情報を伝えておきたかった」

「ノールケルト子爵のバックに誰がいるか知ってるのか?」

「いくら考えてもわからないんだ。それだけの資金を持っている人とノールケルト子爵がどこで繋がったのか調べても出てこない」


 ウスベルの鉱山は一時期ごく少量のエメラルドを産出した事があった。品質は低レベルで量も少なく話題になる事はなかったが、ひとつだけ最高品質のエメラルドが見つかった。

 それを足がかりに王都での地位を得ようとしたノールケルト子爵が当時既に宝石狂いで有名だった王弟妃に秘密裏に献上した。

 この情報を知っているものはごく僅かで、ナザエル枢機卿やナスタリア神父でさえも教会に問い合わせて初めて知ったほど。


「命が惜しければ調べるのはやめろ。大切な領民や領地だけでは済まんぞ」

「やっぱりそれほどの権力者か⋯⋯王家絡みじゃないかとは睨んでるんだ。だからリリアーナ隊ではなくローザリア部隊に来てくれるように頼んだんだ」

「何故王家絡みだと思う?」

「勘⋯⋯僕の勘は結構当たるんだ。それに王家は横暴で胡散臭い奴ばかりだしね。
公には魔道具の輸入を制限している癖に内緒で買ってるし、貴族には目溢ししまくってるだろ? この間トーマック公爵家が手に入れた魔道具なんて最悪だよ。リリアーナ様に同行している支援部隊が王都に帰り着くまでに精霊師が何人使い物にならなくなるか、想像しただけで怖気が走る」



 黙って話を聞いていたローザリアがダフネル侯爵の言葉に驚いた。

「リリアーナは何をやったんですか?」

しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました

日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。 だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。 もしかして、婚約破棄⁉

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

二周目聖女は恋愛小説家! ~探されてますが、前世で断罪されたのでもう名乗り出ません~

今川幸乃
恋愛
下級貴族令嬢のイリスは聖女として国のために祈りを捧げていたが、陰謀により婚約者でもあった王子アレクセイに偽聖女であると断罪されて死んだ。 こんなことなら聖女に名乗り出なければ良かった、と思ったイリスは突如、聖女に名乗り出る直前に巻き戻ってしまう。 「絶対に名乗り出ない」と思うイリスは部屋に籠り、怪しまれないよう恋愛小説を書いているという嘘をついてしまう。 が、嘘をごまかすために仕方なく書き始めた恋愛小説はなぜかどんどん人気になっていく。 「恥ずかしいからむしろ誰にも読まれないで欲しいんだけど……」 一方そのころ、本物の聖女が現れないため王子アレクセイらは必死で聖女を探していた。 ※序盤の断罪以外はギャグ寄り。だいぶ前に書いたもののリメイク版です

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

処理中です...