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ループ
157.マッケンジー神父の葛藤と怒り
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「⋯⋯お嬢様がお二人とも王弟殿下に見染められたのでございます。王弟殿下は長年、特に水の加護に執着しておられるようでして」
「国法では王弟殿下には側室は認められていないはずだが?」
「はい、公の立場はございません。もし、水の加護持ちのお子が生まれれば王弟妃にすると言っておられるそうでして。
同じような方は他にもおられると聞きます」
一瞬不快そうな苦々しげな顔をしたマッケンジー神父は王弟殿下のご乱行が許せないのだろう。
「お嬢様方と言うことは姉と妹の二人とも愛人にして子を産ませようとしてる?」
「はい、その通りでございます」
ニコシア侯爵令嬢達は男爵家出身の王弟妃など取るに足らぬ、水の加護持ちを産んで王弟妃になるのだと社交界でも豪語していたらしい。
「最低だな。ニコシア侯爵家はそんな事をよく許しておられるな」
ナザエル神父が『娘も娘なら許す親も信じられん』と怒りに震えている。
「ご令嬢が王弟妃になる為ならと」
「それでまあ、王弟妃の勘気を被ったのではないかと言われております。
社交界では有名な話でございますが⋯⋯王弟妃に不快に思われると不幸が訪れるなどと言う噂がございまして。
運悪く天候不順と丁度タイミングが合ってしまったものですからもしかしたらと」
マッケンジー神父は単なる噂だと言ったが、王弟妃の望みをジンが叶えているのだとローザリア達全員が確信した。
「領民は精霊が真面に働かないせいで不作だと教会に苦情を言います。
ご領主様はお嬢様方のお産みになったお子が一人も水の加護を持たないのはどう言う事だと教会に詰め寄ってこられ、ここにおりました助祭達は耐えきれなくなってわたくしだけになってしまった次第です」
「何人産まれた?」
「はい?」
「領主の娘が全部で産んだ子は何人だ?」
「わたくしの知る限りでは7人。双子が一組おられたようです」
「その子らは今どうしている? 加護のあるなしはどうやって調べた?」
「王弟殿下の不義によって産まれたお子達は皆、王弟妃様が養子先を見つけておられるそうです。加護はやはり王弟妃様の知り合いの神官が7歳を待たず調べているらしいと」
「マッケンジー神父はおかしいとは思わんのか? 子に加護があったら捨てられると知っているのに、自分の夫の不義の子の世話をやく妻? 教会の戒律を破り7歳より前に加護を調べる神官?」
「どちらも噂でしかなく⋯⋯ご領主様に何度も申し入れを致しましたが聞き入れてくださらんのです」
マッケンジー神父は懐妊の噂が出るたびに領主に面会を申し入れ、出産の噂を聞いては問合せに向かっている。
「最初に一人目のお嬢様がご懐妊されたとお聞きして6年になります。それ以来同じことを繰り返して参りました」
長櫃の子供達はウスベルよりもかなり小さかった。7歳を待たず加護を調べ加護のない子は不要だと手にかけていくのだろう。
(なんて酷い⋯⋯王弟が多くの女性を愛人にしてるのなら、そんな扱いをされてる子供が他にもいるんだ! 王家の人みんながやってるんだとしたら一体どれほどの被害者がいるのか⋯)
「王家が精霊に見放されたのは当然だわ」
「だね、国王は後宮を持ってる。一体どれだけの被害者がいるのか想像もつかないよ」
「絶対許さない⋯⋯あんなこと、酷すぎる」
前世で子供に意識を乗っ取られた時のことを思い出した。
寂しい・悲しい・寒い⋯⋯子供達は皆震えていた。怖いのに逃げられなくて、どこにも行けなくて。
(こんな思いをしてる子供達を放っておけないし、これ以上増やさせない! 王家もジンも纏めてぶっ潰す!!)
マッケンジー神父から教会の墓地の場所を聞き、子供達を埋葬した。詳細を話す事はできないが神父は気付いたのだろう。
「酷い話です。加護があろうがなかろうが子は宝です。産まれてきてくれた事を感謝し祝福すべきなのに⋯⋯この国が精霊に見放されつつあるのは当然の流れですね」
両膝をつき祈りを捧げるマッケンジー神父の目から一筋の涙が流れた。
「叶うならば精霊の慈悲により、この哀れな子供達に安らかな眠りを」
「急いで石碑を見つけるわ!」
「国法では王弟殿下には側室は認められていないはずだが?」
「はい、公の立場はございません。もし、水の加護持ちのお子が生まれれば王弟妃にすると言っておられるそうでして。
同じような方は他にもおられると聞きます」
一瞬不快そうな苦々しげな顔をしたマッケンジー神父は王弟殿下のご乱行が許せないのだろう。
「お嬢様方と言うことは姉と妹の二人とも愛人にして子を産ませようとしてる?」
「はい、その通りでございます」
ニコシア侯爵令嬢達は男爵家出身の王弟妃など取るに足らぬ、水の加護持ちを産んで王弟妃になるのだと社交界でも豪語していたらしい。
「最低だな。ニコシア侯爵家はそんな事をよく許しておられるな」
ナザエル神父が『娘も娘なら許す親も信じられん』と怒りに震えている。
「ご令嬢が王弟妃になる為ならと」
「それでまあ、王弟妃の勘気を被ったのではないかと言われております。
社交界では有名な話でございますが⋯⋯王弟妃に不快に思われると不幸が訪れるなどと言う噂がございまして。
運悪く天候不順と丁度タイミングが合ってしまったものですからもしかしたらと」
マッケンジー神父は単なる噂だと言ったが、王弟妃の望みをジンが叶えているのだとローザリア達全員が確信した。
「領民は精霊が真面に働かないせいで不作だと教会に苦情を言います。
ご領主様はお嬢様方のお産みになったお子が一人も水の加護を持たないのはどう言う事だと教会に詰め寄ってこられ、ここにおりました助祭達は耐えきれなくなってわたくしだけになってしまった次第です」
「何人産まれた?」
「はい?」
「領主の娘が全部で産んだ子は何人だ?」
「わたくしの知る限りでは7人。双子が一組おられたようです」
「その子らは今どうしている? 加護のあるなしはどうやって調べた?」
「王弟殿下の不義によって産まれたお子達は皆、王弟妃様が養子先を見つけておられるそうです。加護はやはり王弟妃様の知り合いの神官が7歳を待たず調べているらしいと」
「マッケンジー神父はおかしいとは思わんのか? 子に加護があったら捨てられると知っているのに、自分の夫の不義の子の世話をやく妻? 教会の戒律を破り7歳より前に加護を調べる神官?」
「どちらも噂でしかなく⋯⋯ご領主様に何度も申し入れを致しましたが聞き入れてくださらんのです」
マッケンジー神父は懐妊の噂が出るたびに領主に面会を申し入れ、出産の噂を聞いては問合せに向かっている。
「最初に一人目のお嬢様がご懐妊されたとお聞きして6年になります。それ以来同じことを繰り返して参りました」
長櫃の子供達はウスベルよりもかなり小さかった。7歳を待たず加護を調べ加護のない子は不要だと手にかけていくのだろう。
(なんて酷い⋯⋯王弟が多くの女性を愛人にしてるのなら、そんな扱いをされてる子供が他にもいるんだ! 王家の人みんながやってるんだとしたら一体どれほどの被害者がいるのか⋯)
「王家が精霊に見放されたのは当然だわ」
「だね、国王は後宮を持ってる。一体どれだけの被害者がいるのか想像もつかないよ」
「絶対許さない⋯⋯あんなこと、酷すぎる」
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両膝をつき祈りを捧げるマッケンジー神父の目から一筋の涙が流れた。
「叶うならば精霊の慈悲により、この哀れな子供達に安らかな眠りを」
「急いで石碑を見つけるわ!」
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