幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~

ninjin

文字の大きさ
40 / 107
ルシス暴走編

第40話 ハーメルン司祭

しおりを挟む
 私の心はワクワクのドキドキだ。やっと念願の異世界ファンタジーのイベントを成功させることができるのだ。私は悪者から王女の誘拐を阻止して、王家と親密になるチャンスをゲットするのだ。私は王女を救った自分の勇士を想像して、にやけ顔を見せつけながらキューカンバへ到着した。


 「およよ~。とっても平和に見えるのです」


 私は天空神12使徒とキューカンバの兵士たちが激闘を繰り広げている光景を思い描いていたが、そのような光景は微塵もなかった。


 「私は早く来過ぎたのです」


 私の飛行スピードが速すぎた為に、天空神12使徒よりも早くキューカンバへ到着したようだ。


 「すみませんなのです」
 「お嬢さん、どうしたのでしょうか」


 私はキューカンバの大きな門を守る門兵に声をかけた。


 「え~と。え~と。天空神教が襲って来るかもしれないのです」


 遠回しに説明しようと試みたが語彙力が乏しくてありのままを伝える。


 「ご忠告ありがとうございます。でも心配はいりません。本当の神様が神を名乗る不届き者を成敗してくれたのです」


 門兵は満面の笑みで答える。


 「……それは本当なのですか」


 門兵の笑顔とは逆に私の顔は凍り付く。


 「本当ですよ。だからそんなに怯えた表情をしなくても大丈夫です」
 「そ……そうなのですか」


 私はショックで目の前が真っ暗になり千鳥足でキューカンバから離れて行った。


 「お嬢さ~ん。どこへ行くのですかぁ~」


 門兵の声は私に届かない。



 ※時は少し遡ります。


 ローガンは無我夢中で馬を走らせて、日が暮れる頃にはパースリへ到着した。


 「ここは神が治める町パースリです。神の証をお持ちでしょうか」


 パースリは天空神教の信者しか住むことは許されない。天空神教の信者は金色の雷の形をしたペンダントを身に着けている。この雷のペンダントのことを神の証と呼ぶ。しかし、信者しか町へ入ることができないというわけではなく、寄付金を支払えば、町の入り口付近にある宿屋などの利用は可能である。


 「ほら!これを見ろ」


 ローガンは雷のペンダントを見せる。


 「どうぞ、お入りください」
 「俺は次期キャベッジの町長のローガン様だ。ルークは何処にいる」

 「ルーク?聞いたことのないお名前になります。私は全ての信徒のお名前を把握しているわけではありませんので、天空神大教会にて確認することをお勧めします」
 「それはどこにあるのだ」

 「町へ入ればすぐにお分かりになると思います」
 「……」


 ローガンは返事もせずにぶっきらぼうな顔をして町の中へ入る。

 パースリの中心部には、東京ドームの3倍ほどの真っ白な円形の建物があり、その円形の建物の天井には、大きな金色の雷型のオブジェが突き刺さるような形で設置されている。この円形の建物が天空神大教会であった。天空神大教会へ入る真っ白な扉には金色の雷が無数に描かれている。そして、扉の前には巨漢の男が立っていた。


 「俺は次期キャベッジの町長のローガン様だ。ルークという男がこの町いるはずだ。すぐに俺の元へ連れ来い」
 「……」


 巨漢の男は無言でローガンを見る。


 「聞こえないのか!俺は次期キャベッジの町長のローガン様だぞ」
 「教会建設に反対している異教徒の町だな。異教徒がどうしてこの場所に居るのだ」


 巨漢の男は鬼の形相でローガンを睨む。ローガンは背筋が凍るほどの恐怖を感じて涙目になる。


 「ちょっと待て、俺は天空神教の信徒だ。ここに……ここに……」


 ローガンは胸元にしまっている雷のペンダントを取ろうとするが、手が震えてなかなか取り出すことができない。


 「黙れ!異教徒が」


 巨漢の男は丸太のような太い腕でローガンの首を掴んで持ち上げた。


 「あぁぁ~」


 ローガンは悲鳴をあげる。


 「異教徒には天罰が必要だな」


 巨漢の男はローガンをいたぶるように少しずつ力を加える。ローガンは首を絞められて息ができなくなり顔はみるみる青くなる。


 「シンク、手を放してやれ」
 「わかりました」


 シンクが手を離すとローガンは地面に落下した。


 「これは、これは、ハーメルン司祭様。何か御用があるのでしょうか」
 

 シンクは大きな体を曲げて跪く。

 
 「ちょっとな」


 ハーメルン司祭はシンクの問いに濁すように答えた後でローガンを見る。


 「お前はここへ何しに来たのだ」
 「ガハッ、ガハッ」


 ローガンはすぐには声を出すことができない。しかし、ハーメルンの姿を見てローガンは驚きを隠せない。


 「お……お前……なんでそんな恰好をしているのだ」


 ハーメルンの正体は誰なのか次話にて明らかになるのです。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

処理中です...