幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~

ninjin

文字の大きさ
59 / 107
修業編

第59話 越えられない試練は与えない

しおりを挟む
 黒の迷宮ブラックラビリンスは私が作ったフルダイブ型ゲームだ。ゲームなので死ぬことはない。しかし、ゲームをするだけで強くなるほど世の中は甘くない。ゲームで得た感覚を自分の体へと変換するには、それなりのリスクが発生するのは当然だ。ゲームで受けた攻撃は本体を損傷することはないが痛みは感じる。ゲームで死んでも本体は死ぬことはないが、苦痛と恐怖を実感することになる。現実世界で死んでしまえば、死ぬときに感じた痛みも恐怖を全て忘れて無に帰るだろう。だから死の痛みや死の恐怖を感じることなく無に帰る。だが、ゲームでは死の苦痛と恐怖を体験をすることで精神的に強くなることもできるが、精神が崩壊して廃人になる危険もある。私が用意した黒の迷宮ブラックラビリンスは諸刃の剣ともいえる。私はこのことを十分に説明してから、ログインするかは本人たちに確認をした。


 「強くなるためなら何でもやるで」
 「私もよ」


 2人は希望に満ちた目で了承する。私にはポロンをダイエットさせる役目も残っていたので、2人に激励の言葉をかけると、タップシューズに履き替えて軽快に床を踏みタップダンスをして、お菓子の国スイーツアイランドへ戻った。


 「ロキ、行くか」
 「そうね。もう、後戻りはできないわね」
 

 2人はベットで横になりログインのボタンを押した。


 「さっきと同じ場所やんけ」


 2人がログインすると黒い海に囲まれた小さな孤島へワープした。孤島には草木などの植物は一切生えずに、一面は赤い土で覆われていた。そして、孤島の中心には、2人を出迎えるように、暗い闇へ誘う地下へと通じる階段が待ち受けていた。


 「そうね。でもこちらが本当の入り口ってことね」
 「そやな。ほんまルシスはすごいわ。まったく体に違和感ないわ」


 2人は自分の体に何も違和感を感じない。


 「さっきとは違って不気味な雰囲気を感じるわね」


 階段の奥からは体がガクガクと震えるほどの不気味なオーラを感じる。


 「とんでもないバケモンがいるのは確定やな。ロキ、俺が先に行くわ」


 トールはガクガクと震える体を抑え付けて階段を下る。暗闇が支配する迷宮は、トールが足を踏み入れた瞬間に側面へ設置されていた髑髏の目に炎が灯って視界を広げてくれた。トールは階段の形状を足の裏で確かめるように、慎重に一歩一歩階段を下って行く。そして、その後を追うようにロキも階段を下る。50段ほど階段を下ると大きな鉄の扉へ辿り着く。扉には3つの顔を持つ髑髏の絵が刻まれていた。


 「ロキ、扉にボタンが付いてるで」
 「そうね。ボタンを押すと扉が開くのね」

 「ポチっとな」
 


 トールはボタンを押した。


 『ガガガガガガガガ、ガガガガガガガ、ガガガガガガガ』


 扉は地鳴り音を立てながらゆっくりと開く。


 「ロキ、避けろ」


 トールは叫びながら地面に這いつくばった。


 「嘘やろ……」


 トールが後ろを振り向くと首のないロキの姿があった。そして、首を失ったロキの体はありえない方向に体を曲げながら不気味なダンスを踊るように地面をのたうちまわり始めた。


 「ぐあぁ~~~~」


 トールの断末魔が轟く。


 『グサ、グサ、グサ』


 トールがロキのほうによそ見をした瞬間に、背中に白色のカマが振り落とされてトールの背中に突き刺さる。白色のカマは無情に何度も振りあげられては振り落とされる。ここは死にゲーの世界。一瞬の油断は死に直結する。ロキは何もできずに首を落とされて、トールは抵抗する暇もなくカマを何度も振り落とされて、体に突き刺さるカマの激痛を幾度もあじわいながら死んでしまった。
 死ぬことのないこのゲームの世界では、ゲームの中で死亡認定が下されるのは少し遅い。すぐに死亡認定が下されると苦痛を味わうことなくリスタートできてしまう。それを防ぐために死亡認定されるのは少し遅めに設定している。


 「……ロキ、だ……大丈夫か」
 「……」


 ロキは体をくの字に曲げて首を抑えながら打ち震えていた。一方トールは全身から滝のように汗を流しながら顔を真っ青にしている。


 「怖い。ホンマ怖い……」


 トールは素直に死の恐怖を認めてすぐには次のログインができない。


 「……」


 ロキはまだ恐怖に飲まれて声をだせずにもだえ苦しんでいる。


 「クソ!クソ!クソ」


 トールは大声を出して虚勢を張って、次の挑戦へ挑もうと自分を鼓舞する。


 「ト……トール、お……落ち着き……ましょう」


 ロキは死んだ魚のような目でトールをなだめる。


 「そ……そやな」


 トールは恐怖に飲み込まれていながらも自分への気遣いをわすれないロキの姿を見て落ち着きを取り戻しつつある。


 「あんな化け物どうやったら倒せるねん。しかも、まだスタート地点やで」
 「……そうね。私たちはルシスちゃんが用意してくれた試練を舐め過ぎていたようね」


 私は2人に忠告をしていた。黒の迷宮ブラックラビリンスに出現するゴーレムはBランク以上の力を有していると。2人のランクはDランクである。私が魔石を2色にして知識を与えて魔力操作の方法を教えた。それによってCランク相当の力はつけたと判断している。しかし、CランクとBランクでは天と地の差があると言っても過言ではない。
 破壊者デストロイヤーは、いかに努力を重ねてもDランクが限界だと言われている。Cランクの力を手にした2人は才能にも恵まれていると断言しても良いだろう。しかし、CランクからBランク、そしてAランクに上がるのは才能だけではダメだ。判断力や応用力、知識力など様々な要素を学ばないと上には登れない。たまには才能を越えた天才や生まれ持ったチート級の力がある者はその枠にとらわれることはないだろう。そう私のような魔王の子供というチート生物は枠外だ。


 ロキお姉ちゃん、トール親分、私は乗り越えられない試練など与えないのです。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...