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第114話 禁書庫
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「ローゼ、私、気になることがあるのよ」
この世界はゲームの世界だ。必ずゴールへたどり着く道は用意されている。私が見た夢はヒントだと捉えると良いだろう。
「何か閃いたのですね」
ローゼは期待に満ちた表情をする。
「こっちよローゼ」
私はプリュトンにもらった魔法灯を灯してあの場所へ向かった。
「ここが気になるの」
そこは夢で老婆のローゼが座っていた場所である。私は魔法灯を近づけて壁の埃を吹き飛ばして隈なく調べる。
「あったわ」
私は小さな赤いボタンを見つけた。
「ローゼ、こんなところにボタンがあるわ」
「さすがリーリエさんです」
ローゼは羨望の眼差しで私を見る。もしかしたらこのボタンは罠かもしれないが、私は罠ではないと確信して迷わずにボタンを押した。
『ガガガガガガガガガ、ガガガガガガガガガ』
地鳴りの音が響き渡ると壁が崩れて螺旋階段が現れた。
「ローゼ、上るわよ」
「はい」
私とローゼは迷わずに螺旋階段を登ると、真っ白な壁に囲まれた小部屋へ辿り着く。そして、真っ白な壁には先ほどと同じように真っ赤なボタンがある。
「ローゼ、押すわね」
「はい」
迷う必要などない。必ずこのボタンを押すとあそこへ辿り着くはずだ。私は確信を持ってボタンを押す。すると壁がシャッターのように上にスライドして本棚が現れた。
「もしかしてここは禁書庫へ繋がっているのかしら」
ゲームであれば、隠し扉の行き先は目的地と相場が決まっている。
「そのようですね。ここは本棚の裏側でしょう」
本棚の本を見ると本の見開き部分がこちら側を向いているので本のタイトルは見えない。
「本を取って向こう側を確認しましょう」
「はい」
私とローゼは本棚の本を取り覗いて本棚の隙間を見る。すると本棚の先は真っ暗だった。私は魔法灯を近づけて中の様子を見る。
「間違いないわ」
私は禁書庫へ入ったことはないが、たくさんの本が並べられているので禁書庫だと断定した。
「ローゼ、中へ入りましょう」
私とローゼは本棚の隙間から奥へと入る。するとそこは高さ20mの本棚に囲まれた大きな部屋だった。おそらく万を超える本があるのだろう。
「ここは禁書庫に間違いないわ」
「そうですね。でも、こんなにもたくさんある本の中でお目当ての本を見つけ出すのは難しいです」
ローゼの言う通りだ。検索機でもない限り見つけ出すには数時間、いや数日はかかると思われる。
「試してみるしかないわ」
私は小声で呟いて魔法灯の灯を消して真っ暗にした。そして暗闇となった禁書庫を見渡す。すると、1冊だけ微かに光る本を見つけた。
「これよ」
私は再び魔法灯をつけて、近くに置いてあった梯子を使ってその本を取り出した。
「リーリエさん、本を見つけたのですか?」
「……」
私は沈黙で返答した。
「リーリエさん、元気を出してください」
「……究極魔法時間跳躍の本」
私は生気のない声で本のタイトルを読み上げた。
「リーリエさん、ちょっとその本を読ませていただいてよろしいでしょうか」
「好きにして」
膨大な数の本で埋め尽くされた書庫の中から、ロベリアを正気に戻す光魔法について書かれた本を探すのは不可能だ。先ほどまでの希望に満ちた私の姿は消え去ってしまった。一方ローゼの希望の灯は消えていない。私が見つけた本をじっくりと目を通す。
「リーリエさん、これよ。私が探していた本はこれなのよ」
老婆のようなしわがれた声が私の耳に届く。私は思わずローゼの方へ顔を向けた。そこには夢で見た老婆のローゼがいた。
「え!どうしてあなたがここに居るの。あれは夢ではなかったの」
老婆のローゼは私の問いには答えずに話を続ける。
「私も禁書庫を探すために王城へ侵入したのよ。しかし、禁書庫へは辿り着けずに地下牢へ監禁されたわ。まさか自分が座っていた背後の壁に隠し通路のボタンがあるなんて夢にも思わなかったわ」
老婆のローゼはしわしわの顔をさらにしわしわにして喜んでいた。
「ローゼさん、その本に書いてある魔法で何をしたいの」
「リーリエさん、あなたはこの本に書かれている魔法の凄さがわからないのでしょうか」
「私はロベリアさんを正気に戻す魔法が知りたかったのです。それ以外の魔法では私の運命を変えることはできません」
「あなたはロベリアさんを正気に戻してどうしたいのでしょうか」
「グリレ王妃とザータン宰相の悪だくみを公にするのです」
「老婆の姿となったロベリアさんの話を国王陛下は信じてくれるのでしょうか?」
「でも……ゲームではロベリア……」
私はゲームの内容を思い出す。ロベリアは倒された後に闇の魔法から解放されて元の姿に戻る。
「ゲームではロベリアさんが元の姿に戻ったから国王陛下はロベリアだと気づいたのです」
老婆のローゼの言いたいことを理解した。ロベリアを正気に戻したところでロベリアの話を信じてもらえなければ意味はないのだ。それに闇の魔法を失ったのになぜロベリアは元の姿に戻っていないのだろうか?私は新たな疑問にぶつかった。
この世界はゲームの世界だ。必ずゴールへたどり着く道は用意されている。私が見た夢はヒントだと捉えると良いだろう。
「何か閃いたのですね」
ローゼは期待に満ちた表情をする。
「こっちよローゼ」
私はプリュトンにもらった魔法灯を灯してあの場所へ向かった。
「ここが気になるの」
そこは夢で老婆のローゼが座っていた場所である。私は魔法灯を近づけて壁の埃を吹き飛ばして隈なく調べる。
「あったわ」
私は小さな赤いボタンを見つけた。
「ローゼ、こんなところにボタンがあるわ」
「さすがリーリエさんです」
ローゼは羨望の眼差しで私を見る。もしかしたらこのボタンは罠かもしれないが、私は罠ではないと確信して迷わずにボタンを押した。
『ガガガガガガガガガ、ガガガガガガガガガ』
地鳴りの音が響き渡ると壁が崩れて螺旋階段が現れた。
「ローゼ、上るわよ」
「はい」
私とローゼは迷わずに螺旋階段を登ると、真っ白な壁に囲まれた小部屋へ辿り着く。そして、真っ白な壁には先ほどと同じように真っ赤なボタンがある。
「ローゼ、押すわね」
「はい」
迷う必要などない。必ずこのボタンを押すとあそこへ辿り着くはずだ。私は確信を持ってボタンを押す。すると壁がシャッターのように上にスライドして本棚が現れた。
「もしかしてここは禁書庫へ繋がっているのかしら」
ゲームであれば、隠し扉の行き先は目的地と相場が決まっている。
「そのようですね。ここは本棚の裏側でしょう」
本棚の本を見ると本の見開き部分がこちら側を向いているので本のタイトルは見えない。
「本を取って向こう側を確認しましょう」
「はい」
私とローゼは本棚の本を取り覗いて本棚の隙間を見る。すると本棚の先は真っ暗だった。私は魔法灯を近づけて中の様子を見る。
「間違いないわ」
私は禁書庫へ入ったことはないが、たくさんの本が並べられているので禁書庫だと断定した。
「ローゼ、中へ入りましょう」
私とローゼは本棚の隙間から奥へと入る。するとそこは高さ20mの本棚に囲まれた大きな部屋だった。おそらく万を超える本があるのだろう。
「ここは禁書庫に間違いないわ」
「そうですね。でも、こんなにもたくさんある本の中でお目当ての本を見つけ出すのは難しいです」
ローゼの言う通りだ。検索機でもない限り見つけ出すには数時間、いや数日はかかると思われる。
「試してみるしかないわ」
私は小声で呟いて魔法灯の灯を消して真っ暗にした。そして暗闇となった禁書庫を見渡す。すると、1冊だけ微かに光る本を見つけた。
「これよ」
私は再び魔法灯をつけて、近くに置いてあった梯子を使ってその本を取り出した。
「リーリエさん、本を見つけたのですか?」
「……」
私は沈黙で返答した。
「リーリエさん、元気を出してください」
「……究極魔法時間跳躍の本」
私は生気のない声で本のタイトルを読み上げた。
「リーリエさん、ちょっとその本を読ませていただいてよろしいでしょうか」
「好きにして」
膨大な数の本で埋め尽くされた書庫の中から、ロベリアを正気に戻す光魔法について書かれた本を探すのは不可能だ。先ほどまでの希望に満ちた私の姿は消え去ってしまった。一方ローゼの希望の灯は消えていない。私が見つけた本をじっくりと目を通す。
「リーリエさん、これよ。私が探していた本はこれなのよ」
老婆のようなしわがれた声が私の耳に届く。私は思わずローゼの方へ顔を向けた。そこには夢で見た老婆のローゼがいた。
「え!どうしてあなたがここに居るの。あれは夢ではなかったの」
老婆のローゼは私の問いには答えずに話を続ける。
「私も禁書庫を探すために王城へ侵入したのよ。しかし、禁書庫へは辿り着けずに地下牢へ監禁されたわ。まさか自分が座っていた背後の壁に隠し通路のボタンがあるなんて夢にも思わなかったわ」
老婆のローゼはしわしわの顔をさらにしわしわにして喜んでいた。
「ローゼさん、その本に書いてある魔法で何をしたいの」
「リーリエさん、あなたはこの本に書かれている魔法の凄さがわからないのでしょうか」
「私はロベリアさんを正気に戻す魔法が知りたかったのです。それ以外の魔法では私の運命を変えることはできません」
「あなたはロベリアさんを正気に戻してどうしたいのでしょうか」
「グリレ王妃とザータン宰相の悪だくみを公にするのです」
「老婆の姿となったロベリアさんの話を国王陛下は信じてくれるのでしょうか?」
「でも……ゲームではロベリア……」
私はゲームの内容を思い出す。ロベリアは倒された後に闇の魔法から解放されて元の姿に戻る。
「ゲームではロベリアさんが元の姿に戻ったから国王陛下はロベリアだと気づいたのです」
老婆のローゼの言いたいことを理解した。ロベリアを正気に戻したところでロベリアの話を信じてもらえなければ意味はないのだ。それに闇の魔法を失ったのになぜロベリアは元の姿に戻っていないのだろうか?私は新たな疑問にぶつかった。
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