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孤児院にて
しおりを挟む地下室から、子供達が出て行くと、私は、中央に置かれてる魔石を見つけた。
「この魔石が、結界を張っていたみたいですね」
「これが、結界の魔石なのか。これのおかげで、あの子達は助かったのね。でも、なぜ子供達しかいないのかな?」
「子供達だけでも、助けようとしたんじゃないか?ここは孤児院だし。」
「そうかもしれないね。でも子供達は助かったが、これからあの子達は、どうなるのかしら」
「それはわからないが、あとは領主様が考えるだろ」
この町の今後は、私たちは、どうする事もできない、トールさんの言う通り、あとは領主様が、なんとかしてくれるだろう。
私達が、地下室から出ると、1人の女の子が、話しかけてきた。
「冒険者様が、町のゴブリンを、全て退治してくれたのですか?」
「そうだよ、だからもう大丈夫よ」
「町は、どうなったのですか」
子供達は、地下室からは出てきたが、外を見に行く者は、誰もいない。
「残念ながら、この孤児院に、避難していた人以外の生存者はいないだよ。結界の魔石のおかげで、この孤児院へは、ゴブリンが襲いにこなかったみたいだね」
「結界の魔石?」
「地下室にあった魔石だよ」
「あれは結界の魔石だったんですか」
子供達は、結界の魔石とは、知らなかったみたいだ。たぶん子供達を守るために、院長が置いたのであろう。
「私たちは、これからどうなるのですか?」
「キャベッジの町長に報告して、なんとかしてもらうから、安心してね」
「ありがとうございます。」
お礼をいうと、女の子は、みんなのもとへ、戻っていった。
あの女の子が、この子供達の、リーダーみたいだ。みんなのもとへ行くと、他の子供達に、もう大丈夫だと、説明しているみたいである。
「急いで、キャベッジの町へ戻りましょう」
「そうだな」
私達は、町の外に置いていた、馬車に乗り込んで、急いでキャベッジの町へ向かった。
キャベッジの町へ着くと、カミラ男爵の屋敷に向かった。
屋敷に着くとすぐに、カミラ男爵は、大広間に案内してくれた。
「それで、町の状態は、どうでしたか」
「ゴブリンが500体に、ジャイアントゴブリンが5体。それをまとめるリーダーの、ゴブリンキングが1体いました」
「そんなにたくさんいるのね・・・しかも、ゴブリンキングまでいるのですか」
「町の生存者は20名です。それ以外の住民は、見あたりませんでした」
「ほぼ、壊滅状態ですね」
「はい、そうです」
「それで、生存者の者は、全て子供達なので、早く大人たちが、手助けをしてあげないと、いけません。」
「そうですか。でもまだ討伐隊は、来ていないので、残念ながら、何もしてあげられないわ」
「ロキお姉ちゃん。肝心なこと言ってないですよ。ゴブリンキングの討伐のことを」
「えっ。今何と言ったのですか?ゴブリンキングを討伐したのですか?」
「申し訳ありません。肝心な事を言っておりませんでした。討伐は完了しました。もう町は安全です」
「たしか、視察の依頼だったはずでは・・・」
「はい。そうです。しかし生存者がいる事が、わかりましたので、討伐する事にしました」
「それは助かりました。それなら、私の町から数名を、パースリの町へ支援を出します」
「はい。ありがとございます。あと食料もお願いします」
「わかりました。こちらでなんとかします。しかし詳しい支援は、領主様に、報告してからになると思うわ」
「はい。わかりました」
「討伐隊が、パースリの町へ向かうはずなので、急いで、トメイトの村にも、報告しないといけないわ。それに、バードクの町の、冒険者ギルドにも報告しないとね」
領主様の町から、パースリの町に行くには、まず、バードクの町へ行き、そして、トメイトの村へ、そしてパースリの町へ向かうのが、最短のルートらしい。
「討伐後で、申し訳ないんだけど、バードクの冒険者ギルドへ、報告を頼まれてくれないかしら」
トールさんが、あきらかに、嫌な顔をしている。
「今、討伐を終えたばかりです。準備の時間をもらってから、バードクの町へ向かったとしても、着くのは、明日になります」
この世界では、夜中に外に出歩くのは、とても危険である。夜中になると、活発的に動き出す魔獣がいるからである。
安全なところで、夜営をして、夜中はあまり動かない方が得策なのであり、今から出発しても、今日中に着くのは難しいのである。
トールさんはホットする。
しかし、私の支援魔法を馬に使えば、今日中に、着く事はできる。
ロキさんは、みんなの体を気遣って、キャベッジの町で休息を取らせて、あげたいみたいだ。
「申し訳ないのだが、出来るだけ早く、領主様に、伝えないといけないのよ。他の者に頼みたいけど、現状を把握している、あなたたちに、お願いしたいのよ」
「みんなどうする。私は現状を考えたら、行くべきだと思う。しかしみんなの体調も心配だ。みんなの意見を聞きたい」
「私も行くべきだと思いますわ」
「俺は、ここの町の宿屋の飯が食べたい。バードクの町は、ここより美味しい場所がないからな」
トールさんは素直に答えた。
「トールさん。バードクの町にも、美味しい食堂があります。しかし、限られた人しか、入る事はできません。私が紹介状を書けば、入ることが、出来るはずです」
「本当なのか?それに、ちゃんと紹介状は書いてくれるのか?」
「もちろんです」
「ロキ、今から出発するぜ。カミラ男爵様の頼みを、断るわけにはいかないぜ」
トールさんの態度は一変した。
「私の支援魔法を使えば、今からでも、日が暮れる前に着くと思います。かなり馬には負担をかけると思いますが、それで良ければ、より強力な支援魔法を使います」
「ルシス任せたぞ。美味しい食堂をめざして、出発だあー」
みんな呆れて、何も言えないのであった。
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