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ブラカリの町パート2

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 「なんか、やばくね」

 「いや、大丈夫だろう。さすがに襲っては来ないだろう」

 「なら、ロキお前が先に行けよ」


 ロキさん達が、誰が門兵のとこに行くか、揉めている。そんな3人を尻目に、私は、馬車から駆け降りて、トラの獣人めがけて、ダイブする。あの胸のモフモフぐあいを見て、我慢できなくなったのである。


 「モフモフしていて、気持ちいい」

 
 私は満面の笑みを浮かべる。ロキさん達は、唖然としている。


 「ルシス・・・殺されるぞ・・・」


 ロキさんは、馬車から飛び降りて、トラの獣人に頭を下げる。


 「私の仲間が失礼なことをして、すいません」

 「ハ、ハ、ハ、気にするな。怒ってなどいないわ。こんな反応されたは、初めてだ。面白い子だな」


 そう言うと、私を、大きな手で抱き上げて、地面に下ろしてくれた。


 「もっと、モフモフを触らせてください」


 私はこの世界に来て、初めて獣人を見て、興奮している。3mはある巨漢な体で、筋骨隆々のたくましい体つき、オレンジ色の体色に、黒と白のしま模様の毛並み。口からは鋭い牙が生えており、見た目はかなり、恐ろしいが、あんなモフモフ、フサフサの毛並みを持つ獣人に、悪い人はいないと、感じたのである。


 「変わった子だな。後で触らせて、あげるから、まずは手続きを済ませよう。この町へ入るには、身分証はいらない。この町は、誰でも歓迎する。しかし、一部の者は、この町で、トラブルをおこす者もいる。そのトラブルをおこした時は、この町の規則で、処罰するという、署名にサインしてもらうことだ」

 「それはこちらにとって、不利な処罰をすると、言うことですか」

 「確かに、そのように考えるのは妥当であろう。しかし、この町の方針は、全ての種族が、協力して、仲良く暮らす世界を目指すことだ。まずは、お前達が、獣人の俺を信じて、サインすることをねがっている」

 「私、サインする。そして、早くモフモフさせて」

 
 私はすぐにサインして、獣人さんの胸にめがけて、再びダイブする。獣人さんは、私の頭を撫でてくれる。

 「君は、ルシスというのかい」

 「はいそうです」

 「俺のこと、怖くはないのか」

 「はい、可愛いです。そして、モフモフで気持ちがいいです」

 「可愛いなんて、初めて言われたぞ。ここにくる者は、皆、俺を見て、恐怖に慄いて、呆然とする。それに、逃げ出す者も、少なくはない」

 「そうなんですか。皆さんは、このモフモフの良さが、わからないのかしら?」

 「ほんと、おもしろい子だ。俺の名はティグレ。お前は気に入ったぞ、何かあったら、俺のとこへ来い。俺のカミさんが、助けてくれるはずだ」

 「ティグレさんじゃ、ないんですか?」

 「俺は、ただの門番だ。でもカミさんは、この町では、力があるからな、紹介しとくぜ」

 「ありがとうございます」

 「サイン終わったぜ、町に入れもらっていいかな」

 「3人とも、覚悟は決まったみたいだな。それでは、ブラカリの町へようこそ。ここはあらゆる種族が共存する町、トラブルのないように、心掛けて下さい。何かわからない事があれば、冒険者ギルドに行けば、町の案内もしてくれます。これが町の地図になりますので、存分とブラカリの町を、楽しんでください」


 私は、モフモフと離れたくなかったが、ロキさんに引きずられるように、町へ入っていった。


 「緊張したなー」

 「そうですね。いきなりあんな大きな、獣人が出てくるなんて」

 「確かに、想定外だった」

 「はい。想定外でよかったです」

 
 私だけ、テンションが違った。


 「これからどうする」

 「そうだね、アメリア様達は、私たちと違って、この町に来たことが、あるから、すんなり町へ入ってきたみたいだし、どうするのか確認してくる」


 そう言うと、ロキさんは、アメリア様の馬車へ向かった。ちなみに、ロキさん達が、ディグレにビビっていたため、少し離れたところで、私たちの手続きを、待っていたみたいだ。
 
 しばらくすると、ロキさんが戻ってきた。


 「とりあえず、今日は宿屋で休む事になった。明日は、オリビアさんが、この町で用事があるので、私たちは、町の観光でもしたら、良いとのことだったので、出発は明後日になるよ」

 「明日はどこに行きますか」

 「そうだね。とりあえず、冒険者ギルドに行って、観光場所を、教えてもらいましょう」

 「そうだな。この町は初めてで、何があるのかわからん」

 「今日は、宿屋の食堂で、美味しい物でも、食べてから、寝ることにしましょう」

 「そうしようぜ」



 
 「やっと手続き終わったみたい。それにしても、あの子の行動にはビックリだわ」

 「そうですね。あの門番を見たら、普通は、ビックリして、動けなくなるものです。私も初めて、きた時は、怖くて、震えが止まりませんでした。今でも、緊張します」

 「それが普通ですわ。私も緊張しますわ。しかし、これで、あの子は、この町は、初めてだと、確認できたわ。門番も、あの子のはしゃぎように、ビックリしていた様子だったしね」

 「私も同じ意見です。でもこれで、ますます、あの子が何者か、わからなくなりました。今日の晩は、あのお方との、待ち合わせです。あのお方なら、何かご存知かも知れません」

 「そうですね。それに期待しましょう。それでは、なかに入りましょう」






 
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