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神守星王国オリュンポス パート9

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 「お前は・・・ジュノではないか!」


 アレスがサクラの正体に気づいた。


 「何のことかしら?私はサクラよ」

 「ジュノ、俺を騙せると思っているのか!」

 「何のことかしら・・・オホホホ」


 ジュノはしらを切るのであった。


 「ジュノ、あの時の俺の思いの答えを教えてくれ」


 アレスが、真剣に言う。


 「ジュノ・・・何のことかしら」

 
 ジュノはあくまで、しらを切るのであった。


 「俺は真剣なんだ。俺はお前に会いたくて、ハデスのゾンビとなって生き返ったのだ。俺はお前を愛しているのだ」


 「キャーーーーー、素敵」


 マーニが大声で叫んだ。

 ソールは生まれて初めて、マーニの大声を聞いた。

 アレスは、ブラカリへ侵攻する時に、ジュノを呼び出して愛の告白をしていたのであった。ブラカリの町を滅ぼして帰ってきた時に、その時の答えを聞く予定であった。しかし、アレスはソール・マーニ姉妹によって殺されてしまったので、ジュノの気持ちを聞けずに死んでしまったのであった。


 「ジュノ、アレスにあなたの気持ちをきちんと伝えるべきだわ」


 マーニが真剣に言った。


 「いや、その、あれで・・・」


 ジュノはしどろもどろになる。


 「・・・」


 ソールは触れてはいけないと思って何も言わない。


 「ジュノ、逃げてはダメよ。ちゃんとあなたの思いもぶつけるのよ」


 マーニが大声で言う。


 「アレス、あの時も言ったよな。俺は男だし・・・それにお前には全く興味がないと」


 ジュノの言い分はこうである。


 アレスは、ブラカリの町を侵攻する時に、ジュノを呼び出して愛の告白をした。ジュノはアレスを傷つけないように、丁重に告白を断った。しかし、アレスはジュノの断りを受け入れることができず、必要にジュノに迫ったのであった。

 聞き分けのないアレスにジュノは、遠回しに断るのをやめて、はっきりとアレスに興味がないと断った。しかしそれでもアレスは、ジュノのことを諦めることができず、ブラカリを無事に滅ぼすことができたら、その時にもう一度答えを聞かせて欲しいと言って、旅だったのであった。

 ジュノは本当は、今回の任務に参加したくなかったのであった。ハデスの手によってアレスが生き返っていたら、面倒なことになるがわかっていたからである。なので、髪の毛をピンク色にして女性を演じて、アレスにバレないようにしていたのであった。


 「俺がゾンビだからダメなのか」


 アレスがジュノに問いかける。


 「ゾンビとかそんな問題ではない・・・」

 「ジュノ、曖昧な返答はダメよ。アレスに失礼だわ」


 マーニがジュノをせめる。


 「・・・」


 ソールは無言を貫く。


 「ジュノ、俺はお前を一目見た時から、愛してしまったのだ。俺は神守教会の教えを信じて、人間以外の人種は全て滅んでしまっていいと考えていた。しかし、死を直面してわかったことがあるのだ。俺が望んでいたのは、神守教会の言う人間のみが暮らせる世界を目指すのでなく、ジュノと共に過ごす世界だと・・・ジュノと一緒に過ごせるのなら、それで幸せだと気づいたのだ」

 「アレス・・・素敵だわ」


 マーニが涙を流しながらアレスを称える。


 「気持ちは嬉しいのだが、俺はお前の気持ちにこたえることはできない」

 「そんな・・・」


 マーニが悲しげに言った。


 「どこがダメなの」


 とマーニが言った。


 「愛に性別は関係ないわ」


 とマーニが言った。


 「きちんとした答えを示して」


 とマーニが言った。


 「・・・」


 ソールは無言で3人を見守っている。


 「俺には好きな人がいるのだ」


 ジュノが答えた。


 「誰なのよ」


 マーニが言った。


 「俺は、フレイヤ団長を愛しているのだ」

 
「キャーーーーー、王国騎士団内での恋のトライアングルよ」


 マーニは顔を赤くして、嬉しそうに叫んだ。


 「俺より団長を選ぶのか!」


 アレスが叫ぶ。


 「それが俺の気持ちだ。だからアレスとは付き合うことはできない」

 「そんな・・・・」


 アレスがうなだれる。


 「アレス、しっかりしなさい。そんな腑抜けた態度だから、フレイヤにジュノを取られるのよ」


 マーニはアレスを励ます。


 「しかし、俺は・・・」

 「アレス、まだフレイヤにジュノを取られたわけじゃないわ」


 マーニが言う。


 「どういうことだ」

 「ジュノ、フレイヤの気持ちは確認したのかしら?」

 「まだに決まっているだろう」


 ジュノはアタフタしてこたえる。


 「アレス、ジュノはまだ答えを出せていないのよ。だからまだチャンスは残っているわ」

 「本当か!」

 「本当ですわ」


 マーニが力強く答えた。

 ジュノは首を横に振りながら、『ない、ない』と意思表示をした。


 「そうだな。一度フラれたくらいで、諦めるのも男じゃないよな」

 「そうですわ、アレス。一度の失敗で諦めてはダメよ。あなたの思いは必ずジュノに届くはずよ」


 ジュノは大きく首を横に振って、『絶対にない』と意思表示をしたが2人には届かなかった。


 「アレス、これからどうするの」

 「ジュノと一緒にフレイヤ団長に会いに行くぞ」

 「それがいいわね。私もついて行ってあげるわ」

 「すまない」


 アレスはマーニに頭を下げた。


 「えーと、その、アレスは私達と戦っていたのじゃないのかな・・・」


 ついにソールが口を開いた。


 「ジュノの答えが出るまでは、一時休戦だ」


 アレスが答える。


 こうして、アレスが一時的だが仲間に加わったのであった。
 
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