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ホロスコープ星国 パート45

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 ★アケルナルの町の監獄管理棟の会議室にて



 「ヴァルゴ様からのおねだりを報告する」


 アクエリアスは嬉しそう言う。


 「まず一つ目が、王都シリウスの1番美味しいパンを作る料理人をこの町へ連れてくること、そして二つ目が、ヴァルゴ様の新しい屋敷を作ることだ。俺はこの二つのおねだりを実現しようと思っている」


 アクエリアスは高らかに宣言した。


 「もちろんです」

 「異論はありません」

 「ヴァルゴ様の望みは、絶対に叶えるべきです」


 会議に参加した者は、誰も異論を唱えるものなどいない。なぜならば、全員ヴァルゴの美しさに惚れて、魅了されているからである。


 「全員一致で、この二つのおねだりを可決する」


 アクエリアスは、嬉しそうに言った。


 『バタン』


 会議室の扉が勢いよく開いた。


 「ちょっと待ちなさい。その二つの案は却下よ」


 ノスフェラーが慌てて会議室に現れた。


 「また、お前か・・・なぜいつもヴァルゴ様のおねだりを邪魔をするのだ」


 アクエリアスの顔が不機嫌になる。


 「まず、王都から料理人を連れ出すのは危険よ。ジェミニ王には、ヴァルゴは地下の監獄に幽閉していると、報告しているはずよ。もし、料理人を連れ出すのに失敗したら、どう言い訳をするつもりなの?」


 ノスフェラーは、アクエリアスに詰め寄る。


 「部下が勝手にしたと言えば良いだろう。ヴァルゴ様が、自由にアケルナルの町で過ごしているを知っているのは、俺たちだけだ」


 アクエリアスは、必死に抵抗する。


 「何をバカなこと言っているのよ。この町で、ヴァルゴが自由に過ごしている事は周知の事実よ。だから、できるだけ危険なことはしないでほしいのよ」


 ノスフェラーが呆れた顔で言った。


 「俺たちはヴァルゴ様に、喜んで欲しいのだ。そして、少しでもお褒めの言葉をもらいたいのだ」


 子供が駄々をこねるようにアクエリアスはジタバタする。


 「そうだ!そうだ!」


 会議に出席している者も賛同する。


 「却下よ。そして、新しヴァルゴの屋敷の件も却下よ」


 ノスフェラーは、大声で言った。


 「なぜだ!」


 アクエリアスは納得がいかない。


 「この前に新しい屋敷を建てたばかりよ。だから、新しい屋敷はいらない話。それに、新しい屋敷を建てる予算もないわよ」


 ノスフェラーは、捲し立てるように言った。



 「ヴァルゴ様が欲しいと言っているのだ。それを叶えるのが、俺たちの仕事だ」


 アクエリアスが、大きな声で反論した。


 「そうだ!そうだ」


 会議に出席している全ての者が賛同する。


 「新しい屋敷を建てるお金がどこにあるのよ」


 ノスフェラーは、アクエリアスを問い詰める。


 「囚人たちに作らせたら良いだろう」

 「囚人たちは、ジェミ二王から与えらた炭鉱の採掘業務があるわ」


 ノスフェラーは呆れた顔で言った。


 「炭鉱の採掘業務が終わってから、やらせれば良いだろう」

 「そんなことをしたら、囚人たちは死んでしまうわ」


 ノスフェラーは、ため息をついた。


 「俺の能力は知っているだろう!囚人たちは俺の『元気の水』で、不眠不休で働けるはずだ」


 アクエリアスの『ゾディアックサイン』の能力は『元気の水』である。アクエリアスの作る『元気の水』を飲めば、体力が一定の量回復するのであった。なので、囚人たちは『元気の水』を飲めば、炭鉱作業の後に、建築作業もできるのである。


 「『元気の水』も限界があるわ。何日も不眠不休で働くのは無理なことよ」

 
 『元気の水』は、多少の体力を回復するだけなの、永遠に不眠不休で働けるわけではない。ジェミニ王が、アクエリアスに、監獄の町アケルナルの監獄長に任命したのは、アクエリアスの『元気の水』の能力を上手く使って、囚人たちを、効率よく作業させるためであった。


 『バタン』


 会議室の扉が勢いよく開いた。


 「アクエリアス様、レオ様がアケルナルの町へ入れるように、申し上げております。どうしましょうか?」


 アケルナルの門を警護していた門兵が慌てて、会議室に現れたのであった。


 「ここは俺の管轄の町だ。たとえ『星の使徒』であろうとも、入れるわけにはいかない。すぐに追いかえせ」


 アクエリアスは、不機嫌な顔になった。


 「もちろん、レオ様には入ることはできないと伝えました。しかし、門を開けないと無理矢理にでも入るとおっしゃるので、報告にあがりました」


 門兵は、かなり怯えているみたいである。


 「レオは何を考えているのだ・・・会議は一旦中止する。今から、俺はレオのところへ行ってくる」


 アクエリアスは、会議室から出て行った。


 「私も行くわ」

 
 ノスフェラーもついて行く。



 ★フェニ視点に戻ります


 「早く門を開けろ」


 レオは怒鳴りつける。


 「今アクエリアス様に連絡をしておりますので、もう少しだけお待ちください」


 大きな門の横の高台から、門を監視している兵士が怯えながら言った。



 「飛んだ方が早いかも・・・」


 私はコソっとつぶやいた。しかし、みんなでヴァルゴを救出する作戦なので、私は大人しく動向を見守ることにした。


 「レオ、焦ることはないぜ。すぐにアクエリアスが門を開けるだろうぜ」


 キャンサーが、レオを落ち着かせる。


 「俺は焦っているわけでない。アクエリアスごときが、フェニ王を待たせることに納得がいかないのだ!」


 レオは、私への失礼な対応に、腹を立てているのであった。


 「確かにそうだな・・・『高速横走り』」


 キャンサーは『高速横走り』を発動して、門をスイスイと登っていった。そして、門の横の高台に移動して、門を監視している門兵のところまで行った。


 「フェニ王を、これ以上待たせることはできない。いますぐに門を開けろ。門を開けないとお前の命はないぞ」


 キャンサーは、兵士を脅す。


 「わかりました。今すぐに開けるように伝えます」


 兵士は、門の開閉係に、すぐに門を開けるように指示を出した。


 『ガガガー・ガガガー』


 大きな門が開いた。


 「レオ、門が開いたぜ」


 キャンサーが高台から叫ぶ。


 「よくやった。フェニちゃん、中へ入りましょう」


 門が開いたので、私たちは、アケルナルの町へ入って行った。

 
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