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魔石国家ケルト王国編 パート1

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⭐️場面は魔界に変わりリプロ視点になります。


 「これより魔界総会議を始めます」


 魔王参謀長官のナレッジが会議の進行を担当している。魔界総会議の参加者は、魔王補佐官のレジーナ(ルシスの母親)・リプロ・カァラァ・アルイ(元魔王カイザーの1番上の兄)・チルド(アルイの息子)・レビト(元魔王カイザーの2番目の兄)・レイン(レビトの息子)である。


 「今回の議題はアルイ様の提案です。アルイ様ご説明をお願いします」

 「ルシス王女様が、原因不明の難病により魔王城で隔離治療に入って5年以上経過しています。未だに回復の目処が立っていないと聞いています。魔王の候補は3人の元魔王カイザーの子供によって選ばれる決まりになっていますが、5年以上も病気で何もできていないルシス王女様を魔王候補になる資格はないと思います」

 「私もそう思います。魔王になるには5歳で悪魔と契約して、10年間の修行の成果により魔王としての絶大なる力を手に入れることになります。5年間も病室にいて、未だに回復の目処が立たないルシス王女様は、魔王候補として失格だと思います」

 レビトが追随して言う。


 「確かに5年以上も何もしていないルシス王女様に魔王になる資格はないと思います。レジーナ様はどのようにお考えですか?」


 ナレッジがレジーナを追求する。


 「ルシスの魔力は魔界史上最大を誇ります。5年の遅れなど問題ないと思っています」

 「レジーナ様、それではルシス王女様はいつ難病が治るのですか?きちんと説明してください」

 
 アルイが問い詰める。


 「時期に治るはずです」

 「そんな曖昧な答えでは困ります。私が知っている情報では、ルシス王女様はもう死んでいると聞いています。本当にルシス王女様は生きているのですか?生きているのなら、一度姿を見せてもらえませんか?」


 レビトが問い詰める。


 「それはできません」


 レジーナが拒否をする。


 「死んでいるから姿を見せれないだよ。僕が代わりに魔王候補になってあげるよ」


 チルドが無邪気に言った。


 「僕がなってあげるよ」


 レインが嬉しそうに言った。


 「確かにこのままルシス王女様の回復を待つよりも新たな候補を立てる方が懸命な判断だと思います」


 ナレッジが不敵な笑みを浮かべながら言った。

 魔王の一族である者も悪魔との契約を行うことができる。チルド、レインは悪魔1体との契約に成功していた。

 
 「僕は強い悪魔と契約したんだ!ルシスなんかよりも僕の方が魔王候補に向いているよ」


 自慢げにチルドが言う。


 「僕だって強い悪魔と契約したよ。死んでしまったルシスなんかほっとけばいいのだ!」


 侮辱するようにレインが言う。


 「チルドとレインの言う通りだ。私たちの息子は強大な悪魔との契約に成功した。生きているか死んでいるのかわからないヤツをいつまでも魔王候補に置いておくのは魔界にとって大きな損失だ。この際はっきりと言わせてもらおう。ルシスよりも私たちの息子を魔王候補として認めろ!」


 アルイが大声で怒鳴り上げる。


 「そうだ!私たちの息子のが魔王候補としての才覚がある。ルシスを魔王候補から外せ!」


 レビトも追随するように言った。


 「黙れ!」

 
 カァラァが小さい声でつぶやいた。そして、カァラァの目が黒く輝いた時、レビト、チルド、レインの頭が胴体から転げ落ちた。

 カァラァは座ったままアルイの方を見た。


 「お姉ちゃんを馬鹿にすることは絶対に許さない。お前は簡単に死ねると思うなよ!」


 アルイはカァラァに睨まれてガクガクと体の震え出し、涙を流しながら跪いた。


 「許してくれ・・・俺が・・私が間違っていました。どうか命だけは取らないでください」


 アルイは地べたに這いつくばって命乞いをする。


 『リワインド』


 僕は『リワインド』という魔法を使った。『リワインド』は、『時の守護者』の能力の一つであり時間を巻き戻すことができるのである。

 レビト達の地面に落ちた頭が胴体に戻り時間が巻き戻った。時間が戻ったが過去に戻ったのではなく、先ほどまでの時間を失っただけなので、3人以外の時間は戻っていない。

 『リワインド』は正確には時間は消失させる能力である。なので、レビト達は自分たちに何が起こったかわからないが、他の者は何が起こったか当然わかっている。


 「カァラァ、殺したらダメだよ。きちんと話し合いで解決しないとね」

 「でも、あいつらはお姉ちゃんを馬鹿にした。新たな魔王候補なんていらない。魔王はお姉ちゃんがなると決まっている」

 「僕もそう思っているよ。だから、それをみんなにわかってもらおうよ」

 「リプロの言う通りよ。ここは会議の場です。殺し合いの場ではないよ」


 レジーナがカァラァを注意する。

 
 「わかりましたお母様。でも、またお姉ちゃんを馬鹿にしたら僕は我慢できるかわからないです」


 カァラァはアルイを睨みつけながら言った。

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