11 / 75
第一章・引きこもり旅立つ!
第9話 引きこもり、町に入る
しおりを挟む
「お前たちは町に何の用だ」
門へ近付くと門番が二人俺達を制止した。俺とファニーは微笑んで見合いさっき話した設定で行くと確認し頷き合って早速始める。
「私達は大道芸人なのですが、途中ゴブリンに身ぐるみを剥がされまして。命からがらここまで辿り着いた次第です。途中で鎧や武器を拾いましたのでお届けにあがりました。何方か探してらっしゃるかもしれないと思いまして。後、獣は運良く罠にかかったのでこちらで売って身ぐるみを剥がされた分を取り戻したいのですが」
俺は今までだったら絶対にしない事をしている。
運命共同体であり見た目が年下で女性のファニーが居るからこそ、巧く喋れず聞こえ辛い声を張り自分は大道芸人だと自分に信じ込ませて一生懸命それっぽくしてみた。
門番はじろじろと見ていたが俺のぼろぼろのパジャマにボサボサの髪の毛と引きこもり全開の容姿を見て
「そうか……大変だったな。鎧と武器はこちらで預からせてもらおう。獣に関しては町に入って少し進んだところに肉屋があるから、そこで買い取ってもらうと良い。これくらいのサイズと量なら、身ぐるみを剥がされた分は回収できるだろう。落とし主が現れれば必ず謝礼するよう言っておく。さ、行くと良い」
と憐れんでくれて中に入れてくれた。以前ならイラッとしただろうけど今は心の中で盛大にガッツポーズを取っているし顔がにやつかないよう堪えているくらいだ。
ファニーが笑顔で鎧と武器を渡すと門番も笑顔というかデレデレ気味に受け取り俺たちは町へと入る。
「コウの姿が役に立ったな!」
「ファニーの見た目もな。あの門番は俺一人なら難しかっただろう」
「コウも我の容姿にメロメロだからの」
「アホか」
ファニーはそんな俺の言葉を無視して鼻歌交じりに前を行く。
しかし幾ら力があるとはいえ引きこもりに体力は無い。
そろそろ本格的に荷車を押すのが辛くなってきた。
だからと言ってファニーには頼れない。
余裕で引けるだろうけど。
引きこもりにも意地があるのだ。
くだらないけどな。
「コウ、ここではないか?」
ファニーの言葉に顔を上げると、そこには妙な字体で書いてあるが
”ビックリオイシイ肉屋”って書いてある。
アメリカかここは。
「そろそろ限界が近いからこの獣たちを売る交渉をしてくれると助かる……」
ここに入る時の問答と荷車を押すのに疲れた俺は地面に膝をつきファニーに頼んだ。
「あいよらっしゃい!」
その声の方向に顔を向けるとそこには狼の顔をした二足歩行の怪人が居た。
中華包丁のようなものを二つ持って立っている。
体力も気力もあったら逃げ出してるところだけど今はそんなものは無い。俺は荷台を見て相手に見る様に促すもそこにあった狼を見てこれは駄目だろと思ったけど聞いてみる。
「これ駄目じゃね?」
「何がだ」
「いや、アンタこれの親戚じゃねーの? だとしたら買い取れないよな」
俺は座り込みながら荷台の狼を指差す。それを怪人は中華包丁を背中に鞘でもあるのか納めて近寄り顎に手を当てて覗き込んだ後元の位置に戻って腕を組んだ。
「いや、俺は獣人だから狼とは違うぜ?」
「二足歩行の違いか?」
「種族の違いだ。まぁ解り易く例えるなら人間と猿の違い」
「いや、それだったらダメじゃねーのか」
「ダメってことはないだろ。需要があるから売るけど、食べはしないし。お前もそうだろ」
「絶っっ対食わない」
なんつー会話だと思いつつ確かにその通りだと納得してしまったのが恐ろしいところ。
この世界ではさっきの人間と猿のように進化の過程で狼と狼人で分かれたと説明してくれてかなり興味をそそられた。
「まぁそういうこった。取り敢えず運んでくれたものは新鮮だし、皮も傷が少ないから良い値段で買わせてもらうぜ」
「いや、相場とかよく分からないんだが、身なりを整えられるくらいの値段が希望かな」
「そっか、なら金貨十枚ってとこかな」
「じゃあそれで」
「え!? 良いのか」
「え!?少ないのか!?」
俺とその獣人は顔を見合わせる。そして暫くした後笑いあった。
「あはははっ。お前は純粋なんだな」
「違うよ。人の悪意には慣れてるし、騙されたとしても今の状況じゃ仕方ない。それに話した感じ、アンタ悪い人じゃなさそうだし」
狼人はそう聞いて笑いが止まり目を丸くした後破顔一笑して頷いた。
「ありがとうよ。俺はダンディスってんだ。お前は?」
「コウ」
「短くて呼びやすい良い名前だな」
「アンタのはカッコいいな」
門へ近付くと門番が二人俺達を制止した。俺とファニーは微笑んで見合いさっき話した設定で行くと確認し頷き合って早速始める。
「私達は大道芸人なのですが、途中ゴブリンに身ぐるみを剥がされまして。命からがらここまで辿り着いた次第です。途中で鎧や武器を拾いましたのでお届けにあがりました。何方か探してらっしゃるかもしれないと思いまして。後、獣は運良く罠にかかったのでこちらで売って身ぐるみを剥がされた分を取り戻したいのですが」
俺は今までだったら絶対にしない事をしている。
運命共同体であり見た目が年下で女性のファニーが居るからこそ、巧く喋れず聞こえ辛い声を張り自分は大道芸人だと自分に信じ込ませて一生懸命それっぽくしてみた。
門番はじろじろと見ていたが俺のぼろぼろのパジャマにボサボサの髪の毛と引きこもり全開の容姿を見て
「そうか……大変だったな。鎧と武器はこちらで預からせてもらおう。獣に関しては町に入って少し進んだところに肉屋があるから、そこで買い取ってもらうと良い。これくらいのサイズと量なら、身ぐるみを剥がされた分は回収できるだろう。落とし主が現れれば必ず謝礼するよう言っておく。さ、行くと良い」
と憐れんでくれて中に入れてくれた。以前ならイラッとしただろうけど今は心の中で盛大にガッツポーズを取っているし顔がにやつかないよう堪えているくらいだ。
ファニーが笑顔で鎧と武器を渡すと門番も笑顔というかデレデレ気味に受け取り俺たちは町へと入る。
「コウの姿が役に立ったな!」
「ファニーの見た目もな。あの門番は俺一人なら難しかっただろう」
「コウも我の容姿にメロメロだからの」
「アホか」
ファニーはそんな俺の言葉を無視して鼻歌交じりに前を行く。
しかし幾ら力があるとはいえ引きこもりに体力は無い。
そろそろ本格的に荷車を押すのが辛くなってきた。
だからと言ってファニーには頼れない。
余裕で引けるだろうけど。
引きこもりにも意地があるのだ。
くだらないけどな。
「コウ、ここではないか?」
ファニーの言葉に顔を上げると、そこには妙な字体で書いてあるが
”ビックリオイシイ肉屋”って書いてある。
アメリカかここは。
「そろそろ限界が近いからこの獣たちを売る交渉をしてくれると助かる……」
ここに入る時の問答と荷車を押すのに疲れた俺は地面に膝をつきファニーに頼んだ。
「あいよらっしゃい!」
その声の方向に顔を向けるとそこには狼の顔をした二足歩行の怪人が居た。
中華包丁のようなものを二つ持って立っている。
体力も気力もあったら逃げ出してるところだけど今はそんなものは無い。俺は荷台を見て相手に見る様に促すもそこにあった狼を見てこれは駄目だろと思ったけど聞いてみる。
「これ駄目じゃね?」
「何がだ」
「いや、アンタこれの親戚じゃねーの? だとしたら買い取れないよな」
俺は座り込みながら荷台の狼を指差す。それを怪人は中華包丁を背中に鞘でもあるのか納めて近寄り顎に手を当てて覗き込んだ後元の位置に戻って腕を組んだ。
「いや、俺は獣人だから狼とは違うぜ?」
「二足歩行の違いか?」
「種族の違いだ。まぁ解り易く例えるなら人間と猿の違い」
「いや、それだったらダメじゃねーのか」
「ダメってことはないだろ。需要があるから売るけど、食べはしないし。お前もそうだろ」
「絶っっ対食わない」
なんつー会話だと思いつつ確かにその通りだと納得してしまったのが恐ろしいところ。
この世界ではさっきの人間と猿のように進化の過程で狼と狼人で分かれたと説明してくれてかなり興味をそそられた。
「まぁそういうこった。取り敢えず運んでくれたものは新鮮だし、皮も傷が少ないから良い値段で買わせてもらうぜ」
「いや、相場とかよく分からないんだが、身なりを整えられるくらいの値段が希望かな」
「そっか、なら金貨十枚ってとこかな」
「じゃあそれで」
「え!? 良いのか」
「え!?少ないのか!?」
俺とその獣人は顔を見合わせる。そして暫くした後笑いあった。
「あはははっ。お前は純粋なんだな」
「違うよ。人の悪意には慣れてるし、騙されたとしても今の状況じゃ仕方ない。それに話した感じ、アンタ悪い人じゃなさそうだし」
狼人はそう聞いて笑いが止まり目を丸くした後破顔一笑して頷いた。
「ありがとうよ。俺はダンディスってんだ。お前は?」
「コウ」
「短くて呼びやすい良い名前だな」
「アンタのはカッコいいな」
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる