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第一章・引きこもり旅立つ!
第18話 引きこもり、異世界の若年性引きこもりと会う
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「一つ断っておく……お主に命の危険が及ぶようなら、躊躇せず焼き払う」
森の中を進んでいると黙っていたファニーが突然そう切り出した。文字通り運命共同体だと言うのを言葉だけでなく態度で示すと言っている。
ファニーの気迫に押されながらも嬉しく思うがそれはそれで依頼失敗どころじゃ済まなそうだし当たり前に思わず嬉しくても冷静に解決しないと。
「そうならないよう考えるよ。そこで一つ相談というか頼みがあるんだけど」
「今さら遠慮する仲ではあるまい。ベッドを共にする仲だろう?」
ニヤリと意地悪くほほ笑みながらファニーは俺に顔を向ける。俺は本気で咽そうになってしまうも堪えて咳払いを一つして話を戻す。
「少しずるいようだけど、千里眼を使ってもらえないかな」
「有るものは何でも使うのは正しい。それを使わずに後手に回る方が悪手だ」
ファニーは立ち止まり一度目を閉じてから少し間が空いた後で開く。
「見えた。ここからそう遠くない山の麓に洞窟がある。そこにスライムはたむろしているようだ」
「となるとそこが敵の拠点てことだな」
「うむ。取り急ぎ向かう必要はなさそうだ。連中の食欲は今満たされているのでな」
「そこまで見えるのか?」
「いや、これはあくまでも我の勘だが」
「それを信じるよ」
「ふふ、ならば行くとしよう」
俺たちは再び歩き出し暫くすると少しずつ道が開けてくる。これはスライム達の捕食の跡で開けたようだ。
なるほど自分たちの近場を食い荒らしてしまい新しい餌を求めて今まで偶に来ていたスライムも町近くまで頻繁に出張って来ざるを得なかった、と。
「そろそろだな」
「ああ。それでどれを使う?」
俺はリードルシュさんに貰った武器を両手に持ってファニーに見せた。ファニーはチラリと見てブーメランを手に取る。
「良い選択だな。叩きつけると確実に壊れるだろうし」
「であろう? それに数をこなすにはコレが一番良い。ムチは二番手として残しておこう」
「了解。なら後は俺が身に付けておくから必要になったら」
「眼で合図するので渡してくれれば良い。それ位の意思疎通は出来ると確信している」
「ならその信頼に答えよう」
多数対少数で戦わざるを得ないから取る方法は一つ。ファニーを見るとファニーも俺を見ていた。そして頷き合うと走り出す。
「一番槍を頂く!」
「頼む!」
荒れた森を抜けて山の麓に出ると同時にファニーは俺の先に行き飛び出しブーメランを前方に向かって薙ぐように投げた。パシャパシャと音を立てて次々消えて行くスライムの群れ。俺はそれを目で追いつつ逃れたスライムを斬りに向かう。
リードルシュさんの半生を掛けて打った剣を強く握る。黒曜石と隕鉄の合わさった剣だと聞いたので黒隕剣とでも名付けようか。
「黒隕剣、行くぞ」
引き抜いた勢いそのままにスライムを薙ぐ。更に横に居たスライムを上から下へ唐竹割りし一旦下がる。
間を置かずファニーのブーメランが次の列に投げつけられた。俺は先程と同じように逃れたスライムを斬る。
俺は他人と合わせて動くような練習はして来ていないのでファニーが全体と俺を見て上手く合わせてくれているんだろう。とても気持ちの良い感じてリズムよく敵を切り伏せて行く。
「何だのよ!」
洞窟前に群がっていたスライムをファニーと連携し洞窟の入り口まで駆逐すると洞窟の奥から可愛らしい怒声が飛んできた。やはりスライムを意図して増やしていた人物がいたんだ。
「何だとは何だ。被害が出ているのでこの雑魚を駆逐しに来たのだ」
「だから何だのよ! スライムを飼う自由を制限する権利はお前達には無いだのよ!」
「黙れ小娘。こそこそ物陰から怒声を浴びせるしか出来ない小心者が雑魚を使って村に復讐か?」
「うぬぬぬぬぬ……ちょっと待ってろだのよ!」
可愛らしい声と言葉遣いに復讐というのは合わず悪戯をしているような感じがして来てならない。
「これでどうだそこのヘンテコな女!」
「……みょうちくりんな小娘。お前の企みは何だ?」
「復讐? アタチがお前達人間ごときに復讐などしないだのよ」
「ならなんだ」
「スライムが可愛いからだのよ。餌をわざわざ放置しているのだから、それを食べさせて何が悪いのだのよ」
「……お前は一体何だ? どうやら人間では無いようだが」
俺はファニーとやりとりしている人物を見ると背は小さいもののフードを被って顔だけ出ている状態では人間に見える。ファニーが感じているのだから人間では無いんだろう。
「ふふん。良く聞けだのよ。アタチはゴブリンシャーマンとドラフトのハーフという最強の存在だのよ!」
「異種交配の産物か。それで生き場を無くして意思の無いものと戯れて、寂しさを紛らわせていたのか」
フードを取ると、確かに昨夜遭ったドラフト族のビッドと同じように、頭の両サイドから角が生えていた。しかし横にではなく、弧を描き先は別方向へ曲がっている。
そして顔色は人と同じように見える。ただ喋る度に空いた口からは、犬歯だけでなく、全体的に尖っており人と違うかなって感じがした。
「お、お前みたいなヤツに何が解るだのよ! アタチは何もしてないのに……お父もお母も何もしてないのに……村を追われただのよ! ドラフトにもゴブリンにも居場所が無いアタチの気持ちなんて!」
喋りながら段々と涙目になり最後には嗚咽が混じり始めた。
森の中を進んでいると黙っていたファニーが突然そう切り出した。文字通り運命共同体だと言うのを言葉だけでなく態度で示すと言っている。
ファニーの気迫に押されながらも嬉しく思うがそれはそれで依頼失敗どころじゃ済まなそうだし当たり前に思わず嬉しくても冷静に解決しないと。
「そうならないよう考えるよ。そこで一つ相談というか頼みがあるんだけど」
「今さら遠慮する仲ではあるまい。ベッドを共にする仲だろう?」
ニヤリと意地悪くほほ笑みながらファニーは俺に顔を向ける。俺は本気で咽そうになってしまうも堪えて咳払いを一つして話を戻す。
「少しずるいようだけど、千里眼を使ってもらえないかな」
「有るものは何でも使うのは正しい。それを使わずに後手に回る方が悪手だ」
ファニーは立ち止まり一度目を閉じてから少し間が空いた後で開く。
「見えた。ここからそう遠くない山の麓に洞窟がある。そこにスライムはたむろしているようだ」
「となるとそこが敵の拠点てことだな」
「うむ。取り急ぎ向かう必要はなさそうだ。連中の食欲は今満たされているのでな」
「そこまで見えるのか?」
「いや、これはあくまでも我の勘だが」
「それを信じるよ」
「ふふ、ならば行くとしよう」
俺たちは再び歩き出し暫くすると少しずつ道が開けてくる。これはスライム達の捕食の跡で開けたようだ。
なるほど自分たちの近場を食い荒らしてしまい新しい餌を求めて今まで偶に来ていたスライムも町近くまで頻繁に出張って来ざるを得なかった、と。
「そろそろだな」
「ああ。それでどれを使う?」
俺はリードルシュさんに貰った武器を両手に持ってファニーに見せた。ファニーはチラリと見てブーメランを手に取る。
「良い選択だな。叩きつけると確実に壊れるだろうし」
「であろう? それに数をこなすにはコレが一番良い。ムチは二番手として残しておこう」
「了解。なら後は俺が身に付けておくから必要になったら」
「眼で合図するので渡してくれれば良い。それ位の意思疎通は出来ると確信している」
「ならその信頼に答えよう」
多数対少数で戦わざるを得ないから取る方法は一つ。ファニーを見るとファニーも俺を見ていた。そして頷き合うと走り出す。
「一番槍を頂く!」
「頼む!」
荒れた森を抜けて山の麓に出ると同時にファニーは俺の先に行き飛び出しブーメランを前方に向かって薙ぐように投げた。パシャパシャと音を立てて次々消えて行くスライムの群れ。俺はそれを目で追いつつ逃れたスライムを斬りに向かう。
リードルシュさんの半生を掛けて打った剣を強く握る。黒曜石と隕鉄の合わさった剣だと聞いたので黒隕剣とでも名付けようか。
「黒隕剣、行くぞ」
引き抜いた勢いそのままにスライムを薙ぐ。更に横に居たスライムを上から下へ唐竹割りし一旦下がる。
間を置かずファニーのブーメランが次の列に投げつけられた。俺は先程と同じように逃れたスライムを斬る。
俺は他人と合わせて動くような練習はして来ていないのでファニーが全体と俺を見て上手く合わせてくれているんだろう。とても気持ちの良い感じてリズムよく敵を切り伏せて行く。
「何だのよ!」
洞窟前に群がっていたスライムをファニーと連携し洞窟の入り口まで駆逐すると洞窟の奥から可愛らしい怒声が飛んできた。やはりスライムを意図して増やしていた人物がいたんだ。
「何だとは何だ。被害が出ているのでこの雑魚を駆逐しに来たのだ」
「だから何だのよ! スライムを飼う自由を制限する権利はお前達には無いだのよ!」
「黙れ小娘。こそこそ物陰から怒声を浴びせるしか出来ない小心者が雑魚を使って村に復讐か?」
「うぬぬぬぬぬ……ちょっと待ってろだのよ!」
可愛らしい声と言葉遣いに復讐というのは合わず悪戯をしているような感じがして来てならない。
「これでどうだそこのヘンテコな女!」
「……みょうちくりんな小娘。お前の企みは何だ?」
「復讐? アタチがお前達人間ごときに復讐などしないだのよ」
「ならなんだ」
「スライムが可愛いからだのよ。餌をわざわざ放置しているのだから、それを食べさせて何が悪いのだのよ」
「……お前は一体何だ? どうやら人間では無いようだが」
俺はファニーとやりとりしている人物を見ると背は小さいもののフードを被って顔だけ出ている状態では人間に見える。ファニーが感じているのだから人間では無いんだろう。
「ふふん。良く聞けだのよ。アタチはゴブリンシャーマンとドラフトのハーフという最強の存在だのよ!」
「異種交配の産物か。それで生き場を無くして意思の無いものと戯れて、寂しさを紛らわせていたのか」
フードを取ると、確かに昨夜遭ったドラフト族のビッドと同じように、頭の両サイドから角が生えていた。しかし横にではなく、弧を描き先は別方向へ曲がっている。
そして顔色は人と同じように見える。ただ喋る度に空いた口からは、犬歯だけでなく、全体的に尖っており人と違うかなって感じがした。
「お、お前みたいなヤツに何が解るだのよ! アタチは何もしてないのに……お父もお母も何もしてないのに……村を追われただのよ! ドラフトにもゴブリンにも居場所が無いアタチの気持ちなんて!」
喋りながら段々と涙目になり最後には嗚咽が混じり始めた。
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