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天空城
実力試験開始
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イベルさんとマキシムさんの監視の中、森に近い所で薬草を採取しています。
天空にある薬草は青色のヨモギに似た葉です。太陽のエネルギーを沢山浴びるためか、地上の薬草より薬効が高く、地上では飛ぶように売れる。これを10本で一束となります。だから、50本を摘まないと終わりません。
「ずいぶん綺麗に採取するな。」
『売るものです。綺麗な方が買う人も喜びますし、私の評価も高くなります。急ぐクエストでもありませんから丁寧にやっているだけですよ。』
「ボクはこれまで多くの初心者達を見てきましたが、どの女性冒険者でも男並みに雑でしたよ。」
そこまで誉められると嬉しいですね。でも、私達プレイヤーは採取となると慎重になりますからね。アイテムが不良品になると売れないし、合成にも使えないから、採取は丁寧に行うというのが常識になります。まあ、そういうシステムに躾られたということになるんでしょうね。
『薬草5束集まりました。』
「確認します。…凄いですね。全て優良な薬草です。クエストの報酬金に上乗せができます。」
マキシムさんは鑑定士の資格もあるようですね。なるほど、だからお二人も試験官が同行しているのか。
「次は空ウサギだな。武器はその双剣なのか?」
『はい。』
「空ウサギを狩る前に俺と戦え。」
『わかりました。』
双剣を抜き取り、イベルさんと向き合う。深呼吸をして心を落ち着かせる。目線をイベルさんのみに集中させる。
『行きます!』
大地を蹴って一瞬でイベルさんの懐に入る。目を見開いて驚く彼を見ながら、双剣スキ【クロス斬り】を発動。両腕を持ち上げ、腕をクロスをするように斬りつける斬撃。
ガキン!
残念ながらイベルさんの大剣で防がれてしまう。それどころか、彼の力任せな一振りで1m も飛ばされてしまう。ザザザザと足が地面を滑る。あの人、どれだけの怪力なのよ。
再びイベルさんへ突撃。今度は彼が繰り出す攻撃を捌きながら、私も攻撃。体全体を使って舞うように双剣を扱う。実際、舞うように動かないと体重を乗せられないのだ。大剣と違って双剣は軽いから仕方ないのよね。私自身も小柄で軽いから大した攻撃力にもならない。スピードタイプの双剣使いって所かな。
「太刀筋はいいが、お前はスピードタイプだな。体重が軽い分、攻撃力は低いだろう。」
全くその通りですよ。
「今はランクも低いからいいが、Aランクを目指すなら鍛えろよ。それと、魔法とか他のスキルを増やせばいいだろう。」
満足したのか、実力テストは取り合えず合格したみたい。
少し疲れたけど、すぐに空ウサギを捜索することにした。
「ユエルさんはどこで双剣のスキルを学んだのですか?」
マキシムさんが質問してきた内容にどう答えればいいか悩んだ。このスキルは独学と地上の闘技場などで獲得したものだ。
『えと、放浪した先々で学ぶ機会があったので。』
「もしかして地上の?」
『はい。』
「失礼ですがご家族とかは?」
『いません。天涯孤独です。』
「保護者はいなかったのか?お前一人だけとか言わないよな?天空城には孤児院もあるだろう?」
イベルさんもマキシムさんも優しい人なんですね。彼等に本当のことを話せないのが心苦しいです。でも、天涯孤独なのは本当の事だし、それでいいよね。
『昔の事は忘れました。多分、どこかで育ったと思います。でも、今は自立した大人として冒険者になりますから大丈夫です。』
二人には背伸びした子供に見えるのでしょう。不憫な子供だとその目が語っています。
『あ、空ウサギがいました!』
彼等の視線から逃れるために空ウサギに無理矢理視線を変えました。
空ウサギは丸々とした50cmくらいのウサギで、小さな翼があります。彼等はそのお肉がとても美味なので人気のある食材なのです。繁殖力も高く、間引かないと森の草を食べ尽くしてしまうので、討伐対象から外されることはありません。
『えい!』
「キュピィ!?」
可哀想だけど、首を一撃で切り落とした。この方が痛みもなく即死にできるからです。
「見事な切り口だ。首を綺麗に切り落としたな。」
急いで血抜きと内臓を取り出します。専用の手袋とナイフで処理するので汚れることはありません。でも、生き物を解体するのは苦手です。初めて解体した時、泣きながらやったものです。自分でやらなくても解体専門店に持っていけばやってくれるけど、貰える素材は半分の確率になる。そのため、多くのプレイヤーは血へドを吐きながら解体スキルを学んで、トラウマを克服していくのである。
『空ウサギ5匹の討伐完了しました。』
「血抜きと処理は完璧です。お疲れ様でした。」
「ユエル、今日からウィングの冒険者として入ることを許可する。この翼のブローチを誇りに精進しろよ。」
『はい、ありがとうございます。』
貰ったのは銅の翼のブローチでした。
「Aランクは金のブローチだ。Bランクは銀。CとDは銅のブローチとなる。ランクが上がれば俺達のように金のブローチをもらえる。」
「これからも頑張ってランクを上げてくださいね。何か困ったらボク達が相談にのります。いつでも訪ねてくださいね。」
とても優しい先輩達でした。こんなにもよくしてくれて、彼等のお陰で勇気をもらえた気がします。今はユエルとして生きて、心に余裕が生まれたらユナとしてアルテミアに帰りたいと思いました。
天空にある薬草は青色のヨモギに似た葉です。太陽のエネルギーを沢山浴びるためか、地上の薬草より薬効が高く、地上では飛ぶように売れる。これを10本で一束となります。だから、50本を摘まないと終わりません。
「ずいぶん綺麗に採取するな。」
『売るものです。綺麗な方が買う人も喜びますし、私の評価も高くなります。急ぐクエストでもありませんから丁寧にやっているだけですよ。』
「ボクはこれまで多くの初心者達を見てきましたが、どの女性冒険者でも男並みに雑でしたよ。」
そこまで誉められると嬉しいですね。でも、私達プレイヤーは採取となると慎重になりますからね。アイテムが不良品になると売れないし、合成にも使えないから、採取は丁寧に行うというのが常識になります。まあ、そういうシステムに躾られたということになるんでしょうね。
『薬草5束集まりました。』
「確認します。…凄いですね。全て優良な薬草です。クエストの報酬金に上乗せができます。」
マキシムさんは鑑定士の資格もあるようですね。なるほど、だからお二人も試験官が同行しているのか。
「次は空ウサギだな。武器はその双剣なのか?」
『はい。』
「空ウサギを狩る前に俺と戦え。」
『わかりました。』
双剣を抜き取り、イベルさんと向き合う。深呼吸をして心を落ち着かせる。目線をイベルさんのみに集中させる。
『行きます!』
大地を蹴って一瞬でイベルさんの懐に入る。目を見開いて驚く彼を見ながら、双剣スキ【クロス斬り】を発動。両腕を持ち上げ、腕をクロスをするように斬りつける斬撃。
ガキン!
残念ながらイベルさんの大剣で防がれてしまう。それどころか、彼の力任せな一振りで1m も飛ばされてしまう。ザザザザと足が地面を滑る。あの人、どれだけの怪力なのよ。
再びイベルさんへ突撃。今度は彼が繰り出す攻撃を捌きながら、私も攻撃。体全体を使って舞うように双剣を扱う。実際、舞うように動かないと体重を乗せられないのだ。大剣と違って双剣は軽いから仕方ないのよね。私自身も小柄で軽いから大した攻撃力にもならない。スピードタイプの双剣使いって所かな。
「太刀筋はいいが、お前はスピードタイプだな。体重が軽い分、攻撃力は低いだろう。」
全くその通りですよ。
「今はランクも低いからいいが、Aランクを目指すなら鍛えろよ。それと、魔法とか他のスキルを増やせばいいだろう。」
満足したのか、実力テストは取り合えず合格したみたい。
少し疲れたけど、すぐに空ウサギを捜索することにした。
「ユエルさんはどこで双剣のスキルを学んだのですか?」
マキシムさんが質問してきた内容にどう答えればいいか悩んだ。このスキルは独学と地上の闘技場などで獲得したものだ。
『えと、放浪した先々で学ぶ機会があったので。』
「もしかして地上の?」
『はい。』
「失礼ですがご家族とかは?」
『いません。天涯孤独です。』
「保護者はいなかったのか?お前一人だけとか言わないよな?天空城には孤児院もあるだろう?」
イベルさんもマキシムさんも優しい人なんですね。彼等に本当のことを話せないのが心苦しいです。でも、天涯孤独なのは本当の事だし、それでいいよね。
『昔の事は忘れました。多分、どこかで育ったと思います。でも、今は自立した大人として冒険者になりますから大丈夫です。』
二人には背伸びした子供に見えるのでしょう。不憫な子供だとその目が語っています。
『あ、空ウサギがいました!』
彼等の視線から逃れるために空ウサギに無理矢理視線を変えました。
空ウサギは丸々とした50cmくらいのウサギで、小さな翼があります。彼等はそのお肉がとても美味なので人気のある食材なのです。繁殖力も高く、間引かないと森の草を食べ尽くしてしまうので、討伐対象から外されることはありません。
『えい!』
「キュピィ!?」
可哀想だけど、首を一撃で切り落とした。この方が痛みもなく即死にできるからです。
「見事な切り口だ。首を綺麗に切り落としたな。」
急いで血抜きと内臓を取り出します。専用の手袋とナイフで処理するので汚れることはありません。でも、生き物を解体するのは苦手です。初めて解体した時、泣きながらやったものです。自分でやらなくても解体専門店に持っていけばやってくれるけど、貰える素材は半分の確率になる。そのため、多くのプレイヤーは血へドを吐きながら解体スキルを学んで、トラウマを克服していくのである。
『空ウサギ5匹の討伐完了しました。』
「血抜きと処理は完璧です。お疲れ様でした。」
「ユエル、今日からウィングの冒険者として入ることを許可する。この翼のブローチを誇りに精進しろよ。」
『はい、ありがとうございます。』
貰ったのは銅の翼のブローチでした。
「Aランクは金のブローチだ。Bランクは銀。CとDは銅のブローチとなる。ランクが上がれば俺達のように金のブローチをもらえる。」
「これからも頑張ってランクを上げてくださいね。何か困ったらボク達が相談にのります。いつでも訪ねてくださいね。」
とても優しい先輩達でした。こんなにもよくしてくれて、彼等のお陰で勇気をもらえた気がします。今はユエルとして生きて、心に余裕が生まれたらユナとしてアルテミアに帰りたいと思いました。
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