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魔
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カストル王国山間部ルースの村の酒場。
「のどかな村だな……この辺で例の人喰い魔獣が出たのか」
アンリとディアスは人食い魔獣の出現地点に近い山間の村ルースを訪れていた。
……リンアルド族の男ディアスがアンリの耳元で囁く。
「一週間程前、中央から派遣された騎士団の連中が
三つ目狼の変異種を一体発見し、討伐に成功した
で、中央から派遣された連中は帰還したわけだが……
猟師や木こり達の間で得体の知れない怪物を見たって話があるんだ」
「人喰い魔獣は複数体いるかもしれないってか」
「そうだ、アンリ、俺はその可能性は高いと思う
騎士団の連中が帰って一週間、被害者は出てないが……
警戒していた魔獣もそろそろ動き出すんじゃないか」
……酒場の椅子に腰かける二人の前に一人の女が現れた。
「よう、来たか」
二人の前にサキュバスに変異した元山賊の男ジュリアスがやって来た。
……少し背が縮んだように見える。
「こいつはディアスだ」
アンリはディアスを指さす。
「おれはジュリアスだ、よろしくな」
「なあアンリ、この女どうしたんだ?何処で知り合ったんだよ?」
ディアスは鼻をひくつかせる。
「……この匂い、この女、サキュバスか?」
「ああ、そうだ」
「サキュバスと知り合いか?何処で知り合ったんだ?」
「……ちょっと、いろいろあってな」
「よろしくな」
「ああ、こちらこそよろしく」
「ん?オクタヴィアは?アイツどうしたんだ?」
アンリはジュリアスに問いかける。
「オクタヴィア姉さんにお前に協力してくれと言われて
ここに来たんだ、オクタヴィア姉さんは用事があるから来れないと言ってた」
「……そうか、じゃあ仕方ない、オレら三人でやるか」
「まあ、俺たち三人で何とかなるだろ……少人数の方が魔獣の警戒が薄れて仕事がやりやすいってこともあるだろうさ」
・・・・・・・・
太陽が輝き、暖かな日差しがアンリ達を照らしている。穏やかな風が流れ、山の木々をざわつかせていた。
山の鳥達が囀り、キリギリスの仲間が何かを訴えるようにけたたましく騒いでいる。
……村外れの川辺で魚人の男が切り出された木材を運んでいた。
「例の魔獣について知ってることがあったら教えてくれないか?」
アンリは魚人の男に尋ねた。
「俺は猟師じゃねぇし、魔獣の専門家じゃないからよくわかんねぇよ、噂以上のことは知らんよ」
「なあ、この木材は何処に運ぶんだ?」
「ん?これか、王都マリエスブールまで運ぶのさ
この川はマリエス川の支流だから、ここから川を下るとマリエス川に合流するわけだ
で、合流地点からちょっと下れば王都マリエスブールだ
ちょっと流れの激しい場所もあるが、峠道を越えるより遥かに楽だぜ
マリエスブールに用があるなら、乗せていこうか?安くしとくぜ?」
「今はマリエスブールに用はないからいいよ、オレは魔獣の討伐に来たんでな」
「そうか、兄ちゃん気をつけろよ、噂じゃ、奴は人間の肉が好きらしい
牛や馬より人間を狙ってくるらしいぜ」
・・・・・・・・・
山中の古びた山小屋……
……朽ち木の隙間から漏れた光が薄暗い小屋の中で佇む赤髪の女を照らしていた。
「随分、派手に暴れたな……」
「ごめんよサニア姉さん」
銀髪の少年が赤髪の女騎士サニアをじっと見つめている。
「……しばらくしたら、我々にも召集がかかるだろう
すこしだけ大人しくしてろ」
「わかったよ、姉さん」
「いい子だ」
「サニア姉さん……」
サニアは少年の頭を優しく撫でた。
「のどかな村だな……この辺で例の人喰い魔獣が出たのか」
アンリとディアスは人食い魔獣の出現地点に近い山間の村ルースを訪れていた。
……リンアルド族の男ディアスがアンリの耳元で囁く。
「一週間程前、中央から派遣された騎士団の連中が
三つ目狼の変異種を一体発見し、討伐に成功した
で、中央から派遣された連中は帰還したわけだが……
猟師や木こり達の間で得体の知れない怪物を見たって話があるんだ」
「人喰い魔獣は複数体いるかもしれないってか」
「そうだ、アンリ、俺はその可能性は高いと思う
騎士団の連中が帰って一週間、被害者は出てないが……
警戒していた魔獣もそろそろ動き出すんじゃないか」
……酒場の椅子に腰かける二人の前に一人の女が現れた。
「よう、来たか」
二人の前にサキュバスに変異した元山賊の男ジュリアスがやって来た。
……少し背が縮んだように見える。
「こいつはディアスだ」
アンリはディアスを指さす。
「おれはジュリアスだ、よろしくな」
「なあアンリ、この女どうしたんだ?何処で知り合ったんだよ?」
ディアスは鼻をひくつかせる。
「……この匂い、この女、サキュバスか?」
「ああ、そうだ」
「サキュバスと知り合いか?何処で知り合ったんだ?」
「……ちょっと、いろいろあってな」
「よろしくな」
「ああ、こちらこそよろしく」
「ん?オクタヴィアは?アイツどうしたんだ?」
アンリはジュリアスに問いかける。
「オクタヴィア姉さんにお前に協力してくれと言われて
ここに来たんだ、オクタヴィア姉さんは用事があるから来れないと言ってた」
「……そうか、じゃあ仕方ない、オレら三人でやるか」
「まあ、俺たち三人で何とかなるだろ……少人数の方が魔獣の警戒が薄れて仕事がやりやすいってこともあるだろうさ」
・・・・・・・・
太陽が輝き、暖かな日差しがアンリ達を照らしている。穏やかな風が流れ、山の木々をざわつかせていた。
山の鳥達が囀り、キリギリスの仲間が何かを訴えるようにけたたましく騒いでいる。
……村外れの川辺で魚人の男が切り出された木材を運んでいた。
「例の魔獣について知ってることがあったら教えてくれないか?」
アンリは魚人の男に尋ねた。
「俺は猟師じゃねぇし、魔獣の専門家じゃないからよくわかんねぇよ、噂以上のことは知らんよ」
「なあ、この木材は何処に運ぶんだ?」
「ん?これか、王都マリエスブールまで運ぶのさ
この川はマリエス川の支流だから、ここから川を下るとマリエス川に合流するわけだ
で、合流地点からちょっと下れば王都マリエスブールだ
ちょっと流れの激しい場所もあるが、峠道を越えるより遥かに楽だぜ
マリエスブールに用があるなら、乗せていこうか?安くしとくぜ?」
「今はマリエスブールに用はないからいいよ、オレは魔獣の討伐に来たんでな」
「そうか、兄ちゃん気をつけろよ、噂じゃ、奴は人間の肉が好きらしい
牛や馬より人間を狙ってくるらしいぜ」
・・・・・・・・・
山中の古びた山小屋……
……朽ち木の隙間から漏れた光が薄暗い小屋の中で佇む赤髪の女を照らしていた。
「随分、派手に暴れたな……」
「ごめんよサニア姉さん」
銀髪の少年が赤髪の女騎士サニアをじっと見つめている。
「……しばらくしたら、我々にも召集がかかるだろう
すこしだけ大人しくしてろ」
「わかったよ、姉さん」
「いい子だ」
「サニア姉さん……」
サニアは少年の頭を優しく撫でた。
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