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嫉妬の女神
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「魔女……石の魔女アヴローラか……」
話を聞いていたハイディが口を開いた。
「ハイディ、石の魔女のこと知ってるのか?」
アンリはハイディに尋ねる。
「名前ぐらいは……」
ハイディは椅子に腰かける。
「奴らは不死の魔女の弟子達だ……奴らの師であるアムブロシアの魔女は不老不死の研究をしていた
……その一つが強大な魔導具と融合することで肉体を女神化させるという手段なんだ……そこでアムブロシアの魔女が目をつけたのが聖都の地下に保管されていた隕鉄の聖槍だったんだ」
「アムブロシアの魔女が死んだのは百年以上前じゃ?弟子たちも百年以上生きてるのか?じゃあ研究は成功したのか?」
「さあ……詳しく調べてみないことにはわからん、隕鉄の聖槍との融合とは違う手段があるようだが……長命を得る手段で有名なのは吸血鬼化だな、大体300年ぐらいは生きられる、陽光に脅えることなく長命や強大な肉体を得る方法だと完全覚醒や女神化した若いシェイマの身体を融合で乗っ取るのもあるか……」
ディアスと融合したシェイマの傭兵ベネラが口を挟む。
「アタシは完全覚醒なんてしてないぞ……完全覚醒が出来る奴は稀だ」
「……女神化というのはそもそも魔導具との融合での変異体をさすものではなかった、元はシェイマの第一覚醒、第二覚醒、完全覚醒、その上の第四段階目を指すものだったんだ……覚醒は三段階が基本で四段階にわかれてる種族は珍しい……問題は第二覚醒以上は強い衝動に支配され自我を保てない場合が多いことだ……脳も覚醒による影響を受けるからな、だからシェイマは覚醒を抑制する為、黒霊布を身に着けている者が多い」
「覚醒の高揚感は何とも言い難い、凄く気持ちがいいんだ、痛みも吹き飛ぶ……完全覚醒は頭がおかしくなる奴が多い……薬で覚醒を抑える奴もいるよ」
「シェイマの第四段階目の覚醒体と強大な魔導具との融合による変異体は大量の魔力で肉体を変化させているという点では同じだが異なる点がある、強大な魔導具との融合による変異体は生殖能力を失うが、シェイマは生殖能力を失わないし、寿命が大きく延びるわけではない、少し老化が遅くなるらしいが……アンリ、何故シェイマの女の四段階目の覚醒が女神化と呼ばれたか知ってるか?」
ハイディはアンリに問いかける。
「……なんだっけ?えー神話……詳しくは忘れた」
「そう正解だ、神話に出てくる嫉妬の女神が由来なんだ、昔、天の主が創った楽園に二人の兄弟が住んでいた、兄が先に不老の果実を選び、弟は残った進歩の炎を選ぶ……進歩の果実を得た弟の一族は大いに栄えるが、兄の一族には様々な災いが訪れる……そんな時、兄の元へ嫉妬の女神が現れる、彼女は彼に不老の果実の正体は厄災の果実で天の主はお前を愛していないとそそのかす、兄は嫉妬の女神の言葉を信じ、弟を殺し進歩の炎を奪う、そして兄は天上の主に一族に男が産まれぬ呪いをかけられ楽園を追放される……その兄と嫉妬の女神との間に産まれた子がシェイマの祖だという……原典にはシェイマの祖だとは明言されていないがね……嫉妬の女神が何を示すかは様々な説があった、人の心の闇の暗喩だとか、天の主が人を試す為に遣わした存在だとか、異教の神に耳を傾けるなという話だとか、或いは近づいてくる女の甘言に気をつけろという寓話だとかね、その中で一番有力とされたのが人を惑わす悪魔だという説なんだ、この嫉妬の女神は悪魔と同一視され、シェイマの完全覚醒と女神化は悪魔の力の顕現と見なされた、シェイマの女神化は決して良い意味ではないんだ」
話を聞いていたハイディが口を開いた。
「ハイディ、石の魔女のこと知ってるのか?」
アンリはハイディに尋ねる。
「名前ぐらいは……」
ハイディは椅子に腰かける。
「奴らは不死の魔女の弟子達だ……奴らの師であるアムブロシアの魔女は不老不死の研究をしていた
……その一つが強大な魔導具と融合することで肉体を女神化させるという手段なんだ……そこでアムブロシアの魔女が目をつけたのが聖都の地下に保管されていた隕鉄の聖槍だったんだ」
「アムブロシアの魔女が死んだのは百年以上前じゃ?弟子たちも百年以上生きてるのか?じゃあ研究は成功したのか?」
「さあ……詳しく調べてみないことにはわからん、隕鉄の聖槍との融合とは違う手段があるようだが……長命を得る手段で有名なのは吸血鬼化だな、大体300年ぐらいは生きられる、陽光に脅えることなく長命や強大な肉体を得る方法だと完全覚醒や女神化した若いシェイマの身体を融合で乗っ取るのもあるか……」
ディアスと融合したシェイマの傭兵ベネラが口を挟む。
「アタシは完全覚醒なんてしてないぞ……完全覚醒が出来る奴は稀だ」
「……女神化というのはそもそも魔導具との融合での変異体をさすものではなかった、元はシェイマの第一覚醒、第二覚醒、完全覚醒、その上の第四段階目を指すものだったんだ……覚醒は三段階が基本で四段階にわかれてる種族は珍しい……問題は第二覚醒以上は強い衝動に支配され自我を保てない場合が多いことだ……脳も覚醒による影響を受けるからな、だからシェイマは覚醒を抑制する為、黒霊布を身に着けている者が多い」
「覚醒の高揚感は何とも言い難い、凄く気持ちがいいんだ、痛みも吹き飛ぶ……完全覚醒は頭がおかしくなる奴が多い……薬で覚醒を抑える奴もいるよ」
「シェイマの第四段階目の覚醒体と強大な魔導具との融合による変異体は大量の魔力で肉体を変化させているという点では同じだが異なる点がある、強大な魔導具との融合による変異体は生殖能力を失うが、シェイマは生殖能力を失わないし、寿命が大きく延びるわけではない、少し老化が遅くなるらしいが……アンリ、何故シェイマの女の四段階目の覚醒が女神化と呼ばれたか知ってるか?」
ハイディはアンリに問いかける。
「……なんだっけ?えー神話……詳しくは忘れた」
「そう正解だ、神話に出てくる嫉妬の女神が由来なんだ、昔、天の主が創った楽園に二人の兄弟が住んでいた、兄が先に不老の果実を選び、弟は残った進歩の炎を選ぶ……進歩の果実を得た弟の一族は大いに栄えるが、兄の一族には様々な災いが訪れる……そんな時、兄の元へ嫉妬の女神が現れる、彼女は彼に不老の果実の正体は厄災の果実で天の主はお前を愛していないとそそのかす、兄は嫉妬の女神の言葉を信じ、弟を殺し進歩の炎を奪う、そして兄は天上の主に一族に男が産まれぬ呪いをかけられ楽園を追放される……その兄と嫉妬の女神との間に産まれた子がシェイマの祖だという……原典にはシェイマの祖だとは明言されていないがね……嫉妬の女神が何を示すかは様々な説があった、人の心の闇の暗喩だとか、天の主が人を試す為に遣わした存在だとか、異教の神に耳を傾けるなという話だとか、或いは近づいてくる女の甘言に気をつけろという寓話だとかね、その中で一番有力とされたのが人を惑わす悪魔だという説なんだ、この嫉妬の女神は悪魔と同一視され、シェイマの完全覚醒と女神化は悪魔の力の顕現と見なされた、シェイマの女神化は決して良い意味ではないんだ」
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