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第三章
俺にどうしろってんだ
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【悠理side】
「…は?」
不意打ちの言葉に、意味が理解できないでいる。
「どいう事だよ、それ?」
薄く笑みを浮かべ腕を組んで、近くの壁にもたれかけながら天音を見る。
「そのままの意味だよ。
悠理は俺たち2人が動くのを、ただ黙って見てるだけでいいのかなって」
天音のまっすぐな視線が、俺の心臓を射抜く。
俺は一瞬、体全体が固まるのを感じた。
「…はっ、何言ってんだか。
俺は最初から見守り役だろ。
ひなたが幸せになれば、別に瑠夏が先に告ろうが、天音が先に告ろうが関係ねぇよ」
俺は無理やり笑って、平然を装った。
いつも通り、『自分は渦の外にいる人間だ』『ひなたが幸せだと思えるならどっちでも良い』と言い聞かせる。
だが、天音は俺のその薄っぺらい仮面を見抜いているようだった。
「悠理は本当にそれでいいのか?」
蛍と似た様な事言ってくるな。
何なんだコイツらは。
俺にどうしろって言うんだよ。
意味がわからなくてイライラするし、胸の奥もチクチク痛んで鬱陶しい。
「俺も瑠夏に劣らない様に、これからもちゃんと行動する。
でも、悠理も早く答え見つけた方がいいんじゃないか?
悠長にしてる時間はないよ、きっと」
天音はそう言い残して1人で帰って行った。
校舎裏に残された俺は、壁に背をもたれかけたまま深く息を吐いた。
…答えを見つけるって何だよ。
腕を組んだまま視線を落とす。
眉間には、無意識に深い皺が寄っていた。
いつもの余裕な笑みなんてない。
『ひなたが幸せでいれば、別に何でもいい』確かにそれは、俺がひなたに対して抱いてる感情だ。
妹のように可愛くてほっとけない、大切な友達。
なのに…何で瑠夏が告白をしたって聞いた時も、蛍や天音に問われた時もこんなに胸が痛たくなるんだ?
…あの天音の言葉はどう言う事だ。
俺の答えって、何だよ。
俺は何を見つければいいんだよ。
自分の感情が全く理解できずに、ただただ困惑していた。
目の前で繰り広げられる『恋愛』の渦に、図らずも自分自身が巻き込まれ始めていることにまだ気づけずに…。
「…は?」
不意打ちの言葉に、意味が理解できないでいる。
「どいう事だよ、それ?」
薄く笑みを浮かべ腕を組んで、近くの壁にもたれかけながら天音を見る。
「そのままの意味だよ。
悠理は俺たち2人が動くのを、ただ黙って見てるだけでいいのかなって」
天音のまっすぐな視線が、俺の心臓を射抜く。
俺は一瞬、体全体が固まるのを感じた。
「…はっ、何言ってんだか。
俺は最初から見守り役だろ。
ひなたが幸せになれば、別に瑠夏が先に告ろうが、天音が先に告ろうが関係ねぇよ」
俺は無理やり笑って、平然を装った。
いつも通り、『自分は渦の外にいる人間だ』『ひなたが幸せだと思えるならどっちでも良い』と言い聞かせる。
だが、天音は俺のその薄っぺらい仮面を見抜いているようだった。
「悠理は本当にそれでいいのか?」
蛍と似た様な事言ってくるな。
何なんだコイツらは。
俺にどうしろって言うんだよ。
意味がわからなくてイライラするし、胸の奥もチクチク痛んで鬱陶しい。
「俺も瑠夏に劣らない様に、これからもちゃんと行動する。
でも、悠理も早く答え見つけた方がいいんじゃないか?
悠長にしてる時間はないよ、きっと」
天音はそう言い残して1人で帰って行った。
校舎裏に残された俺は、壁に背をもたれかけたまま深く息を吐いた。
…答えを見つけるって何だよ。
腕を組んだまま視線を落とす。
眉間には、無意識に深い皺が寄っていた。
いつもの余裕な笑みなんてない。
『ひなたが幸せでいれば、別に何でもいい』確かにそれは、俺がひなたに対して抱いてる感情だ。
妹のように可愛くてほっとけない、大切な友達。
なのに…何で瑠夏が告白をしたって聞いた時も、蛍や天音に問われた時もこんなに胸が痛たくなるんだ?
…あの天音の言葉はどう言う事だ。
俺の答えって、何だよ。
俺は何を見つければいいんだよ。
自分の感情が全く理解できずに、ただただ困惑していた。
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