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秋祭り
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秋祭りの季節は、新年の季節とならんで王族にとって、忙しい季節となる。
各国からこの秋祭りに参加すべく、大勢の外交団が国内外からやってくるのだ。
秋祭りがおわったら、王都は本格的な夜会のシーズン入る。
王宮の宮殿での、山車の人気投票の後、王家の主催の秋祭りの夜会が開催され、その年の夜会のシーズンの口火が切られるのだ。
山車の人気投票はそれ自体が大きな娯楽となっている。
ちなみに、投票権は高位貴族にしか与えていない。
山車の投票権を持っている・いないは、貴族にとっておおきなステイタスとなるのだ。
外国からの賓客の見守る中、投票結果は厳かに王の手によって発表される。
発表結果は王宮の外に号外が張り出され、一般の庶民にも知らされる。
優勝した山車を輩出した地区は減税となるため、結果発表は毎年大変な盛り上がりをみせる。
王都の秋祭は、貴族にとって、今シーズンの夜会のスタートを告げるものでもある実に華やかな催しなのだ。
長い眠りから目覚めたばかりのユージニア王女も、王族の一員として外交に社交にと毎日目が回るほど、非常に忙しい。
今日のユージニアの仕事は、隣国の大使を招いてのガーデンパーティーの主催だ。
ふんわりとした水色の、娘らしい可愛いドレスに、豪華な金髪のユージニアは、3年にもおよぶ長い眠りから目覚めたばかりという事もあって、まだ体も線が細く、遠目から見ると実に儚い印象だ。
だが、今隣国の大使と二人で向かい合っている白く可愛らしいテーブルの前で、ユージニアの目はその可愛らしい装いには似合わず、まるで猛禽類のように爛々と底が輝いている。
一方の大使はというと、ユージニアを前にして、ひどく怯えて、そして脂汗をひっきりなしに拭っていた。
ユージニアは優雅にお茶を飲むと、二人の目の前に置かれた繊細なつくりの砂時計の、落ち行く砂を優雅に持っていた扇で指した。
「お返事は、この砂が落ちきるまで、と申しましたわ」
砂は、あと少しで全て下に落ちる。
「わかっております」
震えた声で、男は答えた。
そしてまだ中年にはいったばかりのこの大使は、悩みに悩みぬいた挙句、テーブルの花瓶から一本の花をぬきとった。
そして息も絶え絶えといった様子で、それをユージニアの前にさし出した。
「よろしいのね」
「・・はい」
ユージニアの侍女が、大使からユージニアが受け取ったマリーゴールドを、大切そうにどこかに運んでいく。
ユージニアは、涼し気に言った。
「あれは本当に、縁起のよい花ですのよ。眠っているものを目覚めさせるほどにね」
大使は、ほとんど不敬に、憎々し気に吐き捨てるように言い捨てた。
「どうだか」
「ユージニア殿下におかれましてはご機嫌うるわしく」
そこに、公爵家の一人娘であるエロイースがやってきた。
豪華な金髪を高くゆいあげて、その髪には黄色とオレンジの美しいマリーゴールドの花がかざられている。
そして、二人の前で、見事なカーテシーを披露した。
エロイースは国内最大の派閥を誇る公爵家の一人娘だ。
その魔術への偏愛が過ぎて、魔術院で研究員として仕事をしている事は、公爵夫妻にとっては頭痛の種だが、こうして社交の場では、エロイースは公爵家の一人娘として、しっかりと社交界の娘たちの公爵派閥の一番上に君臨している若き女王だ。
エロイースの公爵家の派閥の娘たちが、エロイースの後ろにぞろぞろと続いて、見事なカーテシーを続々とユージニアと大使に披露しては、パーティーの輪の中に消えていった。
娘たちの髪は、みなマリーゴールドで飾られていた。
(なんと・・・)
大使はその挨拶をした美しい娘たちの後ろ姿に、開いた口がふさがらなかった。
(宰相の長女、議会長の孫、辺境伯の末娘、それからあちらは騎士団長の娘。それから・・)
エロイースは、呆気にとられている大使に向かってくすりと意味深にほほ笑むと、言った。
「マリーゴールドは、今年は王宮の王の庭に、一番美しく咲いておりましてね。マリーゴールドの意匠はこの秋、随分王都の娘達の間で流行りですのよ」
ユージニアはエロイースを目を合わせると、こう大使に言った。
「今日の山車の投票者の、丁度半分はマリーゴールドを身に着けておいでになりますわ」
各国からこの秋祭りに参加すべく、大勢の外交団が国内外からやってくるのだ。
秋祭りがおわったら、王都は本格的な夜会のシーズン入る。
王宮の宮殿での、山車の人気投票の後、王家の主催の秋祭りの夜会が開催され、その年の夜会のシーズンの口火が切られるのだ。
山車の人気投票はそれ自体が大きな娯楽となっている。
ちなみに、投票権は高位貴族にしか与えていない。
山車の投票権を持っている・いないは、貴族にとっておおきなステイタスとなるのだ。
外国からの賓客の見守る中、投票結果は厳かに王の手によって発表される。
発表結果は王宮の外に号外が張り出され、一般の庶民にも知らされる。
優勝した山車を輩出した地区は減税となるため、結果発表は毎年大変な盛り上がりをみせる。
王都の秋祭は、貴族にとって、今シーズンの夜会のスタートを告げるものでもある実に華やかな催しなのだ。
長い眠りから目覚めたばかりのユージニア王女も、王族の一員として外交に社交にと毎日目が回るほど、非常に忙しい。
今日のユージニアの仕事は、隣国の大使を招いてのガーデンパーティーの主催だ。
ふんわりとした水色の、娘らしい可愛いドレスに、豪華な金髪のユージニアは、3年にもおよぶ長い眠りから目覚めたばかりという事もあって、まだ体も線が細く、遠目から見ると実に儚い印象だ。
だが、今隣国の大使と二人で向かい合っている白く可愛らしいテーブルの前で、ユージニアの目はその可愛らしい装いには似合わず、まるで猛禽類のように爛々と底が輝いている。
一方の大使はというと、ユージニアを前にして、ひどく怯えて、そして脂汗をひっきりなしに拭っていた。
ユージニアは優雅にお茶を飲むと、二人の目の前に置かれた繊細なつくりの砂時計の、落ち行く砂を優雅に持っていた扇で指した。
「お返事は、この砂が落ちきるまで、と申しましたわ」
砂は、あと少しで全て下に落ちる。
「わかっております」
震えた声で、男は答えた。
そしてまだ中年にはいったばかりのこの大使は、悩みに悩みぬいた挙句、テーブルの花瓶から一本の花をぬきとった。
そして息も絶え絶えといった様子で、それをユージニアの前にさし出した。
「よろしいのね」
「・・はい」
ユージニアの侍女が、大使からユージニアが受け取ったマリーゴールドを、大切そうにどこかに運んでいく。
ユージニアは、涼し気に言った。
「あれは本当に、縁起のよい花ですのよ。眠っているものを目覚めさせるほどにね」
大使は、ほとんど不敬に、憎々し気に吐き捨てるように言い捨てた。
「どうだか」
「ユージニア殿下におかれましてはご機嫌うるわしく」
そこに、公爵家の一人娘であるエロイースがやってきた。
豪華な金髪を高くゆいあげて、その髪には黄色とオレンジの美しいマリーゴールドの花がかざられている。
そして、二人の前で、見事なカーテシーを披露した。
エロイースは国内最大の派閥を誇る公爵家の一人娘だ。
その魔術への偏愛が過ぎて、魔術院で研究員として仕事をしている事は、公爵夫妻にとっては頭痛の種だが、こうして社交の場では、エロイースは公爵家の一人娘として、しっかりと社交界の娘たちの公爵派閥の一番上に君臨している若き女王だ。
エロイースの公爵家の派閥の娘たちが、エロイースの後ろにぞろぞろと続いて、見事なカーテシーを続々とユージニアと大使に披露しては、パーティーの輪の中に消えていった。
娘たちの髪は、みなマリーゴールドで飾られていた。
(なんと・・・)
大使はその挨拶をした美しい娘たちの後ろ姿に、開いた口がふさがらなかった。
(宰相の長女、議会長の孫、辺境伯の末娘、それからあちらは騎士団長の娘。それから・・)
エロイースは、呆気にとられている大使に向かってくすりと意味深にほほ笑むと、言った。
「マリーゴールドは、今年は王宮の王の庭に、一番美しく咲いておりましてね。マリーゴールドの意匠はこの秋、随分王都の娘達の間で流行りですのよ」
ユージニアはエロイースを目を合わせると、こう大使に言った。
「今日の山車の投票者の、丁度半分はマリーゴールドを身に着けておいでになりますわ」
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