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05. ブレンドバタフライピーティー
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それから俺はサクマさんから時々プレゼントをもらう様になった。
贈り物の中身はお菓子から、綺麗なアクセサリー、それからよく分からないアイテムまで様々だ。
意図が分からないので困惑はするが、特に困る訳でもないので、好意としてありがたく頂戴している。
そしてある日の事、ホールの掃除をしていると、バルナおじさんが話しかけてきた。
「ナナセ、お前最近よくプレゼント貰ってるだろ?」
バルナおじさんはニヤニヤしながらそう言った。
「えっ……いや……」
バルナおじさんへの贈り物は断っているのに、自分だけ受け取るのは不味かっただろうか。動揺していると、バルナおじさんは俺の肩を叩き、笑顔を浮かべた。
「別に隠さなくたっていい、あの色男からの贈り物だろ?」
バルナおじさんはサクマさんのことをそう呼んだ。
「知り合いですか?」
俺が尋ねると、バルナおじさんは首を横に振った。
「いいや?でもよく来るし、あいつ有名人だからな」
「有名……なんですか?」
俺は首を傾げた。
「あぁ、あいつは攻略組のメンバーだよ」
「え!?」
俺は驚きの声を上げた。サクマさんはどこか浮いている存在だったが、まさか攻略組だったなんて。驚いたものの納得できる部分もあった。あの雰囲気はきっと最前線で戦っているからだろう。
「……どうして俺にプレゼントを?」
俺が尋ねるとバルナおじさんは大きく口を開けて笑った。
「そりゃあお前のことが気に入ったんだろ!」
そんな適当な事を言ってバルナおじさんは笑う。しかし、俺の頭に残ったのは攻略組という単語だった。
攻略組はトップ層のダンジョンプレイヤーたちの事だ。最前線でダンジョンに挑み、街の人々の悩みを解決しているらしい。
俺は彼の正体に衝撃を受けつつ、やっぱり俺にプレゼントをくれる理由は見当もつかなかった。
「そうだ、ナナセ」
「はい?」
「お前、お茶を淹れてみろよ、貰ってただろ?」
「あー」
「貰ったんなら、ちゃんと飲め」
「分かった」
俺は厨房に戻るバルナおじさんを見送ると、言われた通りサクマさんに貰った茶葉をアイテムボックスから取り出した。やはり綺麗な瓶だ。蓋を開けると、少し変わった香りがする。
それはお湯を注いでも同じだった。少し不思議な匂いに戸惑いながらもお茶を淹れ、一口飲む。
「……にっが……」
しかしあまりの苦さに顔を歪めた。
「え……淹れ方間違えた……?」
俺がそんな独り言を呟いていた時だ、不意に店の扉が開いて一人のプレイヤーが入ってきた。そのプレイヤーは俺を見つけて近寄ってきた。
「サクマさん……?」
そこにいたのはサクマさんだった。彼はにこりと笑って手を挙げた。
「ナナセくん、こんにちは」
「こんにちは……」
俺はお茶を啜っていた手を止めて彼に問いかける。
「今日はどうしたんですか?もしかしてレアなお宝を持ってきてくださったとか?」
俺が冗談めかした口調で言うと、サクマは苦笑いをした。
「いや違うよ、君を見かけたから話がしたくて」
「俺と?」
俺は思わず首を傾げた。サクマは何も言わずにただ微笑んでいる。その笑顔からは感情が読み取れない。彼は一体何を考えているんだろう?そんな疑問を抱きつつ、俺はカップをサクマの前に差し出した。すると彼は少し驚いたような表情を浮かべた後、笑ってお茶を口に含んだ。
「うん……不思議な味だね」
「俺、淹れ方間違えました?」
俺が言うと彼は首を横に振った。
「いや、合ってるよ」
サクマはそう笑って言うと、もう一口お茶を飲んだ。彼自身も苦そうな顔をしている。
「……嫌がらせですか?」
「はは、違うよ」
サクマさんはそう言って笑うと、カップに魔力を込めた。そうすると茶色っぽかったお茶の色が途端に鮮やかなブルーになる。
「わぁ……」
「これは魔力で味が変化するお茶なんだ」
サクマさんははい、といって俺にカップを渡した。もう一度恐る恐るカップに口を付ける。
「苦っ……く、ない?」
サクマさんの言った通り、味は変わっていた。さっきの苦さが嘘みたいにさっぱりした爽やかな味が口の中に広がる。それになんだか元気が出てくるような不思議な感覚だった。
「水魔法の魔力は癒しの効果を持っているからね、その特性が付くんだよ」
サクマさんはそう言って笑った。
「なるほど……!すごい」
俺は納得して頷く。確かにこれは体力回復の効果があるお茶だ。リラックスティーの上位互換かもしれない。込める魔力の種類によって力が増えたり、魔力が増えたりするらしい。
しかし、どうしてサクマさんは俺にこのお茶をくれたのだろう?俺はカップを両手で包み込んで彼を見上げた。
「……どうして俺にこれを?」
「いつも頑張ってるから、何か元気の出るものをあげたかったんだけど……ごめん、飲み方の説明をし忘れてたね」
サクマさんはそう言って笑った。俺は困惑したまま彼を見上げた。
「あの……どうして俺にここまで……?」
俺が尋ねるとサクマは少し驚いたような表情を浮かべた後、ゆっくりと口を開いた。
「ナナセくんが可愛いからかな?」
「……はい?」
俺は思わず眉を顰めた。聞き間違いだろうか。俺が混乱していると、サクマは困ったように笑うと、何か呼び出しがあったのかプレイヤーメッセージを確認した。
「ごめん、そろそろ行くね。それじゃ、また」
彼はそう言って、店を後にした。
俺は呆然とその後ろ姿を見送った後、手元のお茶をもう一度啜る。不思議と気分が高揚してくるのを感じた。まるで自分もプレイヤーになったみたいだな、なんて思いながら残りのお茶も飲み切るのだった。
贈り物の中身はお菓子から、綺麗なアクセサリー、それからよく分からないアイテムまで様々だ。
意図が分からないので困惑はするが、特に困る訳でもないので、好意としてありがたく頂戴している。
そしてある日の事、ホールの掃除をしていると、バルナおじさんが話しかけてきた。
「ナナセ、お前最近よくプレゼント貰ってるだろ?」
バルナおじさんはニヤニヤしながらそう言った。
「えっ……いや……」
バルナおじさんへの贈り物は断っているのに、自分だけ受け取るのは不味かっただろうか。動揺していると、バルナおじさんは俺の肩を叩き、笑顔を浮かべた。
「別に隠さなくたっていい、あの色男からの贈り物だろ?」
バルナおじさんはサクマさんのことをそう呼んだ。
「知り合いですか?」
俺が尋ねると、バルナおじさんは首を横に振った。
「いいや?でもよく来るし、あいつ有名人だからな」
「有名……なんですか?」
俺は首を傾げた。
「あぁ、あいつは攻略組のメンバーだよ」
「え!?」
俺は驚きの声を上げた。サクマさんはどこか浮いている存在だったが、まさか攻略組だったなんて。驚いたものの納得できる部分もあった。あの雰囲気はきっと最前線で戦っているからだろう。
「……どうして俺にプレゼントを?」
俺が尋ねるとバルナおじさんは大きく口を開けて笑った。
「そりゃあお前のことが気に入ったんだろ!」
そんな適当な事を言ってバルナおじさんは笑う。しかし、俺の頭に残ったのは攻略組という単語だった。
攻略組はトップ層のダンジョンプレイヤーたちの事だ。最前線でダンジョンに挑み、街の人々の悩みを解決しているらしい。
俺は彼の正体に衝撃を受けつつ、やっぱり俺にプレゼントをくれる理由は見当もつかなかった。
「そうだ、ナナセ」
「はい?」
「お前、お茶を淹れてみろよ、貰ってただろ?」
「あー」
「貰ったんなら、ちゃんと飲め」
「分かった」
俺は厨房に戻るバルナおじさんを見送ると、言われた通りサクマさんに貰った茶葉をアイテムボックスから取り出した。やはり綺麗な瓶だ。蓋を開けると、少し変わった香りがする。
それはお湯を注いでも同じだった。少し不思議な匂いに戸惑いながらもお茶を淹れ、一口飲む。
「……にっが……」
しかしあまりの苦さに顔を歪めた。
「え……淹れ方間違えた……?」
俺がそんな独り言を呟いていた時だ、不意に店の扉が開いて一人のプレイヤーが入ってきた。そのプレイヤーは俺を見つけて近寄ってきた。
「サクマさん……?」
そこにいたのはサクマさんだった。彼はにこりと笑って手を挙げた。
「ナナセくん、こんにちは」
「こんにちは……」
俺はお茶を啜っていた手を止めて彼に問いかける。
「今日はどうしたんですか?もしかしてレアなお宝を持ってきてくださったとか?」
俺が冗談めかした口調で言うと、サクマは苦笑いをした。
「いや違うよ、君を見かけたから話がしたくて」
「俺と?」
俺は思わず首を傾げた。サクマは何も言わずにただ微笑んでいる。その笑顔からは感情が読み取れない。彼は一体何を考えているんだろう?そんな疑問を抱きつつ、俺はカップをサクマの前に差し出した。すると彼は少し驚いたような表情を浮かべた後、笑ってお茶を口に含んだ。
「うん……不思議な味だね」
「俺、淹れ方間違えました?」
俺が言うと彼は首を横に振った。
「いや、合ってるよ」
サクマはそう笑って言うと、もう一口お茶を飲んだ。彼自身も苦そうな顔をしている。
「……嫌がらせですか?」
「はは、違うよ」
サクマさんはそう言って笑うと、カップに魔力を込めた。そうすると茶色っぽかったお茶の色が途端に鮮やかなブルーになる。
「わぁ……」
「これは魔力で味が変化するお茶なんだ」
サクマさんははい、といって俺にカップを渡した。もう一度恐る恐るカップに口を付ける。
「苦っ……く、ない?」
サクマさんの言った通り、味は変わっていた。さっきの苦さが嘘みたいにさっぱりした爽やかな味が口の中に広がる。それになんだか元気が出てくるような不思議な感覚だった。
「水魔法の魔力は癒しの効果を持っているからね、その特性が付くんだよ」
サクマさんはそう言って笑った。
「なるほど……!すごい」
俺は納得して頷く。確かにこれは体力回復の効果があるお茶だ。リラックスティーの上位互換かもしれない。込める魔力の種類によって力が増えたり、魔力が増えたりするらしい。
しかし、どうしてサクマさんは俺にこのお茶をくれたのだろう?俺はカップを両手で包み込んで彼を見上げた。
「……どうして俺にこれを?」
「いつも頑張ってるから、何か元気の出るものをあげたかったんだけど……ごめん、飲み方の説明をし忘れてたね」
サクマさんはそう言って笑った。俺は困惑したまま彼を見上げた。
「あの……どうして俺にここまで……?」
俺が尋ねるとサクマは少し驚いたような表情を浮かべた後、ゆっくりと口を開いた。
「ナナセくんが可愛いからかな?」
「……はい?」
俺は思わず眉を顰めた。聞き間違いだろうか。俺が混乱していると、サクマは困ったように笑うと、何か呼び出しがあったのかプレイヤーメッセージを確認した。
「ごめん、そろそろ行くね。それじゃ、また」
彼はそう言って、店を後にした。
俺は呆然とその後ろ姿を見送った後、手元のお茶をもう一度啜る。不思議と気分が高揚してくるのを感じた。まるで自分もプレイヤーになったみたいだな、なんて思いながら残りのお茶も飲み切るのだった。
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